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J3 第23節 レビュー【テゲバジャーロ宮崎 vs 鹿児島ユナイテッドFC】上野体制を1回整理してみる

2021.10.17 J3 第23節
テゲバジャーロ宮崎 vs 鹿児島ユナイテッドFC

こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。

今回のお相手は宮崎。
21試合終えて、12勝4分5勝の勝ち点40。
1試合消化数は多いと言えど、2位に位置しています。

前回対戦時も良いチームだなと思いましたが、さらにブラッシュアップされていて「面白い」から「強い」チームに変貌していました。

個人的にはかなり衝撃的な試合でした。
早速見ていこうと思います。

ご笑覧ください。

0.スターティングメンバー

TACTICALista_2021A宮崎戦スタメン

鹿児島から行きます。
メンバー変更は無し。今節も行われた予定調和投入には釈然としませんが、今のスタメンが引けを取るわけでは無いので、人選は納得です。

78分には久しぶりに中村が帰ってきました。
短い時間でもあり、特段違いは見せられませんでしたが、ちょっと今日はチームとしての問題が大きかったので、何とも言えません。次もチャンス貰えると良いね。

続いて宮崎。
こちらもメンバー変更ありません。

まぁ、絶賛4連勝中ですし、変える必要もないでしょう。
実際に試合内容を見ても、変える必要ないな!と納得しました。
次項から内容に触れていきます。

1.前半

いつも通りの宮崎

宮崎はいつもと同じように自分達のスタイルを押し出してきました。

まずはボール非保持について、

・基本的にはブロックの外を回らせたいので、内切り。

・左SHの18番渡邊は縦切りでSB(今節はフォゲッチ)にチェック。右サイドに迂回させる。

・外回りで右サイドに誘導させ、大外レーンに追いやり、SH(今節は米澤)やSHが中央にパスしたところで刈り取り。

という仕組みが作用していました。

実際に1失点目はスクランブルな盤面ではありしたが、鹿児島左サイドで大外レーン内の縦パスのみに選択肢を制限され、その縦パスが出たところをSBの2番青山が回収。そこで上がったクロスから失点しました。

さらに2失点目は、フォゲッチへの縦切り・八反田が寄りすぎて各々のマーカーが前向きで守備に行ける状態が生まれたところをロスト、失点となっています。

実際にゴールが決まったのは、クロスやシュートの技術、ボールの雲行きを感じ取れた宮崎の選手の質もありましたが、大枠の流れでは、この流れが奏功していたと思います。

またミクロに目を向けても、守備時における鹿児島SH・SBへの対応の判断も良く出来ていました。特に、左SH18番渡邊はどこまでSHに付いて行くか、SBを追うのかという判断が精緻で、37番奥田と共に前進を阻止出来ていたと思います。

守備については、36番三村の試合後コメントからも自信が窺えます。
同じ形で守って結果を残せていますし、ミクロ・マクロ共に良く守れていました。

(FW36番三村 試合後コメント)
ーーチームとしての攻撃と守備を振り返って。
攻撃については、入りも非常に良くて点が取れた。守備では、勝っている状態でもう少し割り切ってプレーしても良かったんじゃないかと思う。ウチはチームとしてハードワークも出来るし、繋いで来られても奪いに行く守備は出来るので、それほど嫌じゃない。スタートの11人がハードワークして良い展開をしてくれるので、サブとしては試合を決められる時間帯に出て上手く繋いで、今日のように結果を残していきたい。

ボール保持に話を進めましょう。

その前に、ボール非保持で何故宮崎は右サイドにてボールを刈りたかったのか?について触れていきます。

その答えは、右SBの2番青山にあります。

2番青山は、大外を滑走するタスクがメイン。
スピードがあり、トランジション局面でも鹿児島の選手に先んじて攻勢に出ることが出来ます。米澤が後手に回るってJ3では中々無いはずです。

よって、単純に質で勝てる2番青山をトランジションの起爆剤にしたいのだと思います。

さらに、そのトランジションを有効に進める為に右SHに配置しているのが、23番徳永。

2トップが中間ポジションを取って、CB・SBをピン留めする中、インナーに入り、フリーマンとして振る舞っています。

ちょっと23番徳永はずるいです。
宮崎の両DHがサイドに流れれば、逆サイドハーフスペース付近に位置しビルドアップの出口になったかと思えば、右サイドでボール循環している時は米澤や八反田をピン留めして2番青山の上がりを有効に進める役目をしていました。

