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わたしの好きな周南市の風景(カバは夜光る)

周南市はなにかと動物に縁のある街だ。

JR徳山駅の到着メロディで童謡のぞうさんが流れ、周南市北部の山間にある鹿野地区には人によってはライオンのように見えるという岩がある。
街なかに動物園がある。八代のツルおよびその渡来地は国の天然記念物だ。


実は周南市には有名なカバがいる。

市民のだれもが知っている。

路上に住む巨大なカバだ。

周南市花畠町にある周南市美術博物館のすぐそばの国道二号線沿いに住んでいる。近くには周南市徳山動物園、周南市文化会館、春には満開の桜がトンネルをつくる並木道もあって、上品ながら賑わいのある場所だ。

埋まっている。

スタンダードなカバは生活の大半を水に浸かって過ごすが、このカバは生涯の全てを地面に埋まった状態で過ごしている。


カバは見た目に似合わないほど獰猛(どうもう)だという事は知られた話だが、このカバもそうらしい。
何があったのかはわからないがライオンを食べたらしい。

カバの口の中で見つけたライオンの壁画


ワニの壁画

他にも食べている。

フラミンゴの壁画

こんなものも食べている。


ご覧のとおり多くの動物を食べていた。カバは草食動物だと思うが、このカバは肉食なのか?
いや、虹もたべている。
カバの口腔内に虹を食べた痕跡がある。
このカバは、どうもいろいろ食べるらしい。


なので、自分も食べられてみることにした。
見ての通り歩行者だけの特権である。

カバの口

確かに虹を食べている。
ところどころ消化されたらしい。

カバの口の中からの光景

反対側から見るとこんな感じだ。
もう片側の出入り口にもついているが左上の赤いランプがなんのためについているのかはわからない。稼働しているところも見たことがない。


構内

中は意外なくらい落ち着いたオールドな光景。
ところどころにいる壁画たちが愉快な雰囲気。

半ばまで来ると、周南市出身の詩人、まど・みちおさんが作詞した童謡「ぞうさん」のインストゥルメンタル(歌のない、楽器だけで演奏された曲のこと)が流れだした。
最後まで聞くとちゃんと2番まで流れている。
意外とこの曲をフルで聴ける場所は少ないので嬉しい。

ぞうの壁画

ちゃんとぞうもいる。

対岸の出入り口

出てくるとこんな感じ。
反対側から出ると魔法が解ける。


このカバの地下道は夜も楽しい。
こうなる。

夜に光るカバ


光る。

夜の帳(とばり)の中で煌々と光っている。
特に上あごの牙が。
昼には飲み込んでいるように見えた虹も、暗闇の中で見ると逆に吐き出しているように見える気がする。
なぜだか感じる吸引力。
ある日、突然異次元の世界につながっても不思議ではない雰囲気。
多分、赤いランプがついた時に繋がるんだろう。

カバは夜光る。

毎日、夜の闇に虹を吐き出し続けている。



追記 後日、赤いランプについてこのカバの飼い主である国土交通省中国整備局に問い合わせたところ、地下道の中にある非常ベルが押された際に、中で非常事態が起きていることを光や音で外にいる人たちに知らせるためのランプなのだそう。
もし、ランプが光っているのを発見された際は、迷わず110番通報をお願いしたいとのこと。