「課題解決」は経営者の仕事ではない。

社長になって早5年。今でも週に幾度となく頭を過る問題意識が「自分は経営者として課題解決に時間を使い過ぎてないだろうか?」ということ。

課題解決とは組織において顕在化している問題を解決・改善していくこと。組織・オペレーション・人事・マーケティング・ファイナンス・・・などの経営領域全般における課題を解決・改善していくことは企業経営において重要であることは間違いない。

しかし、目の前の課題を解決していった先に、ビジョンの実現があるとは限らない。企業の最大ポテンシャルを発揮できているとは限らない。

郊外で他社ブランド製品を安売りしてライトオンやしまむらと競争していた時代のユニクロにおいて、柳井さんが目の前の課題の解決だけに取り組んでいたとしたら(いかに競合に勝つか、いかに安く商品を仕入れるか、いかにプロパー消化率を上げるか、等)、ユニクロは「そこそこ良い小売企業」ぐらいにはなっているかもしれないが、今のように「世界有数のグローバルSPA企業」にはなってはいないだろう。

経営者がやるべきことは、課題解決ではない。経営者がやるべきことは、その企業が持つ強みとリソースを最大限活用しつつ、社会に対して最も価値を提供できる在り方に、企業そのものを変化させてしまうこと。
その変化を実現するための非連続な打ち手、象徴となる取り組み、大胆な一歩を現状否定を恐れずに、株主・社員・顧客・取引先などの全てのステークホルダーの賛同と後押しを得つつ推し進めていくことが、本当の意味でのプロの経営者の役割だと思う。

課題解決はもちろん重要であるが、本質的には社長の仕事=社長にしか出来ない仕事ではなく、社長以外がやるべき仕事であると思う。企業の在り方を変えてしまうことは、社長にしかできない。

果たして自分はそんな理想の経営者像を体現できているか。道はまだまだ遠いけれど、5年前の経営者になった当時よりは少なくとも前には進めている気はなんとなくする。。。

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