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Gibraltarに外貨を稼ぎに行きましょう!

 第6回Gibraltar Backgammon Chanpionship に参加してきました。2007年にモナコに行って以来、約15年振りの海外遠征です。
 コロナも落ち着いてきたし、そろそろ海外遠征も考えたいなあと思っていました。2022年の王位戦の会場でSさんにお目にかかった際に、海外のトーナメントのお勧めを伺ったところ、2月のGibraltarと3月のLoutraki(ギリシャ)のトーナメントを紹介いただきました。「Gibraltarからは日帰りでモロッコまで遊びに行けるよ。Loutrakiの周りにはあまり観光地はない。」との追加情報もいただきました。うちではギャモンのトーナメントに参加するだけでなく、その後の観光も楽しみたいと考えていましたので、アフリカ大陸に人生で初めて上陸できるGibraltarに惹かれました。なお、ご存知だと思いますが、Gibraltarはスペイン南端にあるイギリスの海外領土です。

 今回の旅程は1月31日に東京羽田をJALで出発、2月1日にヘルシンキでフィンエアーに乗り換え、スペインのマラガに到着。マラガには、トーナメントの主催者に依頼して送迎の車(Private Transfer)を用意していただきました。マラガ空港~Gibraltar間は、車で1時間半ほど、料金1人£20
(ユーロで払うと€25)でした。調べたところ、路線バスを使うと€18ぐらい、3時間ほどかかるようです。送迎の方が楽でしょう。ドイツから参加の女性の方ジョセフィンさん と一緒に乗りました。
 送迎については、私が主催者にメールでお願いしましたが、Sさんから「送迎を主催者に依頼できるよ」という情報をいただいたうえ、実際に送迎の手続きがうまくいっているかどうか最後までご心配をおかけしました。
 なお、Sさんは別ルートでGibraltar入りしました。ロンドンで1泊後、ロンドンからGibraltar空港への直行便を利用。Gibraltar空港は、スペインとの国境近くにあり、会場ホテルまで徒歩で15分ほどで、ほかの参加者のみんさんと荷物を引きずって歩いてこられたそうです。なお、滑走路の真ん中を一般道が横切っています。

 会場は、Sunborn yatct hotelという5つ星の豪華客船です。トーナメントの参加者は、シングルルームは£130,ダブルルーム(1部屋)は£140で予約できました。オフシーズンとはいえ、通常料金の半額ほどでしょう。ヨーロッパのホテル代としては安いのではないでしょうか。このほか、ギャモンのメインイベントの登録(レジストレーション)を行うと、ホテルのレストランの料金が10%引きになります。

Sunborn yatct hotel


 私たちが泊まったダブルルームは、たいへん広く快適でした。残念なのは、バスタブはなく、シャワーしかありませんでした。風呂好きとしては残念。客船ですが、岸壁にがっちり固定されているので、揺れることはありません。壁は薄いようで、隣の部屋の話し声が結構聞こえましたが、疲れていたのでぐーぐー寝てしまいました。

 また、宿泊料金には朝食代も含まれており、ビュッフェスタイルでサラダ・チーズ・ハム・卵ほか十分な食材がいただけます。私たちは気が付きませんでしたが、朝食会場にはカヴァ(スペインのスパークリングワイン)もあったそうです。朝のビュッフェで食べすぎて、昼はホテル周辺のスーパーマーケットなどで、サンドイッチを買って済ましていました。スーパーも何軒かあります。
 夕食では、ホテル内のレストランも行ってみました。メインディッシュのラム・チョップは、こんな感じ。年寄りにはこのような料理が続くときつい。

ラム・チョップ


 これもSさんから伺ったお話ですが、以前のGibraltarトーナメントの会場はGibraltarの東側のホテルが会場で、ホテルの外で食事をするのにも車で出かける必要があったそうですが、今回の会場 Sunborn yatct hotelの周りにはたくさんレストランがあります。
 周辺のレストランで、うちが行ったのは、3店舗。ひとつめは、Charlie's Steak House And Grillというステーキ屋です。魚介料理もあるというのででかけましたが、バケツ型の容器に大量のフライドポテトが盛られたうえに魚介のフライが並んでおり、年寄りにはきつかった。また、この店はカヴァがグラスで注文できないということで、しかたなくボトルで注文しました。
 2軒目は、Thi vietnameseというベトナム料理屋です。フォーを食べましたが、日本のフォーともベトナムのフォーとも違う、独自の野菜あんかけ風フォーでした。温かいスープに野菜が入っていて、年寄りの胃には優しかった。
 3軒目は、Little Bay Bar and Indian Tapasというインド料理屋です。マトンのカレーを頼みましたが、おいしかったです。

