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三万日

木本周磨
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Recorded at studio Nido 2015 0202 (first Demo 2014 1107) 使用機材 Guild M-20 iphone4 Voice memo micW i436 Guitar mic shure58 Vocal mic shure57

建てない建築家の坂口恭平氏が、日本国民に三万日の喪が必要になる。ということを呟いていたことが今も頭の中にとどまっている。だけど、そんな時間は我々にはない。人生が終わってしまう。年間三万人の自殺者がいることは異常だけど嘆いていても始まらない。一日一日、毎日がもしかしたら供儀なのか、一日24時間の内でわずか5分でも今はここにいない人たちのことを悼む。死んだからってここにいないわけではない。生きているものとここにいないもの、みんながここにいる。そう思うことで日常が違った見えかたをしてくると思えた。現在は三万人を切っている。だけどそういうことではない。

 ブレーキランプが 列をなして
 赤提灯に 見える 葬列は
 色が変わるまで それぞれの
 日々を 悼む

 閉じた空間で ここにいない
 ものたちと 繋がっている
 ただ おもうだけで また
 戻っていく よく 知らない
 この世界へ 走り出した
 車のように

 よく見てごらん 電燈が 
 ひとつひとつの 灯台だよ
 差し示す 光に 身を
 委ねて 舟は いつまでも
 月の上を 揺れる

 走るからだに 風が 纏う
 風が睡る 木々を 見たくて
 連れて行かれた ところは
 いつもの 見慣れた 場所だよ
 そうか

 この部屋に あるものたちが
 ずっと きみを 見てきた
 何度も 同じ道を また
 行き来している 風も ほら
 
 きみのこと ずっと 良く知っている
 待ち合わせして 会う ぼくより
 もう こわがることは ないよ
 いつでも そばにいるよ
 小さな 光を 集めて

 名前のない この日を
 覚えて いなくとも
 時間と 併走する きみは
 いつか 味わい尽くした
 日々を おもう

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