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再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入ってしまっている』というのは本当か?

のび太が試験の前日に一生懸命小さな字でカンニングペーパーを作っている。
それを見たドラえもん:
「のび太くーん、そんな苦労するよりも、ちゃんと勉強した方がよっぽど楽だと思うんだけど……」
ドラえもんは、ある意味正しく、ある意味では間違っている。
おそらくのび太は、明日の試験ではカンニングペーパーを見る必要がないほど、試験範囲の公式を暗記してしまっている。
でも、『カンニングペーパーを作る』という極めて重要なプロジェクトがあったからこそ、のび太は全身全霊をそれに打ち込んだのです。
単なる試験勉強にそれと同様の情熱を注ぐ、なんてのは、── それはもう、のび太ではありません。

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先日、古い書類を整理していたら、イリノイ大学《再勉生活》時代に作った《cheater》つまりカンニングペーパーを発掘しました。
大きさはハガキより二回りほど小さい、その昔、図書館のインデックス・カードとして使われていた、3インチ×5インチ(76.2×127 mm)のカードです。そこに裏表びっしりと公式や要点が書いてある。

ボールペンより小さな紙にびっしり!

といっても、《非合法》のものではありません。
《再勉生活》時代に受講した、セラミック材料について学ぶ講義の試験用に作ったものです。担当の先生は、試験の1週間前、学生に告知しました。
「君たちに、3 by 5 のインデックスカードを1枚だけ試験会場に持ち込むことを許す。その裏と表に何を書いてきてもいい。ただし、絶対に1枚だけだぞ!」
── 学生席にどよめきが起こりました。
さっそく、購買にカードを買いに行きました。インデックスカードには 5 mm 間隔ぐらいで青い横線が引いてあります。その間隔で文字を書いて行くのがよかろう、と考え、どの情報を入れるか作戦を立てました。取捨選択を判断するためには、試験範囲をひととおり『おさらい』せざるを得ない。
そして前夜、先を尖らせた鉛筆で慎重に書き込んでいきました。

発掘したカンニングペーパーの「実物」です
こちらが裏側

ぼんやり記憶しているのは、重要事項は1.5 枚程度、つまり表と裏の半分ぐらいで書き終えてしまい、後は適当に『あまり関係ないけど』的メモで埋めたことです。
確かに、このプロセスで要点は頭に入っており、── いや、そもそもこんな複雑な公式を暗記する必要などはなく、試験には主に《考え方》を問う問題が出たはずです。
公式や要点を書き写す過程で、必然的にその《考え方》をたどっていたことになります。

従って、
── のび太は『カンニングペーパーを作る過程で、実はちゃんと勉強していた』というのが、冒頭のドラえもん問題に対する答えなのでした。

試験が終わった後、
この『制約条件を付けたカンニングペーパーを持ち込ませる』方策は、学生に勉強をさせるのに有効であり、カンニングを取り締まる必要すらない
と思ったものです。

ただし、昨今の《コピペ文化》の中、それすらも自作しない学生は、……残念ながらいるかもしれませんね。

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〈以前、別アカウントに書いた記事の改稿です〉

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