特に、23:20~の疑似カウンターは見事でした。

TACTICALista_2021A宮崎戦疑似カウンター

・鹿児島のプレス基準をズラす、47番植田を介したビルドアップ。
・中盤で2人を引き付ける7番千布のポジショニング。
・八反田と米澤をピン留めする23番徳永。
・それにより、フリーになる17番前田がビルドアップの出口に。
・11番藤岡は中間ポジションを取り、衛藤を中央にピン留め。
・フリーになる2番青山が走る裏へスルーパス。疑似カウンター発動

と、各選手のポジショニング・受ける位置の意識が噛み合って、チームとしてフリーな選手を作ることで前進出来ていました。

上図は1例で、上手く前進された場面を多く作られたのが第1Q。
両チームの選手コメントからも分かるように、第1Qは完全に宮崎ペースで進められました。言い訳もございません。

中原のプレス回避案

鹿児島サイドから見ると、外回りさせられる!相手の右SBに押し込まれる!米澤も押し込まれて攻勢に出れない!と非常事態。

プレッシングの回避策として、中原が「イヨハ横」を取る傾向があったと思います。

比較的、スペースに余裕のある左サイドをビルドアップに長ける自らが取って外回りを回避したかったんじゃないでしょうか。

そのアイデアは良いかなと思ったんですが、実際にはCB間に落ちる八反田と合わせて5バック気味になったり、中央に人がいなくなるのでお願い萱沼!のロングフィードなどに終始してしまったという印象です。

撤退する宮崎

2失点目を喫してから、宮崎はリトリート傾向になります。
前線からのプレッシングは避け、ミドルプレスに切り替えました。

先ほどの36番三村のコメントでは「勝っている状態では、もう少し割り切って良かったんじゃないか」という旨の言葉もありましたが、スコアと時間経過に即して、どう振る舞うのかについては意思統一出来ていたように感じます。

それでも徹底的に割り切って。という言葉が出る辺り、やはり内藤さんのチームというか鹿島イムズを感じます。なんとなく。

この時間帯の鹿児島は、右サイドでSHインナー・SB大外の構図が明確になっていた頃でもあります。三宅のインナーラップが何度か見られ、CB相手にドリブルを仕掛けられる場面も出てきました。

そして米澤のゴールも、この構図が奏功して宮崎の4-4ブロックが広がっていたことも一因だと考えています。萱沼のダイアゴナルも効きましたし、勿論米澤のシュートもえげつないですが。上手すぎてちょっと引いたもん。

兎にも角にも、前半の内に1点返して同点・逆転の目を残して折り返すことには成功しました。

2.後半

プレッシング開始の位置

前半の内に変更はされましたが、後半に入ってからの方がメインだったので、こちらで。

上野監督のコメントにもありましたが、守備のやり方を少し変更していました。具体的には、SHのプレッシング開始位置の変更ですね。

ーー守備面で中央のスペースを空けたように見えたこと
中央が空くというより、マークにつけなかったことが失点の原因だったと思います。
2失点してからプレスの形を少し変えて、少しずつ自分たちの流れを持っていって、1点を奪い返せました。
後半に向けてプレスの形は変えていきましたが、選手たちはみじかい準備の中でよくやってくれたと思います。

前半(2失点目以前)は、SHは2ndラインの位置から構える場面が多数でしたが、2失点目以降は最前線まで積極的に追うようになります。

これにより、宮崎CB2枚・CB間に落ちる宮崎DH・左SB37番奥田の4枚と鹿児島の両SH・CF・トップ下が数的同数で噛み合うことになります。

こうすることで、2番青山を大外で高い位置を取らせて押し込みたい宮崎相手には、米澤の外から2番青山に通される心配が薄く、数的同数になりやすいです。

また、2番青山に下がって受けられたとしても、青山を低い位置に追い出せるのならそれで良いじゃないか!というロジックが読み取れました。

勿論付け焼刃なので粗はありますが、機動力のある両SHが前向きにプレスに向かうことで、宮崎ビルドアップ隊に認知的な負荷を掛けてバックパス→蹴らせて回収の場面は増えていました。

