菊池俊平

データアナリストです。noteでは気ままにエッセイを書いています。

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    全国47都道府県、そして世界を旅行した記録を書いていきます。

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彼女と47都道府県を巡る旅を始めた

遠くへ行きたいとずっと思っていた。ここではない、どこか「遠く」へ。それは日本のどこかにあるのかもしれないし、地球の果てにまで行かないとないのかもしれない。とにかく、遠くへ行きたかった。 しかし、「遠くへ行く」というのは、実際にはとても難しい。遠くを目指して、やっと辿り着いたと思っても、新しい「近く」が誕生するだけである。目指していた場所は、そこに到達した時点で、もはや「遠く」ではなくなってしまう。 今とは違う場所を求めていても、それはなかなか手に入れることはできない。それ

    • 僕らはテレパシーを使って働いている

      3年くらい前から、MOSHというフルリモートの会社で働いている。コロナになり、リモート勤務は一般的なものになっていったが、そんなフルリモート勤務を続けながら思い至ったことについて、今回書いてみる。 それは、僕らはテレパシーを使って働いている、ということだ。 ・・・ 僕は今、一時的にヨーロッパにいるので、日本とは時差のある環境にいる。そして、海外にいる間も、普通に日本の仕事を続けている。 朝、起きると、いくつかのメッセージが、コミュニケーションツールのslackに届いて

      • 「太陽の塔」に会いに行く

        他の人にとって取るに足らないことであっても、誰かにとっては「心の支え」となることがある。僕にとっては、万博記念公園にある「太陽の塔」がそれにあたる。 *** 大学2年生の夏に、何を思ったか東大受験を決意した。すでに大学生活を送っていた僕にとって、頂上に向かって再びチャレンジするというのは突拍子もないアイデアであったが、なぜだかその発想は魅力的に映った。 ワクワクするなら、やってみればいい。 自分の直感に従い、半年間がんばってみようと決めた。 独学での再受験だったので

        • 恋と愛の違い

          結婚してよかったことは、恋愛に振り回されなくてよくなったことだ。 結婚してよくなかったことは、誰かと恋に落ちる喜びを味わえなくなったことだ。 ・・・ 僕の人生にとって恋愛は不可分なものだった。 生きていく上で、恋愛はいつも僕の隣にあった。受験の時は当時付き合っていた彼女に振り回されたし、一人の女性に何年間も片思いしてしまったこともあったし、重い重い愛の告白を妻となってくれた女性にしてしまったりした。 全て自分の責任ではあるけれど、僕は恋愛に振り回されて生きてきた。

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          青い風に吹かれながら、色について思うこと

          色に関して言うなら、僕は「青」が好きだ。青は海の色であり、よく晴れた日の空の色でもある。青から派生して考えると、ちょっと色が深くなったネイビーも、大人になってから好きになっていった。 何かの色が好きだということは、よく考えてみると少し不思議な話である。僕には二人の弟がいるけれど、彼らのうちの一人は緑が好きで、もう一人は赤が好きらしい。ちなみに僕には姉もいるけれど、姉が好きな色は忘れてしまった。 僕の兄弟の話を続ける。僕らは物心がついた頃から、好きな色が決定されていた。すな

          青い風に吹かれながら、色について思うこと

          グラデーションと崩壊

          昔から、季節の変わり目に敏感だ。 春から夏に変わる瞬間や、冬の足音、そういったものを、全身が感じ取る。 ちょっと前、まさに秋から冬への変わり目だった。温度や景色、そういったものが、一気に冬のそれへと向かっていく。 今はもう、冬と言っても差し支えないだろう。これから徐々に、季節はさらに深まっていく。 季節はグラデーションなのだ、と思う。 昨日と同じ季節は二度とやってこない。いつも常に、次の季節へと向かう変化の真っ只中にある。 北風が吹き始める。少し、肌寒く感じて、人

          グラデーションと崩壊

          僕たちは何をどうすればいいのか

          旅とはなんだろうか。 便宜的に、それを、「普段行かない場所へと訪れること」と定義してみる。 そうすると、例えば、仕事帰りに普段通り過ぎていた薄暗いバーへと立ち寄ることも、旅に含まれてしまう。 そこに違和感があるのは、やはり距離性だろう。 僕らは少し遠くへ、普段行かないような遠くへ行くことを、旅というフレーズで評価する。 ・・・ 夏休み。会社から休みをいただいて、妻と二人、東北へと旅に行ってきた。 岩手、青森、秋田、山形。 正確に言えば、岩手では、僕の祖父母に結

          僕たちは何をどうすればいいのか

          結婚しなくても幸せな時代に、結婚する意味はなんだろう

          無邪気に婚姻届を出してから、一年が経った。 この一年間、実際にはいろいろなことがあった。 でも、今こうして思うと、あっという間、の一言しか残らない。 ・・・ 今から二年前のこと。 妻と恋人同士になった瞬間を、まだ鮮明に覚えている。 「うちと付き合ったらな、なんでも実現してしまうねん」 付き合ったその日、彼女は言った。 「うん、そんな気がする」 僕はそう答えた。 ・・・ 人はなぜ、結婚するのだろうか。 法律で決められているから? 親を安心させたいから? 愛

          結婚しなくても幸せな時代に、結婚する意味はなんだろう

          虹はどこにある?

