シングルモルトって一体なに。

ウィスキーの全体像を捉えるのは難しい。

例えば、シングルモルトとか。

そんな用語を聞くけど、良く分からない人も多いと思うので書いてみたいと思います。

まず、ウィスキーについてです。

ウィスキーとは・・穀類を原料として、糖化、発酵の後に蒸溜をおこない、木製の樽で貯蔵熟成させてできるお酒である。

ウィスキーのあの茶色がかった色は、樽熟成たるが故ですね。

ウィスキーは作られる原料によって、大きく2種類に分けられます。

それが、①モルトウィスキー、②グレーンウィスキーです。

①モルトウィスキーとは、大麦麦芽だけを使用したウイスキーのことで、大麦麦芽は英語でモルトといい、モルト100%のウイスキーだからモルトウイスキーとなります。

使用される蒸留器は単式蒸溜器(ポットスチル)が使用され、丁寧に蒸留される為、原料の風合いがよく残るのが特徴です。

②グレーンウィスキーは、麦麦芽だけでなく、それ以外の穀物も使用するウイスキーのことを言います。

大麦麦芽の他に、ライ麦や小麦、トウモロコシなどを使用し、穀物類を英語ではグレーンと呼ぶので、グレーンウイスキーと呼ばれます。

蒸留器は、連続式蒸留器が使用され、大量生産が可能。モルトウイスキーよりも価格が手頃になり、クセが少なくマイルドな仕上がりとなります。

イメージとしては、モルトが高価、グレーンは安価といったところでしょうか。

まずは、原料によってモルトウィスキーグレーンウィスキーという2つに大きく分類されることをここまでで理解して頂ければ幸いです。

続いて、世に出回り、販売されるウィスキーの種類についてです。

ここで把握しとくべきは、大きく2つです。

①シングルモルト②ブレンデッドウイスキーです。

ん?グレーンウィスキーはどこにいった?という話になるが、まずはブレンデッドウィスキーの説明からします。

このブレンデッドウィスキーとは、『モルトウイスキー』と『グレーンウイスキー』を混和したものを『ブレンデッドウイスキー』と呼びます。

実は、世界で流通しているウイスキーの約9割がブレンデッドウイスキーです。

シングルモルトの割合は1割にも満たないのです。

ちなみに、ウイスキーのブレンドをする専門職人のことを、ブレンダーと呼び、世界に多数存在します。

なぜ、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜる(ブレンド)のかというと、単純に飲みやすくする為です。

モルトウイスキーは蒸留所の個性が強く出るため、それを飲みにくく感じる人もいます。

それを複数の蒸留所のモルトウイスキーを混ぜて、さらには風味がよりライトなグレーンウイスキーも混ぜ合わせることで、飲みやすい味へと変えて、より多くの人が親しめる味にするためブレンドするのです。

価格が手頃で、クセが少なくマイルドな仕上がりとなるグレーンウイスキーのほとんどは「ブレンデッドウイスキー」として使われ、世に出回るのです。(ただ、近年では上質なものもどんどん出てきており、シングルモルトのように単一蒸溜所で作られた、「シングルグレーンウイスキー」も出てきており、「知多」などがそれにあたります。)

つまり、グレーンウィスキーは単体で飲まれることは少なく、ブレンデッドウィスキーの材料になるのがほとんどということです。

次にシングルモルトについてです。

名前からして、モルトウィスキーである事が分かりますが、この『シングル』が意味するものは、単一の蒸溜所でつくられたウイスキーをボトリングしたものです。

つまり、一つの蒸溜所でつくられた『モルトウイスキー』だけを瓶詰めしたものが『シングルモルトウイスキー』となります。

要は、他のウィスキーとブレンドされずに一つの蒸留所で完結させて販売されるものです。

『ブレンデッドウイスキー』が様々な特長を持つウイスキーを、絶妙な技術でブレンドし、バランスのとれた味や香りを追及しているのに対して、『シングルモルトウイスキー』はその蒸溜所の個性やこだわりがそのまま反映されているのが特長です。

ちなみに、モルトウィスキー同士を混ぜ合わせる(ヴァッテッドモルト)などもありますが、これは当然シングルモルトには含まれません。(一つの蒸留所ではない為。)

シングルモルト・ウイスキーは、基本的に蒸留所の名前がそのまま銘柄名になることが多く、日本のウイスキーだと、山崎や白州がシングルモルトにあたるのですが、どちらも蒸留所が銘柄名になっています。

なんとなくイメージは掴めたでしょうか。

シングルモルトとは、ブレンダーの技術を使わずにその蒸留所だけでウィスキーを完成させてしまうのです。

よって、それぞれの土地の水や風土、気候などが溶け込んだ蒸溜所ごとの独自の味わいがシングルモルトの魅力の1つで、捉え方としては、『地酒』に近いかもしれません。

鳥井信治郎は、山崎の名水・気候に惚れ込み、その地を選んだのです。

仕込み水、製造方法の違い、樽詰め、その判断には各蒸溜所のこだわりや歴史・伝統が反映されるのです。

樽に詰められたニューメイクスピリッツは10年・15年・20年と熟成される過程で、その蒸溜所が立地する気候風土の影響を受けながら変化していきます。

例えば、海沿いに立地する貯蔵庫で熟成すれば、ほんのりとした潮の香りが、森の中の貯蔵庫で熟成されれば爽やかな森林をおもわせる香りがついたり。

シングルモルトウイスキーとは、その蒸溜所が立地する自然風土そのままを反映したものなのです。

味わって飲めば、その土地の雰囲気を感じることができる。そんな気がしてしまうところにシングルモルトの色気を感じてしまうのです。

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