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【天皇という職業】旧来の右翼の方はお読み下さらぬよう願い奉る

よさまつ氏のYouTube動画が炎上したそうで。
いや、よさまつ氏の事は詳しく知らぬのですが、元ネタがステハゲさんという事で今色々とおさらいタイムを持っていた所で御座います。

当方は一昨年よりステハゲさんの大ファンで御座いましてね、いやもう、ステハゲさんの元ネタ動画があんまり笑えるので、思わずループ再生してゲラッゲラ大笑いしておりました…不謹慎でゴメンなさい!(※1)

さて果て、よさまつ氏動画のテーマは、天皇家を継続するか否か問題の議論って事でしたわね。

https://youtu.be/I7N4Asu5jzQ

当方は國學院大學の卒業生ですし、天皇に関して把握している事を纏めて書き残して置くタイミングが丁度よく巡って来たかなーと考え、この記事をしたためておる訳ですよ。

民主主義のありようや人権などの価値観、それらと現実の齟齬、こういうことが気になられたのでしょう。
その最たる実例が天皇家及び皇族の存在であることは誰の目にも明らかであって、よさまつ氏の仰る例外や犠牲とは、人柱って意味なんでしょうし、それが妥当だと主張する人は自分がやらされたら嫌じゃないのか?嫌な事を天皇家に強いている者たちこそ不敬にあたるのではないのか?と、そう問うておられる訳ですよ。

ステハゲさんもよさまつ氏も、自分の事として引き寄せて考えているだけであり、彼らは何ら不敬に当たらないと思います。

―― 警告 ――

國學院大學建学の精神は、天皇家及び皇族の受け持つ祭祀記録を保持研究継承することにあり、簡単に言うと、神道文化の最も正統な学び舎で御座います。
ですが、旧来の右翼の方は、ここから先をお読みにならないで下さい。
信仰心の厚いあなた方にとっては、ひどく耐え難い記述ばかりが続きます。
神道文化の学び舎は、個々人の信仰心(というお気持ち)を慰撫してくれる体質ではないのです。

―― 主題 ――

1984年4月の入学直後、全科の新入生は一斉に同じ内容の基礎講義を受けました。
当方はそこで、神道の学び舎は残酷極まりない程の冷酷無比なのだという恐ろしい事を知ったのでした。

1980年代半ばの國學院大學は、この様な基本理念を持っていました。

◆天皇について

○神道の派閥は複数存在し、國學院大學は最も基本的な神社神道の派閥に属する。
○神道の宮司とは神に頼みごとをする職業であり、天皇は宮司職日本代表という立場の人間である。
○個人崇拝は反動が大きく危険な信仰であるから、宮司が神に成り代わって崇拝を集めてはならない。
○現人神信仰は邪道である。
○天皇を犯罪行為の言い訳に使ってはならない。
○殊に、天皇を神と崇めさせて戦争実行の理由と定める国家神道は以ての外、最も唾棄すべき邪教である。
○天皇を過剰に崇拝する事も過剰に貶める事も、避けなければならない。
○天皇及び皇室に対してどの様な態度が適切なのかと言えば、人として尊重する態度で対峙することが望ましい。

◆歴史の改竄について

○天皇が神の直系子孫であるという言説は歴史改竄の為の捏造であり、神の血筋などと言うものは非現実的な迷信に過ぎない。
○天皇を崇拝させ、現人神信仰を利用して国を統一するという政治家たちの目的が先にあり、そのための論拠として編まれたのが日本書紀である。
○日本書紀は編纂当時の政治家たちによる悪意のアーカイヴとして保持し続ける必要がある。それこそが過去から学ぶ姿勢である。
○歴史的事実の信用度としては、古事記の方がまだ高い。
○歴史的事実の物証として不適切な日本書紀を研究対象とする事は許されるが、信仰対象としてはならない。

