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正月に鼻毛抜きで人生を失いかけ、取り戻した話

これは大学3年生の正月の話である。

年末年始は実家で自堕落な生活を送っていた俺はテレビを見る以外やることがなかった。そんなテレビではある商品が紹介されていた。「Gosso」(鼻毛抜き)である。今でこそYoutuber御用達のネタ商品となっているが当時はまだ無名。どのような商品かというと、プラスチックの棒とロウソクのろうのようなものがあり、電子レンジでろうを柔らかくする。そして棒でろうを絡めとり、そのまま鼻にブッ刺すのである。ろうが冷えて固まる過程で鼻毛も巻き込んで固まる。そして刺した棒を思いっきり抜くことで、大量の鼻毛を一気に処理することができるという代物である。これをテレビで芸人が実演し、痛いだのすげー抜けただの騒いでいるのを見て、何を思ったのか

自分「すげ〜欲しい〜!」(こたつで寝ながら)

となったのだ。

早速、実家から戻ってきた俺はAmazonでGossoを購入した(1200円)。すぐに届き、ワクワクとドキドキの中、試してみた。

電子レンジで2分加熱し、まだ少し熱いが、固まってしま前にと思い、棒に絡め、鼻に刺した。テレビではたくさん鼻毛が抜けた芸人もいたが、全然抜けなかった芸人もいた。全く抜けないのを恐れ、少し奥の方にしっかり差し込んだ。

そして1分後、ろうは完全に固まり、自分は鼻毛が綺麗に抜けて、鼻の中がスッキリしている自分を想像していた。ところがいざ抜こうと少し引っ張った時

自分「え、、、、、、痛すぎ、、、、(絶望)」

そう、想像していたよりもはるかに痛過ぎたのである。おそらく少し奥に押し込んだことで奥の抜いてはいけない鼻毛まで引っ掛けてしまったのかもしれない。鏡を見ながら、何度も抜こうと試みるが、痛過ぎて強く引っ張ることができない。つい10秒前まであったワクワクとドキドキが一瞬で消え去り、ひたすら絶望感だけが湧いてくる。一応言っておくが、この日は2017年が始まってまだ5日目である。自分は一人暮らしで他に誰もいない。アホ丸出しの自分しかいないのである。

自分「新年そうそう、1人で何やってんだ、、、、、(超絶望)」

どう頑張っても抜けず、疲れ他ので少し休憩し、冷静に考えることができるようになってきた。少しずつ端から剥がし、最後はハサミなどで切り取る作戦を考えて、実行したが、そもそも端から剥がすがすでに痛い。そんな時、自分はあることに気がついた。

自分「来週、授業だ、、、、、、(マジ無理)」

そう授業である。このままでは鼻の穴から棒が生えた状態で授業を受けなければいけないのである。なんとしてもすぐに抜かなければいけない。さらに絶望である。取り戻した冷静さが一瞬で消え去った。慌てて、再び抜こうと試みるがただひたすら激痛が走るだけで抜けない。ろうを柔らかくしようと、顔を電子レンジに突っ込むが閉まらないことにガッカリする始末である。

自分「このまま鼻の穴から棒が生えた状態で大学に行き、授業を受け、卒業し、社会で働き、結婚し、子供を育て、そして死ぬ人生、、、、、。いや無理だ、鼻から棒が生えた状態じゃあ授業受けることも、卒業することも、社会人になることも結婚もできない。マスクで隠しても、食事の時にバレちゃうわ、、、、。あっ俺の人生終わった、、、(死)」

この瞬間、自分はたった今、人生が終了したことを理解した。静かにうずくまり、ひたすら絶望し、

自分「お父さん。お母さん、大切に育ててくれたのに、こんなことで人生終わってごめんなさい、、、ひたすらダサくてすいません、、(泣)」

しばらく絶望した後、再び冷静になり(2度目)、あることを思いついた。ろうを柔らかくするために、電子レンジではなく風呂の熱いシャワーを使うことにした。急いで風呂場に行き、一番熱い温度にしたシャワーを鼻の中に向けて、浴びせながら少しずつ引っ張った。もう一度言うが、これは新年開始5日目の出来事である。シャワーのおかげで少しろうが柔らかくなり、抜きやすくなった。無事に鼻から棒を抜くことに成功し、めちゃくちゃ安心した。もうどれだけ鼻毛を抜くことができたのかはもうどうでもよかった。自分の人生を取り戻すことができた安堵でいっぱいだった。

自分「これで来週、授業行けるし、社会人になれるし、結婚できる、、(歓喜)」

そしてGossoはそれ以降一度も使ってはいない。


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