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【5分でわかるヨガと仏教】お坊さんとヨギーの対談 vol.1─日蓮宗浄泉寺 副住職 渡邊晃司さん─

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日蓮宗浄泉寺・副住職の渡邊晃司さん
お寺イベントのみならず、カフェや各種イベントにて法話を行っている
奥さまが運営するInstagramはこちらです

はじめに

実はバッタリとお店(奥さまは「喫茶こぐま舎」という素敵なお店を経営されていました)で渡邊上人とお会いし、そのまま何気なく始まった会話。気が付けば3時間経っており、僕の頭の中はびっしょり。

渡邊上人のお話がわかり易く、且つ、腑に落ちることばかりで、夢中になって会話をした3時間でした(今思うと、この時に録音していないのが悔やまれます…)。

「これからのお寺を考えよう」そして「これからのヨガを考えよう」ということで、お忙しい中セッティングしていただき、実現した今回の対談イベントです。

今回も3時間超に及ぶ話が交わされまして、数回に区切って少しずつ皆様にお届けできればと思います。

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実は、昔からヨガは仏教修行の一つだった


平岡充乃介(以下、平岡):
今日はお寺でも多くのヨガイベントが開催されるようになりました。

そもそも、仏教とヨガってどう関係しているんでしょうか?


渡邊晃司上人(以下、渡邊上人):
ヨガは古代インドで行われていたひとつの修行方法だったんですよね。

ですので、お釈迦様もヨガの修行をされています。

また、その修行と並んで実践されてきたもう一つの代表的な修行法に「苦行」がありました。

苦行によってタパスと呼ばれる不思議な力が蓄えられ、それが自身の願いの成就につながっていくと信じられていたのです。

同時に「真実の言葉」に対する信仰もあり、有言実行によって神秘的な力が宿ると信じられ、それが実現困難であればあるほど実現した時に宿る力は大きいと考えられていました。

このように、苦行の実践によって自分が完成した状態になり、苦しみから逃れていく(解脱)、という思想があったのです。

実際に自分が言ったことを行うって、そこに込められる力が大きくなるような気がしますよね。

この思想から苦行というものを求めていくのですが、それが動的・身体的なヨガというものになっていく、という風に伝えられています。

ちなみに、仏教ではヨガではなく瑜伽(ゆが)と呼ばれていまして、瑜伽行というふうに説かれています。

瑜伽行とは、自分自身の心を穏やかにしていく。いわゆる瞑想を手段とします。

心も体もフラットにした状態の中で、物事に分別をつけず、鋭く深く洞察していきます。

そうすると、そこには「私」や「あなた」のような明確な区別はなくなってゆくとされています。

このように、とらわれのない正しい見解によって真実の在りようを捉え、束縛の苦悩から解き放たれることを目的とするのが仏教の瑜伽です。

平岡:
多くの方にとって、「瞑想は無になる」と簡潔に思われがちですが、そのようなご説明がとても分かりやすいもしれません。


渡邊上人:
ヨガという言葉は、もともと「結ぶ」とか「結び付ける」という意味でしたよね?


平岡:
そうです、おっしゃる通り「結合」とか、「融合」という意味の言葉です。

「統合」とも言われることがあるのですが、個人的には「融合」という言葉が僕たち日本人に合っているのかなと思います。

自分で自分の心と体を融合させていったり、もっと言えば、周り(世界)と自分を融合させていったり。ほら、我が強い人って多いじゃないですか(笑)


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形を通すことによって、心が定まることもある


平岡:

いやぁ、本当に多くの方がインストラクター資格をお持ちの時代でして。

とても嬉しく思う反面、フィットネスとの境目がなくなっていくんじゃないかなと思ってしまう時もあります。

例えば、マットの上にいる時以外はヨガじゃないと思っていたり。


渡邊上人:
日常そのものが仏道修行ですし、日常そのものがヨガであるはずなんです。

全ての所作がヨガであるはずだし、もちろん僕らもそれ(全ての所作)が修行です。

まぁ、でも人間なので感情は常に変化しておりますし、忘れることもあります。なかなか続けることは難しいです。

なので、それを思い出すきっかけとしてお寺というものがあったり、ヨガマットがあると思うんですね。

そうやって思い出しながら、日常にその思いを持ち続けるのが、大切なのではないでしょうか。


平岡:
本当そうですよね。

「お寺に行く」って観光として捉えられがちかもしませんね。
「ヨガする」ことも、マットの上で体を動かすことしてイメージされていますし。

僕はヨガでも、ランニングでも、読書でもいいと思うのですが、毎日続けることがあると、自分の生活にルーティーンが生まれて、リズムができるんですよね。

リズムができると今の自分がどういう状況なのかが観察しやすいと思います。


渡邊上人:
いいですね。

「別々であるもの」として捉えるのではなく、色んな事が「通じてあるもの」として捉えると、その時に「あぁ、今、私はこうしているんだ」という実感が持てるかもしれませんね。

いあやぁ、だから昔の人はすごく面白いなぁと思います。

お仏壇ってあるじゃないですか、あれはお寺のミニチュア版でして、お寺に行けなくても、毎朝毎晩手を合わせて、自分自身を見つめ直そうという時間を自宅でつくれるんですね。

形を通すことによって、心が定まることもあると思うんですね。


平岡:
気付きをもたらしてくれる為に、「かたち」というのがすごく便利ですよね。

ヨガスタジオって、どうしても先生と生徒の関係みたいになりやすく、来てくださる方の受動性が強くなりがちなのかなと感じています。

なので渡邊上人のように「教える」という姿勢ではない、「自分が見聞きして学ばせてもらったことをご紹介する(知識を共有する)」という感覚がとても良いなぁと思います。

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今回の対談イベント協力

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L'ami~ラミ~

昼はパンと具材を選べるカスクルート(サンドイッチ)。
夜はフランス郷土料理を主体にお惣菜からしっかりメインまで。
L’ami-ラミ- はフランスの日常を感じられるフランス料理店です。

webサイト
(https://lami-chezmaki.com/)

〒807-0077 北九州市小倉北区馬借一丁目7-17 Jフィールド2F

[お問い合わせ・ご予約]TEL/FAX.093-541-1773

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