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#167 “桐の葉”を背負うということ。(岡田俊祐/4年)

「筑波大学蹴球部に入る覚悟はあるのか。」



この言葉から始まった今年のフレッシュマンコースも
なんとか終わりを迎えられ、68名の新入部員が筑波大学蹴球部に入部しました。

今年のフレッシュマンコースは、
例年よりも入部希望者の人数が多く、また、チーム内でも色々な事情があり、運営が難しい代であったというのが正直なところです。



こんにちは。
今年のフレッシュマンヘッドを務めました、筑波大学蹴球部4年
岡田俊祐と申します。
今シーズンも約半分が過ぎましたが、たくさんのご支援、ご声援誠にありがとうございます。

「フレッシュマンコース」、「フレッシュマンヘッド」と聞きなれない言葉が並んでいると思いますが、このブログでは、
いわゆる筑波大学蹴球部の新入生研修について、
また、それを行うにあたっての私の想いや蹴球部について考えていることを書かせていただけたらと思います。



そして、このブログはぜひ部員のみんなにも読んでほしい。
直接伝えていることも多くあると思うけど、
俺が蹴球部について考えていること、思っていることを知って、
みんなにも改めて蹴球部について、”桐の葉”を背負うということについて考えるきっかけにしてもらえたら嬉しい。



「筑波大学蹴球部に入る覚悟はあるのか。」

2023年4月6日。入学式の翌日に集まった入部希望者に対して私は問うた。



”フレッシュマンコース”とは、筑波大学蹴球部への入部希望者が必ず乗り越えなくてはならない、仮入部期間のようなものである。
仮入部期間という表現はおそらく部員の中ではしっくりこない。

この期間は、正式な部員になる前に決められたカリキュラムをこなすようなお試し期間とはわけが違う。

蹴球部のことを本当の意味で理解し、考え、時にはぶつかり、成長して、
部員として認められるために、必ず乗り越えなくてはならない、
大きな試練の期間である。

もちろん3年前には自分も経験したし、小井土監督やもっと前の先輩方が部員の頃から、代々続いている筑波大学蹴球部の伝統である。

そのフレッシュマンコースを運営する有志の部員たちが”フレッシュマンスタッフ”であり、自分はフレッシュマンコース全体の責任者であり、統括する役割の”フレッシュマンヘッド”を務めさせていただいた。



昨シーズン主将の栗原さんのブログにも書いてあったが、

筑波大学蹴球部はあまりにも”大きい”。

私もそのことを本当の意味で理解したのは4年生になってからである。



筑波大学蹴球部は、東京高等師範学校時代の1896年から続く長い伝統を持った組織である。
その頃から、日本サッカーを牽引するような人材を輩出し続け、今ではサッカー界、広く社会全体を見渡しても、至る所に偉大な先輩方が多くいらっしゃる。

最近では日本代表での三笘先輩の活躍もあり、筑波大学蹴球部は、日本中の人に知っていただき、たくさんの方に応援していただいている組織である。



このような”大きな組織”であるがために、その分部員が背負うべき”責任”も大きい。



積み重ねてきた長い歴史と伝統を、自分たちの代で壊してしまうようなことは絶対にあってはならない。
応援してくださっているたくさんの方を傷つけ、悲しませることも、
絶対にあってはならない。



筑波大学蹴球部は、はっきり言って、
生半可な気持ちでいてはならない場所だと思う。



今の部員に生半可な気持ちでいるようなものはいない。
覚悟を持ち続け、責任ある行動をとり続けなくてはいけない。



そのような責任ある筑波大学蹴球部員になるためには、
それにふさわしい覚悟を持ち、選手としても人としても成長して、
ふさわしい精神や行動を身につけなくてはならない。

それゆえに、フレッシュマンコースは時に厳しいことも経験しながら、
必ず乗り越えなくてはならない厳しい試練である。



この期間で、
”筑波大学蹴球部とはどういう組織か”
入部希望のフレッシュマンたちは、ひたすら考えてきたと思う。

フレッシュマンコースでは、
フレッシュマンの誰かが蹴球部員として当たり前の基準を満たす行動がとれなかった場合、部活動停止という形で、
フレッシュマン全員がサッカーをすることができなくなる。

その都度、フレッシュマンたちは自分たちで集まって、
”筑波大学蹴球部とはどういう組織か”
その中で、
”自分たちはどのような行動をしなくてはいけないのか”
それを、時には夜遅くまで時間をかけて話し合う。

そのような過程で、フレッシュマンたちは、
筑波大学蹴球部のことを深く考え、自ら自分たちのあるべき姿を描き、
それに向かって成長していく。
その繰り返し、積み重ねがフレッシュマンコースである。