 トーナメントの概要は、次のURLを参考にしてください。
 https://www.wbfturkey.com/doc/etkinlik/gibraltar2023/gibraltar2023flyer.pdf
 
 メインのイベントは、Masters、ntemediate、Doubles Cosutationの3つです。それぞれのエントリーフィーが、£400(うち£100がレジストレーションフィー)、£200(同50)、£300(同60)でしたが、それぞれに£6,000、£1,000、£3,000のアドマネーが設定されています。
 なお、エントリーフィーをユーロで支払うときは、ポンド建ての数字を1.2倍した金額となる換算率でした。私は手持ちのユーロ紙幣で支払いましたが、イベント開催時の為替相場で考えると、ポンドで支払ったほうがお得だったでしょう。
 
 会場は、Sunborn yatct hotelのボールルームです。参加者が多く混雑しましたが、そこそこの広さでプレーに支障はありませんでした。また、エレベーターや階段で、自分の泊まっている部屋と2~3分で行き来できましたので、草臥れたときに休憩することができ、これはとても助かりました。

 2月1日は、レジストレーションだけで、私たちは少しホテルの周りを散歩しただけで、へばっていました。
 2月2日の13時からは、サイドイベントが始まります。私は50歳以上が参加できるSeniorsへ、かみさんはDMP Challenge(1Point match)に参加しました。メインが始まる前に肩慣らしをしようとしたのですが、結局、この日Seniorsの対戦相手は現れず。かみさんは、DMP Challengeの1回戦トーマスさんとの対戦でした。トーマスさんは、日本にもおられた方で日本のトーナメントにも何度も参加されていました。現在ロンドン在住だそうです。かみさんは、あっさり負けていました。DMP Challengeは、2口でエントリーします。2口目は、その後出目よく3連勝していました。
 20:30から、MasterdのPublic Drawと1回戦が始まります。海外のトーナメントは、よく昼から始まり、ディナーブレクを挟んで深夜までというのが定番のようですが、時差ボケの年寄りにはつらい仕様ですね。とはいえ、1回戦の相手の方は、私よりもまだお年を召しておられそう。13ポイントマッチ11-11のDMPなで行きましたが、勝ちきれませんでした。
 メイン本線を負けると、2nd Chanceに回ります。2月3日から始まった2nd Chance、9ポイントマッチ、1回戦はかろうじて勝ちましたが、2回戦6-9であっさり負け。まあ、ミスってもいるのでしょうが、出目も悪い。

 2月3日には、サイドイベントのSeniors1回戦を行いました。7ポイントマッチ、5-5のDMPの局面、私の対戦相手の白が55ゾロを振りました。どう動かしますか?

White to play 55


 対戦相手の方は、ここで13/8(4)と動かしました。「この後、6や3の目を振ったら、どうするのだろう。13/8(2) 13/3が正解ではないのかしらん。」と考えていましたら、相手は63を振って2つのブロットをさらしました。で、こちらは2も5も振れず、負け。
 帰国してから、解析すると13/8(4)が正解で、13/8(2) 13/3は直後の21.51が良くない目になるので2番手のようです。

 自分の出目が悪いときは、ひとの出目を借りましょう。2月3日22時からは、Doubles Cosutationが始まります。DMP Challengeで好調だったかみさんに、サイコロを振ってもらうと、やっぱり好調な出目。7ポイントマッチ、7-5,7-4,7-0と3連勝。相談ありのダブルスですので、お互いの意見を擦り合わせて、それなりのプレーもできていたのでしょう。
 Doubles Cosutationは、52チームが参加で、うちは逆バイだったので、3連勝してBest8までたどり着きました。Best4から賞金が出ます。取らぬ狸の皮算用をすると、レジスト抜きのエントリーフィー£240に52(チーム)を掛けて、アドマネーの£3,000を足します。Doubles Semi Finalist Teamsの取り分は12.5%なので、おお結構な金額です。

 2月4日13時からDoubles Cosutationの準々決勝です。トーナメント表を確認していると、マラガ空港から送迎で、同じ車に乗ったジョセフィンさんのチームもBest8まで上がってきていました。女性フィンさんに、「準決勝で会いましょう!」と声をかけあい、盛り上がってきました。

 準々決勝の対戦相手はフランスから来たヴィンセントさんとトリスタンさん。これまでの対戦チームとは、ちょっと格が違う感じでした。おお、フランス語で相談してる。なにをしゃべっているか、さっぱりわからん。かみさんも、これを勝つとインマネと知って、これまでになく緊張してるようです。下図は、7ポイントマッチ、1-2の第3ゲーム、黒の相手からDouble。このDoubleは正しいでしょうか、TakeでしょうかPassでしょうか?

Should Black double? Should White take if doubled?


