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アパレルを1年やってみて。

飲食出身の僕とアパレル出身の彼女とBARと古着の店を京都でやってます。

店を始める前に、彼女に「なぜ古着をやりたいのか?」と聞いたことがあります。

僕はアパレルの知識はほとんどありませんでした。

これを聞いた理由は、服が好きなら自分のブランドを立ち上げて、新品のオリジナルの服を作って売る方が楽しそうだし、人気が出れば儲かりそう。

と純粋に思ったからです。

その問いに対して、彼女は「新しい服ををつくるのは私の役割ではない。」

と言いました。

「新しい服をつくるのは、強い想いや覚悟を持っている人に任せて、私は古着を売る。」

と言うのです。

最初にそれを聞いたとき意味がよく分からなかったのですが、アパレル業界では、

流行と共に新商品がつくられ、次の流行が来たらその商品はセールにしていく。

といった流れで服が売られ、それでも売れ残った服はどこかにたくさん消えていくそうです。

買う側の立場からすると、セール=ラッキーくらいにしか思わないですが、売る側からすると、そうやって服が消費されていくことに自分の心も消耗していく人もいるのが現状であるらしいのです。

次に、古着のことも聞いてみました。

古着屋に行くと、店によってかなり安く売ってる店もあれば、小さな個人店に入ると素人の僕には理解できないくらいの高い値段が付いてるものがあります。

「あれはなんなのか?」

と聞くと、「ヴィンテージ」と呼ばれる古着で、古着の中でも価値のある古着だそうです。

極端に言うと、歴史があり市場価値が付きやすい古着を「ヴィンテージ」、歴史の浅い市場価値の付きにくい古着を「レギュラー」と言うということを彼女は教えてくれました。

なるほど、つまり「ヴィンテージの古着」を集めて売っていくのか。

と思ったのですが、彼女は

「レギュラーの古着を売る。」

というのです。

普通に考えたら、ヴィンテージを集めた方がいいように思います。

価値のあるものの方が当然売り易いし、単価もあがります。

なぜ、レギュラーの古着なのか?と聞くと、

「背景やストーリーに左右されずに選んだ服こそが、その人らしさなのではないか。」

と、とても難しいことを言い出したのです。

彼女自身、

「流行やブランドに左右されずに自分が心から選んだ服は結果的に長く着れる。」

という経験からも、そう言えるそうです。

そんな彼女の掲げた古着屋のコンセプトは、「らしさの透ける、日常の古着。」でした。

なんとなく理屈は分かるのですが、いくら想いがあっても、実際に商売として成り立つのか僕には見当がつきませんでした。

前に一度、一緒に国内の卸業者の倉庫にも行ったことがあります。

一着一着見ていくのは大変な作業で、彼女は一日中ピックし続けているのですが、僕は1時間も経たないうちに疲れ、近くの駐車場に座っていました。

心から服が好きだったり、想いがないと絶対に出来ないなと思いました。

そして、仕入れた服は段ボールでお店に運ばれ、綺麗にアイロンして店頭に並べます。

僕自身も、お店が暇なときはアイロンをしています。

接客はうまく出来なくてもアイロンは出来ます。

シワシワの服が伸びていくアイロンは意外と楽しくて、生地によってやりやすさが違います。

ワンピースのアイロンは楽しいので、オススメです。

自分がアイロンした服が誰かの手に渡ると、嬉しい気持ちになります。

また、服を買っていったお客さんが、その服を着て遊びに来てくれるのも、アパレルの嬉しい瞬間だと感じています。

そもそも、あの服の山の中から持ち帰った服が再生され、世の中にこれだけの服屋さんがある中で、このお店を、そして、その服を選んでもらえて、それを着てどこかに出掛けている。

ということが奇跡に近いと思うのです。

そんなこんな、あと半月程で、お店は1年経ちます。

これからも宜しくお願い致します。

END

【店舗情報】
and C
〒603-8353
京都市北区平野上八丁柳町30-102
http://andc102.com/

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