ケンセイへ
先日、どこかの小学生から手紙届いたと思ったら、ケンセイだった。
ケンセイとは、僕の友人で同い歳なのだが、胃がんを患ってしまい症状は悪化し、末期がんで余命を伝えられてしまった。
その手紙に書かれてた内容は、死ぬのが怖い、あと半年は生きたい、俺との思い出やメッセージだった。
病院の住所も分からんし、ラインで送るのも書きづらいし読みづらいとも思うので、ここでアンサーしようと思う。
ケンセイへ
ゆっくりでいいので、読んでくれたら嬉しい。
ケンセイのこと、今日はちゃんと生きてるかな。と毎日気にかけている。
とはいえ、毎日連絡しても返事するのもキツいんじゃないんかとか、彼女や家族とのやり取りを優先したほうがええんじゃないかと思って遠慮してる。
多分そんな人が多くて、皆心配してると思う。
送別会の動画を観たけど、あの人数が集まるのはケンセイの底抜けの明るさや人柄だからであって、誇らしく思うべきだと思う。
自分は一生かけてもあんなに多くの人と関わりは持てないだろうし、人を笑顔にすることもできない。
なぜ、そんな影響力のあるポジティブ人間がこの若さで命の危機に直面しないといけないのか。
ケンセイの行動を思い返してみると、1つ思い当たる節がある。
人前で屁こきすぎ。である。
あなたは、僕が嫌がってるにもかかわらず音を立てて屁をして大爆笑してましたよね。毎回。
あんなに健康的に運動しても、屁で台無しなんです。
神様は見てるんだなと思いました。
冗談はさておき、ケンセイとは高田馬場で出会い、当時の僕は新入社員。
それを同い年の先輩アルバイトとして、サポートしてくれたのがケンセイだったな。
1番覚えてる瞬間は、その日珍しく深夜に貸切営業が入っててお客様はTV局だった。
その日、店長は不在で俺とケンセイが取り仕切る形で、
「芸能人とか来たらどうする?」とか軽く冗談交じりで言いながら準備してて、
ケンセイが
「先に出来る片付け終わらせとこうばい!」
とか言って、ケンセイが水の入ったバケツを両手で抱えてキッチンから出てきたタイミングで、裏口からまさかの上戸彩が一番最初に「こんにちは!」って入ってきて、
上戸彩と鉢合わせたケンセイが「うぉぉぉおお、こんにちわぁ!」ってバケツの水揺らしながら言ってたのは記憶に残る名シーンでしたね。
プライベートでも、イルカに乗ったり、西野カナのLIVEに行ったり、USJやケンセイのお祖母ちゃんの家にも行ったな。
こういった思い出話を今後共有できなくなるのは寂しいし、ケンセイが今後店長になったり、結婚したりだとか、ケンセイの未来を楽しみにしてた1人のファンとしては、今の状況は残念ではある。
自分にとっても、友人が命に関わるというのは初めての経験で未だになんと声をかけていいのか分からない。
手紙では珍しく弱気でネガティブな発言がみられた。
それは、その境遇になった人しか分からず、仕方のないことなのかもしれない。
そういえば、昔にも2週間くらい意識を失ったことがあったね。
急に胸かどこかだか痛みが出て、マンションを這いつくばりながら出て、救急車を呼んでもらったやつ。
たしか5、6年前くらいかな?もう皆ケンセイは死んだと思われてたら、奇跡的に復活したよな。
それ以来、健康に目覚めて運動にハマっていったのはとても印象深かったよ。
死にそうになったら、身体のこと気遣うんやな。笑
それを見て、俺も運動を始めたよ。
俺は相変わらずポジティブなので、その日から今日までは実はボーナスタイムだったのではないか。と最近は思うようにしてる。
本当ならあの瞬間にケンセイは死んでいた可能性もあるし、その場合は今みたいに顔を合わせることもなく別れることになったのかもしれない。
「後悔しないように生きてきたつもりだけど、たくさん後悔はある」
と手紙にも綴られていたが、後悔のない人生なんて誰も送ることはできないんじゃないんかな。
俺だって昨日、なか卯の牛丼コンボカツ丼なんか食うんじゃなかったって思ってる。
今回、これをきっかけに死について考えることも増えた。
いつか死ぬのは分かってても、なんとなく80歳くらいまで生きるイメージでいるけど決してそうじゃない。ということ。
いつ病気になるか、もしかしたら明日にも急死するかもわからない。ということ。
少なからずケンセイは同じ35年間生きてきた人間の中でも、より多くの人をその存在で笑顔にしてきた人間に違いないし、自分にとっても、ケンセイが誘ってくれなければ経験できなかったことはたくさんある。
だから、ケンセイにあのタイミングで出会えたことは自分にとっても財産である。
今の素直な気持ちを吐露するなら、
とりあえず、今までありがとう。
元気になったとしたら、最高で、これからもよろしくだし、亡くなったとしても自分が死ぬまでは記憶の中にいるので、よろしく。
手紙嬉しかったです。
西田
※10/15 家族に見守られ、安らかに天国へと向かいました。
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