ダーツについて振り返り。

交通事故喰らって引退して以来、10年リハビリして、ようやくダーツにプレイヤー復帰してから何度も書いていることだけれど

「紙飛行機を飛ばすように」
「腕を畳んで返す」
「ラインを作って」
「ダーツの重心を意識して」

これら10年前のダーツテクニックの情報商材に並んでいた内容だけど、全部不要「どこ」「なにを」「どのように」がまるでない。中身すっかすか。

ボードに刺さったダーツの位置は「先行したダーツにあたった」などのイレギュラー以外は、全て「動作の結果」でしかないので、そこから逆算していかないと全く意味がない。漫然と投げていても練習にも研究にもならないし、向上もしなければスランプに陥ったときに組み直しもできない。

そもそも人間は基本骨格や筋肉などに個体差が非常に多くあるので、スタンスにもグリップにもリリースにもダーツ自体のセッティングにも「確定した完全な真理」というものはは一つもない。

そんなわけで「狙ったところに最短距離を真っ直ぐ投擲して刺す」という「目的をもった動作」から無駄な動作を全部削ぎ落としていくしかない。

これも復帰してから何度も云っていることだけれど、全ては引き算の運用。骨格や筋肉の人ごとの個体差による無視できる部分だけを可能な限り無視した、力学動作の大まかなものだけが真理に近いところなので、上手い人らのそういう情報を集めるのは有意義。

ぼくの場合は

「ターゲットとの最短直線距離にダーツを構えられる場所に立つ」
「腕を振った反動で身体がぶれないように重心を落とす(踏みしめてスローラインに立つ)」
「前足の膝関節を完全伸展して固定する」
「頸椎を伸展固定することで頭部・脊椎を固定する」

ここまでがまず、立ち方の分解。

グリップは

「力が正確に伝わるように人差し指と親指で『握る』(つまむ/はさむ、ではない)」
「中指と人差し指の中手骨あたりを『支点』にして、指+ダーツ/掌を『天秤』にする」
「手首は意識的に動作させて『返す』(脱力して倒す、ではない)」

全て意識的な動作。自然に脱力するとかはない。

テイクバックは

「構えた位置から上腕の位置を動かさずに前腕を屈曲させる(肘を曲げる)」
「引く動作ではなく、ターゲットを再視認するための動作」

リリースは

「下に振らず、前に突き出す」
「人間の投擲能力に任せる」

ここは永遠の課題。投擲精度を上げるのは繰り返しで練度を上げるだけ。

情報商材系のアドバイスに多い「自然に」「リラックスして」とか「力まずに」とかいういかにもっぽい言葉に騙されて、ふにゃふにゃに動かそうとすること自体が大間違い。人体の動作の理合いにかなっていない。そもそも「意識的に力を入れた状態を作ってから力を抜く」から「脱力」なのであって、構える段階ではガチガチぐらいでちょうどいい。

学ぶ(まなぶ)真似ぶ(まねぶ)に由来する説もあるくらいだし、好きなプロの影響を受けるのは大いにアリ。でも、こんな感じで自分の動作を分解してレクチャーしてくれないと意味ないよねーと思う。

自分のメソッドを汎用化して言語化できなきゃ意味がない。当然上手い人なりの気づきや発見、テクニックや練習方法は沢山あるだろうけれど、それが個体差によっては真理足るべくもないのは当然のことだし、プロの技術を教えたところで個体差で結果は大きく違うわけだからコピーできるわけもなく「技術を盗まれる!」とかいう心配もない。

そもそもが、未だに感覚とかイメージとか曖昧な表現で情報商材作っているのが本気で草も生えない、ぼくが事故喰らってダーツから離れている間の10年以上経っても変わっていない状況に、非常に「なにやってんの?」感が強い。

プロを名乗らせるハードルを下げておいてこの有様は酷すぎる。主催大会に参加できる資格だけのプロなんか商売にもならんし、プロでもなんでもない。スコアだけじゃなくて、技量と知識と教えて伝えて広げることができて、はじめてその業界の「プロ」でしょ。レッスンで個人が商売にできるくらいにならないと、競技として広がりもしない。

そんなわけで、スコアが強いだけのプロとは別に、有料のレクチャー教室や、個別レッスンなどができる「ダーツのプロ」の資格とかには、最低限、骨格筋名称や各部の神経支配、また各部の筋肉・関節の動作レベルの解剖学くらいはぶち込んでもいいと思うのでした。上手い人ほど感覚だより、練習量と勝負強さ、みたいなの本当に止めた方がいい。

気軽に楽しめる競技だからこそ、上達への近道は、より細やかに真理に近しいところを分解して教えられる人が増えて裾野を広げていかなきゃ未来はないよ。少しでも上手くなって、楽しく投げたい人は沢山いるのに、業界は足踏みしかしていないように思う。

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