見出し画像

新卒人事に赤裸々に聞くシリーズ「派手な経験を語る就活生は1割くらい、大半は伝え方で決まる」あじゅまるさん(8/n)

あじゅまるさんプロフィール


メーカーの人事。新卒の採用も担当。自動車メーカーの営業から転職した経験を持つ。
あじゅまるさんnote:あじゅまる|note




前回の記事はこちら

ー自分の経験とその会社でやってることが全然結びついていない場合はどうですか?


 
『多分、「やってること」が必要になるのは、理系の技術的なことだと思います。大学で科学やってきたのに就職先では電気・機械がやりたい、とかだったら「それは合わないだろう」みたいになると思うんですけど、文系とかだったらもう全然そんなこと関係ないです。』
 

ーあ、そうなんですね。なんか就活やってると、その自分が経験したことじゃないと面接に使っちゃいけないみたい思考になってくるんですよ。

例えばリーダーシップ経験がないと事実上はコンサル受かんないよね、商社受かんないよね、エンジニアとかだったら細かいことやって来たみたいな。

その経験と思いに整合性っていうのを結構シビアに付けないといけないのかなと思ったんですけど。


 
『一部の企業というか、新卒に即戦力のスキルを求めている企業だとそうなっちゃうのかもしれませんが、ほとんどの企業はそんなことはないと思いますけどね。
 
「御社のコミュニケーションのスタンスにめちゃめちゃ共感しました。私はどちらかというとリーダー経験ってあんまりなくて、中学か高校の時発表で一回だけそのリーダーになったことがあるぐらいなんです。でも、その時にそのリーダーになった時の思いっていうのは、自分はサポートする側のリーダーでグイグイ引っ張っていくんじゃなくて…」とかでもいいと思うんですよね。

「こういった経験をしてきたときに、まさに御社が求めているそのコミュニケーションってグイグイ引っ張っていく人も必要だし、ただみんなが活躍しやすい環境をつくってあげる人も必要だっていうところに凄い共感したんですよね。なので私はちょっとグイグイ引っ張っていくタイプではないと自覚してるけど、環境を整備して、周りの人たちがガッと力を出せる場所を作っていくことには長けてます」みたいなこと言えばいいと思うんですよね。』
 

ーすごい。確かに。


 
『言い方さえ変えれば、どうとでもなるのになぁっていうのが結構あります。』
 

ーあー、確かに。そこら辺のさじ加減とかがあんまり就活生はわかんないですよね。


 
『あとなんか、能力的に低すぎるから、面接で言うには恥ずかしいと思うパターンがあるかもしれないですけど、誰もがそんなすごい経験してるわけじゃないからねっていうのも言いたいですね。』
 

ーあじゅまるさんが人事やってて、すごい経験で入ってくる就活生とそうでもない経験だけどうまく伝えられたから入社してくるっていう就活生ってどれぐらいいるんですか?


 
『うまくやっぱ伝えられている人のほうが多いですね。
 
そもそも、経験値そのものが派手だったり、しっかりしてるみたいな人はそんなにいないんですね。派手な人の方が分かりやすいと思います。けど、派手な人って百人いれば十人いればいいんじゃない、ぐらいだと思うんですよね。ってなってくると、あとは伝え方次第で変わってくるんで、そんな別に強いエピソードいらないよって思うんですけどね。』
 

ーでもそれだったら割とみんなどうにかできそうですよね。


 
『僕の持ってるテンプレがあって、「御社の○○に共感しました。私にはこういった(バイト先で食品ロスが発生している)経験があり、御社のこんな部分に共感しました」って言うじゃないですか。
 
飲食店のバイトからメーカーとかに就活してるとして、「食品ロスという問題を通じて、食品ロスに限らず環境問題や世界規模での課題に挑戦している御社の未来を素敵にする数々の取り組みや思考」に共感しました。

それで同じ業界を調べた結果、食品ロスに取り組んでいる企業や環境問題への課題提起をやっているなど、似たようなことをやっている企業はもちろんあります(調べるとありました)。

でも大々的に「ここまでの強い想いを持って取り組んでいます!」って言ってくれる企業は御社しかいませんでした」みたいな。
 
「調べた結果そうでした」っていうことが大事で、例えば「うちじゃなくてもいいよね?他社でも同じことできるよね?」って言われたとしても、「やることが一緒だった場合でも、私はこの思いを持ってる御社で働きたいと思います」って。』
 

ーおお。


 
『そう話せば、「あなたが第一志望ですよ」って言ってるようなものに聞こえるっていう、お得な答え方というか回答方法のテクニックがあります。』
 

ーそれで話せば「それうちじゃなくていいよね」というちょっと定番いじわるワードを回避できるってことですね。すごい確かに。


 
『例えば「食品ロスに対して、こういった力を入れている会社さんっていうのは、調べたら他社さんにもいくつかありました。ただこんな強い思いを説明会から熱く語ってくれる会社は御社しかなくて、まさに自分のやりたい思いを一番発揮できるのは御社だと思うんです。」って言えばいいと思うんですよ。』
 

ーそうすれば基本的にはスムーズに進むんですね。


 
『そうですね、最初の突破口はそれだけでいいんだろうなって思うんですよね。このあとは「具体的に何やっていきたいの?」って話しになっていくんですけど、自分の経験を思い出話として感情をこめて話せばもう大丈夫かなって。』
 

ーいや、本当良い話だわ。これはいろんな就活生が救われますね。