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避暑のブラッシュアップ


実は、脳というのはものすごい発熱器官でもあるので、
放っておいたら温度がどんどん上昇してしまいます。
パソコンもファンで常に冷やさないと熱くなってしまいますが、
情報処理に多くのエネルギーが費やされるのは人間の脳も同じことです。
脳の細胞は、一般の細胞の何と10倍も発熱することが分かっています。
そのため、脳髄液を脳のまわりに
ぐるぐると循環させることで脳の温度を下げています。
ちょうど車のラジエーターと同じようなものです。
      ―――吉田たかよし(『脳を冷やせ!』31頁)



▼▼▼北海道がけっこう暑い▼▼▼

北海道に来て10日が経つ。
最初の1週間は家族との旅だったので、
かなり移動したけれど、
残りの2週間は札幌で「脳を冷やす」ために滞在する。
仕事もするし、人とも会う。
ほとんど何の予定も入れずに来たけれど、
来てみるとやはりけっこう予定というのは入るもので、
わりと毎日のように人と会ったり出かけたりすることになりそうだ。

あと、北海道もけっこう暑い。
道東は日中の気温が17度で、
夜は寒くてストーブ焚いたりしたが、
札幌はまぁまぁ暑い。
会う方々が時おり、
「普段はこんなことないんだけど、ごめんね」
みたいなことを仰ってくださるのだけど、
まったく「ごめんね」なことはない。
謝らなければならないのは地球を温暖化させた、
人類全体の大量消費・大量生産の資本主義の暴走のほうなので、
北海道の人は何も悪くない。
むしろ被害者なのだ。

ただ、そうはいっても涼しい。

「暑すぎるので命を守るために不要不急の外出は控えて」
とアナウンスされるまでもなく、
家から一歩出たら命の危険を感じて、
じっさい延期できる予定なら延期したりしてた、
東京の暴力的な暑さとは違う。

僕は酷暑が続くと脳みそが煮えてきて、
体と脳が重くなり動きが悪くなるのだけど、
この1週間でずいぶんそれが楽になった体感がある。
暑いとはいえ30度前後なので、
出かけられるし、散歩もできる。
それが東京とは大違いなのだ。

本当に。


▼▼▼自分の体で実験する▼▼▼


こうして8月を北海道で過ごした結果、
9月に体調がどうなるか、
自分の体で実験をしている。

この5年で4回、8月後半から9月頭にかけてのタイミングで、
鬱が再発してきた。
それで2か月以上、毎年死ぬ思いをしてきた。
それを今年は回避できるのか。
自律神経だとか脳内の化学物質のバランスだとか、
そういった諸々が関与しているから、
単純に「ああしたらこうなる」というふうに、
僕の脳が振る舞うかどうか分からないのだけど、
とにかくやってみないと分からない。

「効果があるかもしれないことはすべて試す」
が僕のポリシーだ。
僕は往生際が悪いのだ。
『蜘蛛の糸』のカンダタのように最後までもがくタイプだ。
だから漢方クリニックにも行ったのだ。
詳しくは過去のPodcastを聞いて欲しい。
ある界隈では「伝説のフリートーク回」と言われている。
その「界隈」は、僕の妻を入れて、
たぶん全国に10人ぐらいしかいないけど笑。

もしこれでも鬱が再発するようなら、
もはや何をして良いか分からない。
カナダとかグリーンランドとかアラスカ州に移住するとか、
謎の民間療法に手を出して、
片岡鶴太郎のように痩せはじめ、
片岡鶴太郎のように内臓を剥がし、
片岡鶴太郎のように朝2時に起床し、
片岡鶴太郎のように4時間かけて朝ご飯を食べ始めるかもしれない。
そのときはどうか、全力で止めて欲しい。

あんな人生は嫌だ。
本人は幸せなのかもしれない。
でも、5秒考えてみたけど、
やっぱり嫌だ。
4時間かけて朝ご飯食べたくない。
4時間かけて朝ご飯食べれば鬱が治る、
と言われたら、悩みに悩んで、
その悩みで鬱になると思う。


▼▼▼人混みと暑さ▼▼▼


土畠くんの家に滞在していると昨日書いた。
正直、居心地は天国のようで、
ストレスというものから自由になる。
4日間滞在した次女は空港への帰り道、
「どばっちの家に帰りたいよー」と言っていた。
「帰りたくなる家」なのだ。

何でこんなにストレスがないんだと考えると、
もちろん素晴らしい配慮やおもてなしや愛、
ゲストをお迎えするために設計したという、
家自体の居心地のよさもあるのだけど、
「立地」が素晴らしいのだ。

とても、とても、静かな場所にあるのだ。

北海道と東京の両方に住んだことのある人は分かるのだけど、
北海道の「家と家の間隔」は非常に広い。
特に札幌中心部から離れるとそれは顕著で、
東京なら5軒の家が建つ間隔に、
2~3軒しか家が建っていない。
家と家が離れているのだ。