 これをPassして216点のエラー。相手の5ポイントが空いているので、まだまだTakeできる局面でした。ギャモン負け率を過大評価してしまいました。
 Dirk Schiemannさんの本で、5-awayの対戦相手からのDoubleは深くTakeすべし、と勉強してきたはずなのに、勉強の成果を発揮できませんでした。

 次の図は、1-3/7で白のこちらの手番、このDoubleは正しいでしょうか、TakeでしょうかPassでしょうか?

Should White double? Should Black take if doubled?


 解析は58点のあNo Doubleでしたが、ギャモン勝ちもあるので、このDoubleはしょうがない。4-awayの相手は、喜んでTakeするでしょう。

 相手のTakeの後、こちらの出目は52でした。どう動かすのが正解でしょうか?
 かみさんは、13/8 13/11と保守的な手を選び、私は攻撃的な5/1 6/4*を選び、私の意見が通りました。
 局後にSさんから4ポイントボードを作る8/1が示されました。これが正解で、5/1 6/4*は153点のエラーでした。まあ、今見れば8/1の一手なのはわかりますが、試合中はギャモン勝ちを狙わなければならない意識が先行して、当たり前の8/1が候補にあがりませんでした。これまでの試合では、かみさんから保守的な候補手が出、私から攻撃的な候補手が出、相談して中庸な手が選べていましたが、この場面では中庸な選択肢が選べませんでした。
 この後、相手に4を振られて、逆転され、運悪くギャモン負けまでして、Doubles Cosutationを敗退しました。相手のチームが記録した棋譜を送ってくださったのですが、P.R.は相手が1.60,こちらが11.48、L.R.はこちらの-1.959とお話にならないレベルでした。ヴィンセントさんとトリスタンさんのチームは、この後ジョセフィンさんのチームを破り、結局Doubles Cosutationで優勝しました。
 
 最終日2月5日は、 MastersのLast Chanceです。対戦相手は、ウィルキンソンさんで、Sさんのお知り合いのようですから強豪なのでしょう。海外の有名プレイヤーを勉強していないので、誰が強いのか全くわかりません。

 5ポイントマッチの第1ゲーム、白のこちらの手番、このDoubleは正しいでしょうか、TakeでしょうかPassでしょうか?

Should White double? Should Black take if doubled?


 解析では、No Redoubleが正解で、Doubleは67点エラーでしたが、まあ相手が強豪であれば許容範囲でしょう。実戦では、63を振って、この後8倍のCubeが来て、このマッチは1ゲームで負けてしまいました。このマッチも相手の方が棋譜を送ってくださったのですが、P.R.は相手が1.30,こちらが2.79、L.R.はこちらの-0.742でした。

 かみさんのDMP Challengeの次の対戦相手ロジャースさんも強豪で、かみさんが先にフルプラを作って相当有利にたったのに、6が振れずに相手のプライムが超えられず負けてしまいました。われわれの挑戦したGibraltar Backgammon Chanpionshipは、これで終わりました。

 久しぶりに海外のリアルの大会に出て感じたのは、良い目を念じてサイコロを降ったり、小さな目を振りたいときは、そっと振ったり、ギャモンプレイヤーは、どこの国の人でも同じだなあ、ということでした。好い目が出て喜び、悪い目に渋い顔をする。ダブルスの味方同士で口喧嘩が始まる。日本の大会には、ここ何十年も参加しなかったかみさんも、楽しんだようでした。(出目が良かったからね。)
 参加されている方の全体の年齢層は、結構上でした。Zdenek Zizka のような強豪の若手の方もおいででしたが、表彰台に登っていたのも年配の方も多く、不甲斐ないプレーをした私が言うのもなんですが、強い日本の方が多く参加すれば、何人かは表彰台に上がられるでしょう。アドマネーの大きいGibraltarは狙い目ではないでしょうか。(これもSさんによれば、アドマネーには、観光振興のためかGibraltar政府も出資しているそうです。表彰式にも総督が出席していました。)

 この日、用なしになったわれわれは、Gibraltarのメインストリートの奥にあるCableCarという名前のロープウェーまで歩いて行って、Gibraltar Rockに登ってきました。表彰式のパーティーに出席後、Sさんの部屋でSさんの用意いただいたピンク色のスパークリングワインを頂戴しながら残念会をしました。なお、Sさんはご自身のTwitterでも書いておられましたが、朝食会場でカヴァを発見してしまった日、それまで勝ち上がっていたすべてのトーナメントで敗退されたそうです。

 翌日から、われわれは、ホテルに用意してもらった車に乗ってモロッコ行きのフェリーが出港するスペインのタリファの港まで送ってもらいました。£120でした。送迎車の運転手はフランシスコさんといって、ドラゴンボールが大好き。車内でアニソンが響き渡るという状況でしたが、長くなるのでこの辺で止めておきます。

タンジェの夜景


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