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将来、人類は二極化する?

米国留学から戻って間もなく、社内で新たな留学候補生に選定された別部署の若手が、話を聞かせて欲しい、と言ってきた。
新婚間もなかったこの人は、帯同する奥さんも向こうの生活について聞きたいことがある、というので、自宅に招いて夕食を共にした。

彼は身長180 cm以上で、当時私が住んでいた古い家で、鴨居に頭をぶつけないよう慎重に歩いた。
奥さんも170 cmを超える高身長だった。

この夫婦が帰った後、食事中に抱いた懸念を妻に話した。
「奥さんも背が高かったね……やはり、背の高い者どうしが結婚する傾向にあるのだろう」
「そりゃ、そうかもね」
「一方で、俺たちのように、平均身長より低い者どうしが結婚したりする」
「アタシは平均だよ……当時としては」
「彼らは背の高いどうしで生殖活動を行い、より背の高い子供を産む」
「その可能性は高い」
「一方の我々は背の低い子供を産む」
「これは既に検証済ね ── 今後の伸び代はわからないけど」
「これを何代にも渡って続けていけば、人類は、背の高い種族と、背の低い種族に分かれてしまうのではないだろうか。そして、それがずっと続くと『種』として固定されてしまい、背高族と背低族の間では生殖ができなくなってしまうのではないだろうか?」
「でも、これまでの長い人類の歴史で、そうはなってないじゃない?」
「いや、その長い歴史のほとんどでは、一夫多妻のように Polygamy(複婚)も行われてきた ── で、いろいろな遺伝子のバラエティーが生まれてきたわけだ。でも、現代は ── そして今後もおそらく ── ほとんどの国では一夫一妻制だからね、両極方向に進みかねない」
「……はあ」
「そして将来、国家間ではなく、別々の『種』になってしまった背高人類と背低人類の間で諍いが絶えなくなり、戦争が勃発するかもしれない」
「……」
「そうなったら、どちらが有利だろうか? 今のうちから作戦を練っておく必要があるんじゃないか? 例えば……そうだな、背高族が頭をぶつけるような仕掛けをいろいろ考えておくのはどうだろうか?」
「……ああ、アンタと話すの、バカバカしくなってきた」

そんなわけで作戦会議(?)は30年前に頓挫したが、今年になって、こんなニュースが飛び込んできた:

うーむ……心配だ!

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