さらに土畠家の裏には山しかなく、
窓からは木々と山しか見えない。

そうすると、周囲に人の気配がしなくなる。

「人の気配」ってけっこう重要なのだ。

僕が最も苦手なのは、

1.暑さ
2.人混み

なのだと最近確信するようになった。
だから「暑い人混み」は最悪なのだ。
どちらかならばまだギリギリ持ちこたえられるが、
暑くて人が多いと、もう頭がクラクラしてきて、
過呼吸というか低酸素というか、
なんか心臓がバクバクしてきて、
一目散に逃げたくなる。
じっさいに、逃げる。
「あ、死ぬ」と思って逃げる。
じっさい今年の夏も、
妻に「本当にごめん、先に帰る」といって、
妻と子どもを人混みに残して避難し、
しばらく目を閉じてじっと回復を待ったことが、
今までに2回ある。
本当に「あ、やばい、死ぬ」って思うのだ。

人混みというのは、
新宿駅みたいな人混みもそうなのだけど、
実は「人の気配」も僕は苦手だ。
僕は東京で散歩ができない。
東京で散歩すると、人と必ずすれ違う。
どんな時間に散歩しても人とすれ違う。
僕は人とすれ違うだけで脳みそが疲れる。
脳に傷がつく感じがする。
HSPって疲れるのだ。

だから、家の中に籠もっていたとしても、
東京のマンモス団地の一室と、
東京の低層階のアパートと、
東京の一軒家と、
地方の団地の一室と、
地方の低層階のアパートと、
地方の一軒家とで、それぞれに回復の仕方が違う。

単純に言って、
「周囲の人の気配の多さ」と、
「疲れ方」は正比例の関係にある。
周囲に人の気配が少なければ少ないほど、
僕の脳は疲れないようにできている。

だから、家の裏には山しかない、
というこの環境は僕の脳には良いのだ。
そうやって「酷暑×人混み」の東京から、
「冷夏×人の気配なし」の北海道に逃げることで、
僕の体調はどうなるのか。
9月や10月には結果が出るだろう。

こんなこと言いながら、
見事に鬱が再発したならば、
そのときは笑ってやって欲しい。
そして、1%ぐらい、同情して欲しい。
僕はきっと泣きながらあの漢方クリニックをたずね、
泣きながら90分、先生の説教を聴き、
泣きながら漢方を飲むことだろう。
詳しくは「神回」と呼ばれの高い、
Podcastのフリートーク回を聴いて欲しい(二度目)。


▼▼▼今年の反省点・来年からの展望▼▼▼


さて。
だらだらと脈絡なく書いてきましたが、最後にひとつ。
今回「何をスーツケースに入れるか」はけっこう悩んだ。

3週間の滞在だから、何が必要か。
難しかったんだけど、いろいろ詰め込んでいたら、
国内線の手荷物預かり上限重量の20キロを超えそうになり、
ちょっと調整したりしてギリギリになっていた。

本をいっぱい詰め込んだのだけど、
正直、こんなに必要なかった。
案外、読めない。
東京にいるときよりも読めない。
そりゃそうだ。
いろいろ人と会う予定が入るからね。
東京でもできることを敢えてこちらでしないからね。
あと、友人がけっこう「この本良かったよ」と、
本を貸してくれたり、いただいたりする。
だからこんなに本、必要なかった。

あとトレーニング器具とプロテイン。
一応筋トレはオフにしようと決めてきたけれど、
どうしてもトレーニングがしたくなるかもしれないと思って、
プロテインと小さな筋トレ器具を持ってきた。
でも器具は一度も使ってない。
ちゃんと関節を休める期間にしたほうが良さそうだ。
プロテインも、一応気休め的に飲んではいるけれど、
そんなに気にすることないなと思った。
せっかく北海道に来ているのだから、
食べたいものを食べたらいいな、と。

あまり自制心は強くないほうだが、
曲がりなりにも普段、
多少節制しているとしたら、
それはこのときのためだろ、って思った。

逆に、これは必要だなと思ったもの。

いろんな種類の服が必要だった。
道東に行くと17度で、
夜はストーブ焚くほど寒く、
札幌の一番暑い日は34度まで上がる。
あらゆる季節を想定しないと、
温暖化後の夏の北海道滞在は乗り切れないと思った。

来年からはもうちょっと、
いろんなことをブラッシュアップできそうではある。
ブラッシュアップライフだ。
ブラッシュアップ北海道。
いろいろ学びつつ、
避暑のパターンを洗練させていければと思っている。

泣きながら漢方クリニックからの、
激やせからの、内臓はがしからの、
4時間かけて朝ご飯という世界線もあるかもしれないけれど。
そんなときは笑ってやって欲しい。
そして1%、同情して欲しい。
あと、「目を覚ませ!」と全力で止めて欲しい。

終わり。

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参考文献および資料
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・『ひといちばい敏感な子』エイレン・アーロン
・『脳を冷やせ!』吉田たかよし
・『蜘蛛の糸』芥川龍之介


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