が、しかしそこは宮崎。逆手に取ります。

効果を発揮する宮崎のスキップパス

前半から何度か狙っているな、とは思いましたが、SHのプレッシング開始位置が高くなったことで活用しやすくなっていたかもしれません。

キーワードは「SH裏」でした。

TACTICALista_2021A宮崎戦ロブパス

・プレス基準をズラす、47番植田のビルドアップ参加
・28番大畑に出る(出ざるを得ない)米澤。
・低いポジションを取る宮崎両DH。中原が付いて行く。八反田は23番徳永を見ている。
・11番藤岡が中間ポジションでしっかりピン留め。衛藤は前進出来ず。
・47番植田は、空いた2番青山へロブパス。たまらず釣り出される八反田。
・ロブパスの行き先では2番青山が勝利。中央でフリーになった23番徳永へ。疑似カウンター発動。

と、またもや晒されてしまった鹿児島DFライン。
こうして押し込まれたところから3失点目を喫してしまいます。

ところで前回対戦でも言ったと思うんですが、植田上手すぎませんか?ここまで出来てましたっけ?

でも多分、狙うところを事前に認知出来ているというのも一因なんだろうなあと思います。どこよりも彼を輝かせられている宮崎さんに嫉妬するなどをしています。この数日。

まあ、最後まで宮崎は素晴らしかったです。
フォゲッチがアーリークロスあるあるで2失点目を帳消しにする追加点を挙げますが、反撃もここまで。

手痛い、というか致命傷の敗戦となりました。

強みを活かした戦術構成の差

一番宮崎との差を感じたのは、「選手の強みを活かすところから逆算されたゴールへの道のりのオーガナイズ」です。

右サイドに活路を見出している宮崎。
そこで崩すための非保持における振る舞い、チーム全体の配置やゴールまでの経路が明確に伝わります。

一方で、前節同様どこで・どのように崩したい?が見えてこない鹿児島でした。

前回対戦から見ても、着実な積み上げがあった宮崎と突き抜けられない鹿児島の対極っぷりが顕著に出たという点で、現実を突きつけられました。

次戦は光が見えるでしょうか。

上野体制を1回整理してみる

エラーはどこで起きてるんでしょうか。
ちょっとここで整理してみます。

最上位のコンセプトは、新体制発表会でGMが発した文言として揺るぎは無いと思います。

①クラブが目指す攻撃的なサッカーを体現でき、
②失点減のためにボールを取り上げることが出来る

でしたね。

その上で、上野監督招聘の意思決定を考えてみます。

①クラブが目指す攻撃的なサッカーを体現でき→◯
②失点減のためにボールを取り上げることが出来る→?

①については山口で一世風靡した上野監督。攻撃に重きを置くという意味での人選は頷けます。

②については微妙だなぁと。就任会見では「ポゼッション高いのは良いけど、それだけじゃなくて縦に速い攻撃もしたいよね!」といった発言もしていました。

捉え方によっては、相手陣地でのポゼッション・パス成功率を高めて、自分達のターンを増やすぜ!とは相異なる考え方にも思えます。微妙です。

その上で、上野体制での成績を見ていきます。

ここまでの戦績は、8試合で3勝2分3敗の勝ち点11。
得点12点(ave.1.5)、失点12点(ave.1.5)。

大島体制では、得点ave.1.17・失点ave.0.83だったので、得点・失点共に大きく増えました。

単純に得点と失点ベースで考えると、就任会見コメントを受けての「攻撃的ではあるけど失点減に繋がるかは分かんないぜ!」という感覚は強ち外れてもいないようです。

その原因を探るために、ピッチ上の具体的な現象に目を向けてみると、先ほどの「選手の強みを活かすところから逆算されたゴールへの道のりのオーガナイズ」が不足していることが1番にヒットしました。

要するに何を強みと置いて、どこを使おうとしているのかが見えないという、ピッチ上の具体より1つ抽象レベルが上の方向性が不透明なように見えます。

なので、実際の盤面で誰がどこに〜どうこうというより、そもそも何を強みにしてる?が明確に見えるようになるのが先決かなと思います。

続く来週の沼津戦。
難敵ですし、舐めてる訳じゃないですが、福島・宮崎と比べたら一段落ちる相手だとは思います。

そういった強みとする部分が見えてくれば良いですね。というのを締めにしようと思います。次節に期待しましょう。

それでは、来週もよろしくお願いします。

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