自分たちフレッシュマンスタッフは、簡単に答えを教えるのではなく、
フレッシュマンたちが自分たちで気づき、成長していくことができるよう導く役割である。



フレッシュマンコースは、筑波大学蹴球部を構成する一員を教育する目的においては、組織のための活動であるといえる。
しかし、全くもって組織のためだけにあるのではなく、
個人としても集団としても、”フレッシュマン自身”のための、
大きな意義を持ち合わせている。



この期間を通して、フレッシュマンには
”本当に筑波大学蹴球部に入りたいのか”
”筑波大学蹴球部で何をしたいのか”
を考え、明確な答えを出してほしい。

ここで得られた答えは、4年間、苦しいことや時に逃げ出したいことがあっても、
歯を食いしばり、やり抜く大きなエネルギーにすることができる。

筑波大学蹴球部での活動は、本当にたくさんのことを得られるが、
その一方で、払わなくてはいけない犠牲も少なからずある。

一般的な大学生が経験するような、
飲み会や旅行、その他自由な時間や経験もある程度制限されてしまう。
組織運営のために行わなくてはいけない業務に、時間や労力を割かなくてはいけないこともある。

それでも、
”ここでサッカーがしたい。”
”この組織で得られる経験や感情を味わいたい。”
”ここで成長したい。”
そのような明確で固い意志を持つことができれば、
ここで本当に大きな財産を得られるであろうし、
何事にも代えがたい、本当に充実した4年間を過ごすことができる。

その明確な意志を一人ひとりに芽生えさせることも、
この期間の重要な意義であり、フレッシュマンコースの役割である。



そしてもう一つ、この期間にしかない重要な意義は、
”横のつながりを醸成すること”である。

”横のつながり”を作ることは、簡単に言えば、同期と仲を深めることである。
しかし、この言葉は、字面で理解することはできても、
本当の意味を心で理解し、体現していくことは本当に難しい。
それほどまでに、この言葉は、自分たち筑波大学蹴球部員にとって、
とても奥が深く、価値のあるものである。

自分自身、”横のつながり”があったからこそ、
今、充実した蹴球部生活を送ることができていると心から言えるし、
これからの人生も、同期に助けられ、感情を共有し合っていくんだと思う。

それほどのものは、フレッシュマン期間だけでできるものではないが、
それを醸成していくためのきっかけや土壌を作ることは、
この期間でしか得られない、フレッシュマンコースの重要な意義である。



冒頭にも書いた通り、今年のフレッシュマンコースは難しかった。
条件的な難しさもあったが、自分たちスタッフの力不足もあったと反省している。
それでも、フレッシュマンたちは試行錯誤しながら、よく乗り越えてくれたと思う。

もちろんまだまだ未熟な部分があるのも事実。
それでも、みんななら、これからは自分たちで成長していける。

これから、蹴球部に価値を与え、より良いものにしてくれると思ったし、
この学年なら、筑波大学蹴球部の未来を託せると思った。



部員はわかっていると思うが、
今の筑波大学蹴球部は、理想の姿であるとは言えない。

自分も含め、まだまだ、個人個人にも足りていない部分が多いし、
組織としてももっと改善すべき点はたくさんある。

それでも、その現状を嘆くのではなく、
それを改善していくために努め続けなければいけない。
高みを目指し続けなければいけない。



最後に、突拍子もないことを言うが、
筑波大学蹴球部は”愛”でできていると思う。

この組織を支えてくれているのは、
たくさんのOBの方々であり、支援してくださる企業様であり、
いつも応援し、支えてくださるファンの方々であり、
その他にもたくさんの方々のおかげで、
筑波大学蹴球部は成り立っている。



そして、部員の想い合う気持ちはどこの大学にも負けない
筑波大学蹴球部の良さである。

お互いの試合があれば、お互いが声を枯らして応援しあう。
部を想って、時間や労力を惜しまず働いてくれる部員がたくさんいる。
練習の時間以外でも、ほとんど同じ空間で過ごし、同じ時間をともにする。



こんな集団探してもそう簡単には見つからないと思う。
筑波大学蹴球部は、そんな、本当に素敵な”クラブ”だと思う。



”愛をもって戦う。”
私は、それが”桐の葉”を背負うということだと思う。



末筆にはなりますが、改めて、今シーズン、ここまで、
筑波大学蹴球部へのご支援、ご声援誠にありがとうございます。

MISSIONである、
”大学サッカーを牽引する”
VISIONである
”愛し愛されるクラブ”
を目指し、そして皆様と、
スローガンである”共に頂を”必ず達成できるよう、
部員一同、最後まで力を尽くしてまいります。

シーズン終了まで、そしてその先も、
筑波大学蹴球部へのご支援、ご声援の程宜しくお願い致します。



筑波大学蹴球部

人間学群教育学類 4年

2023シーズンフレッシュマンヘッド 岡田俊祐

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