◆神社神道宮司鉄の掟

○國學院大學で宮司職の資格を得た者は、自分に霊能があるとしても、それを行使した個人営業やアルバイトを禁じ手とする。この掟を破る者は破門。

―― 主題ここまで ――

信仰心を根底から粉々に砕く様な鉄則ばかりですが、これが天皇と皇室の祭祀記録を精査研究保管する正統な学び舎の基本理念なのです。

天皇家は日本最古の屋号を持つ技術者の家系なのだとザックリ考えてみれば、概ね合っているかと存じます。

読んでしまわれた旧来の右翼の方々に申し述べます。
当方をどやしつけたところで、1984年4月の國學院大學基礎講義を過去に遡って捻じ曲げる事は不可能です。

あなた様の思想信条好みが國學院大學の基本理念と一致しなくとも、一々オレに文句を言わない様になされたし。

伝統文化を守るには、個々人の好みなど捨て置かねばならないのです。
あなた様のお気持ちが満足したとして、その先は一体どうなるのか、少しは想像して下さいませんか?
言いっ放しで満足なされたら、あとはどうせ放置でしょう?
…大人なら発言に責任を持って下さい。
それがお嫌ならば、デボン紀あたりにタイムワープなされて、異世界転生無双でもキメておられて下さいませ。

―― 当方からの補足 ――

これらの理由から、右翼や左翼に偏ると馬鹿にされてしまうという学風になっていました。
つまり、学内では中道が良しとされました。

当方は民俗学を学ぶ目的で國學院大學に入学致しましたが、基礎講義でここまでの情報を知り得たこと、そして同時に、余りにもインパクトが強く長期記憶として脳内に刻まれたこと、これらはとても幸運だったと思います。

渋谷の学内は静かで平穏、そして講義中にこういった世間話が出たりもしていました。

教授「今、312教室に天皇の代筆屋がいますよ。」

基本理念を守る、正しくフレンドリーな教授たちの態度、これは見習いたいと思います。
1980年代半ば、裕仁天皇の在位中ですよ。
いいですか?國學院大學では教授ですら、天皇を敬称(陛下呼び)しないんですよ。

腫れ物扱いせず、おためごかしを言わず、かと言って馬鹿にするのでもなく、互いに対等な者として対峙する。
教授たちは誰にも公平に、この態度を保っていました。
こういった姿勢こそが本来の礼儀なのだろうと察しています。

人として尊重する態度というものは誰もが望む事でもあり、それが平穏な共存への近道なのだ、この当時より、当方はそう考える様になりました。

過剰に崇拝するのも、過剰に貶めるのも、相手を尊重する誠実な態度ではないのです。

これらの基本理念が伊達や冗談だと思うのなら、当時在学していた卒業生に訊ねてみて下さいませんか。
國學院大學からは多くの宮司職を輩出しています。
大きな神社の宮司は大抵國學院大學出身者です。
神道科卒業生はまた各地で祀る神さまが異なるため、それぞれ意見が異なると思いますが、お近くの大きな神社の宮司職に訊ねてみて下さい。

―― 補足もひとつ ――

天皇制という語彙につきましては、学内では採用されてもおらず、在学中に一度も聞いた事がありませんでした。
昨今はやたらと声高に叫ばれる語彙となったためか、國學院大學から対外的に発信される情報を軽く漁ると、その語彙が見受けられる様になりました。
21世紀の学内でどの様に受け止め、どの様に消化しているのか、それは当方も知らない事ではありますが、学び舎の理念がそう簡単にコロコロ変わるとも考えにくいのですよ。

旧来の左翼の方々の造語である天皇制がどういった制度なのか、当方の預かり知らぬ事ではあります。
ですが、語彙の定義があやふやなままで、その上で是非を問うのもまた思慮不足であり、議論の前提としては不安定な事ではありませんか?
共有言語の定義付けを先行するのも、議論の進め方としては、そう悪くないと思います。

―― 当方の考え ――

皆さん大好物のオカルト分野、これはなかなかに危険なものでもあります。
迷信深い人たちが、陰謀論や親学や似非科学などのオカルト分野に嵌って廃人化するという現状が御座います。

オカルト的な迷信拡大の予防策となるものは、やはり、正統な本流の様式ではありませんか?

ついウッカリとオカルト分野やカルト信仰に走った人たちが正気に戻った時、立ち返るべき本流が無かったら、何処に戻れば宜しいのか?

元の地点に何も無いとなれば、またしても別の迷信に走るだけなんじゃないですか?

子宮系から赤ちゃんヨーグルトへ、赤ちゃんヨーグルトから親学へ、親学から占い師へ、占い師から霊能詐欺師へ、霊能詐欺師が悪魔祓いと称してお子さんを虐待致死…こんな占いジプシーだらけになったら、真っ当に働ける(次世代の)納税人口が減るでしょ?