          子供の頃、虹を見ると、そこの下の景色に想いを馳せた。 ふもとまで行こうとしても、どんどんそれは逃げていく。 近いようで、遠い。 追いかけているうちに、いつの間にか虹は、姿を消してしまう。 ・・・ 最近、映画「横道世之介」を観た。 吉田修一の小説が原作の、青春映画だ。 長崎から上京した横道世之介が、東京のアパートに下宿しながら、素朴だけど愉快な大学生活を過ごしていく。 世之介にとって、東京での暮らしは初めてのこと。 ホテルでのアルバイトには心が踊ってしまうし、

          虹はどこにある?

          カメラを止めるな!

          ※ネタバレはありません。 妻はあまり、映画が好きではない。 戦闘シーンがある映画にいたっては、はっきりと嫌悪感を示す。 なので、このゾンビ物の映画も、おそらく観るのを拒むだろうと思い、誘わなかった。 否。 SNSのタイムラインや口コミで、「この映画は本当にすごい!」という情報をずっと目にしていた。 だから僕は、なんとなく、この作品が世界を変えてくれる予感がしていた。 そして、妻は、海外出張中だった。 そう、僕は、妻の帰国を待ちきれず、一人で観に行ってしまったの

          カメラを止めるな!

          象に言及する

          象が街を歩いていたら、どうなるだろうか。 それを見た人々は、驚くだろう。 「映画の撮影かな?」 「近くの動物園から逃げ出したのかも」 そんな言葉を口にする。 SNSにアップする人も多いかもしれない。 そのうち騒ぎをマスコミが嗅ぎつけ、象は夜のニュース番組に出ることになる。 そういう風にして、日本中にその話題が知れ渡るかもしれない。 ・・・ 仕事において、プロジェクトの難易度が高くなるにつれて、タスクの抜け漏れが生じたり、ミスが増えていったりする。 何より一番良くな

          象に言及する

          タイでの年越し

          「ファッッッッッキン!」 すごく肩身の狭い思いをしながら、妻と二人で、大きいバンの真ん中の座席に座っている。 僕の左には妻。 僕の右にはブロンドの美女がいる。 前方の助手席、および僕らの後ろの座席も西洋系の人に囲まれている。 運転手だけ、いかついサングラスをかけた、タイ人だ。 運転がとにかく荒い。 「ファッッッッッキン!」 助手席に座る男が、荒過ぎる運転に檄を飛ばし続けている。 運転手は、しかし、気にも止めていない。というより、その英語の意味をおそらく理解していな

          タイでの年越し

          生ひ優る(ショートショート)

          小学生の時、学校を休んでスキーへ行った。 僕と、家族と、同じクラスの友達の家族とで。 あの時は、学校を休むことに抵抗があった。 みんなが勉強している間に休むのは、あまり乗り気ではなかった。 しかし、いざスキー場へ行ってみると、そんな後ろめたさは吹き飛んだ。 友達と一緒に滑るスキーは、文句なしに楽しかった。 あれから幾星霜を経て、いつのまにか僕らは大人になった。 友達も僕も結婚して、お互いに家族ができた。 今度は会社の有給休暇を使って、また友達の家族と一緒に、スノボへ行

          生ひ優る(ショートショート)

          文章を書くということ

          僕が文章を書き始める時、大抵の場合、何か伝えたいことがあるわけではない。 そうではなく、こうして書いていると、自然と、言いたいことが生まれてくる。 次々と頭に浮かんでくるイメージを、言葉として形にしていく。 そうしていくと、やがて、一つの文章が出来上がっていく。 ・・・ それは、行き先を決めずにドライブすることと、少し似ているかもしれない。 カーナビに目的地を設定せずに、その時その時で、右に左にと判断して、進んでいく。 しかも一人でやるもんだから、どこへ辿り着く

          文章を書くということ

          どうしようもないほど誰かを好きになったら

          どうしようもないほど誰かを好きになったら、どうすればよいか? この問いについて考えてみたい。 ・・・ 僕は、人生において、恋愛に対してはオールインの姿勢を取ってきた。 というよりも、そうせざるを得なかった、という方が実態に近い。 誰かを好きになると、他に何も手につかなくなるのだ。 そして、それが恋愛というものなのだと思っていた。 でも、人の話を聞いていると、どうやらそういう人ばかりではないらしい、ということが分かってきた。 「誰かを本気で好きになったことがない」

          どうしようもないほど誰かを好きになったら

          その場所へ行ってはいけない

          人間には生まれ持った好奇心がある。 ナゾナゾを出されれば答えを知りたくなるし、新しい勉強を基本的に楽しむことができる。 知らないことを知るのは心地よい作業であり、学びは人生の本質であるとも言える。 ・・・ 先日、久しぶりに、ディズニーランドへと行った。 妻と二人で、だ。 二人きりで行くのは初めてだったが、まだ僕らが付き合う前、会社のメンバー4人で行ったことがある。 いつ訪れても、夢の国は、僕たちをワクワクさせてくれる。 そういう特別な場所だ。 ・・・ 園内を歩

          その場所へ行ってはいけない