まずは、危険な迷信を無駄に増やさない事が肝要なのでしょう。

あの人たちは拠り所が欲しいから、迷信を代替えにしてしまうんです。
そういった他力本願的な人も一定数いるんですよ。

迷信の裾野は幾らでも広がるばかりで、その歯止めとなる伝統文化を失ったら、日本国内はお先真っ暗になりませんか?
これについては、神道も仏教も同じ土俵の上にあるのだと思います。

何かを取捨選択する時は先々の事を想像してみる、こういった視点を忘れてはならないと思います。
特に、洗練された伝統文化をどうするのかという議題に於いては、あらゆる道筋を考慮するのが妥当ではないでしょうか。

日本人が全ての迷信を捨て去る時が来たら、神道文化も不要となるであろうと、当方は考えております。
ですが、我らはそこまで到達していますか?

河川やプールにEM菌を公費で流し込む大人がいる様では、残念ながらまだまだだと言わざるを得ません。

当面は様式だけでも、神道文化が残って行かないとまずいだろうと、当方は考えております。
天皇家を廃するというのであれば皇室典範の改変が必須となるため、これはまた別途議論が必要で、国の将来設計まで考慮せねばなりません。

無論、人道的な視点も忘れてはならない課題と捉えています。
生前譲位の折に浮上した問題ですが、明治期の皇室典範改変によって人道的な要素が廃除されたため、矛盾点を多くはらむ現状へと繋がっており、蔑ろには出来ません。

こういった主題の議論は長期に渡る事が予測されます。
いささか時期尚早とは思いますが、今からその為の肩慣らしをして置くのも宜しいのではないかと、当方も考えておりますよ。

冷静に議論するための参考資料として役に立てば、そんな目的でひとつの記事に纏めてみました。

左右両陣営のお気持ち擁護隊から脊髄反射による呪詛攻撃を受けぬ成り行きを願いつつ、今宵は筆を置きます。

夙谷稀 記
國學院大學国文学科2部民俗学専攻 博物館学課程履修
1989年3月卒業(但し1年間留年)

―― 参考資料 ――

・國學院大學について
https://www.kokugakuin.ac.jp/about/genealogy

・ウィキペディア 國學院大學
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%8B%E5%AD%B8%E9%99%A2%E5%A4%A7%E5%AD%B8

・ヒントとなった文章
天皇の理想的な引き際につきましては、見沢知廉氏の単著で参考となる物があったのですが、大昔に読んだきりなので生憎と題名が思い出せません。
「天皇は元の出身地近くへ移住し、本来の仕事(祭祀)だけをのんびりと受け持って貰う」というのが、概ねの記述でした。
意外と人道的な配慮がなされており、現実的な落とし所として有効だと考えております。
見沢知廉氏の著書は古書店にも余り出回っていないため題名の特定が出来ずにいるのですが、余力のある方は探索なされる事を推奨致します。

・関連する注釈につきましては、それぞれ文字数が多いことばかりですので、この記事の本文外に後日書き加える予定です。

・関連する記事
天皇シャーマン説は誤解に過ぎません
https://note.mu/shukudani/n/n2b8deb51fdb3
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―― 注釈 ――

※1
ステハゲさんの動画が大爆笑出来る理由を説明致します。
他人の留年をネタとして罵倒して置き、後日ご自身が留年するというオチの自虐コントになっているから、物凄く笑えるんですよ。
ステハゲさんがそれを狙ったのかどうかは不明ですが、己の身一つでモンティ・パイソンを超えたのだと思いました。
いや、不明な所が持ち味なのだと熱烈にそう思います。 
また、当方は疑念を自力で解明する習慣があるため、信仰心というものが欠落しています。

◆ステハゲさんの当該動画はコチラ

生前退位した陰キャラ
https://youtu.be/UZQ9Jha2ZwU

留年が確定した低脳くんたち、ダサすぎ
https://youtu.be/2rfVAGzihrg

留年を馬鹿にしたら自分が留年しました
https://youtu.be/y1Dg-_9F6DM

―― 奥付 ――

【天皇という職業】
旧来の右翼の方はお読み下さらぬよう願い奉る

記憶・考案・筆記・権利保有
©️夙谷稀

2019年9月15日 初版発行

引用の要件を満たす場合は権利者の許諾を不要とする。
但し、盗用及び剽窃行為に対しては、容赦なく法的措置を採らせて頂くので、お覚悟召されたし。

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アテクシは一介のサブカルクソ野郎で結構で御座いますよ。