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Christian Engblom(Fat Brothers Lecture)<旧ブログより>

もう一ヶ月も前ですが、ファット・ブラザーズレクチャー@東京(2013年5月25日/26日)に行ってきました。

マジック界にその名を轟かすFat Brothers。Dani DaOrtiz(ダニ・ダオルティス)、Christian Engblom(クリスチャン・イングブルム) そして Miguel Angel Gea(ミゲル・アンヘル・ヘア)の3人のマジシャンのユニットです。この3人を生でそろって見られることはもう死ぬまでないだろなーと思う次第。

感想としては、「見たことあるけどそれを知っててもなお不思議」。「ん?ここで何かしたか?」とか「怪しいナァ」とか、そう思うことがないままに現象が起きていき、何度も何度も騙されました。

パフォーマンスは3人3色でしたが、自分の好みとしては、クリスチャンです。落ち着いていて、素敵でした。さすが40代。ちなみにダニは32歳らしい。(見えない)

クリスチャンは英語が一番堪能なこともあり、いろんな質問をしてしまいました。どのようなトリックの作り方をするのかなど、彼の創作理論まで…。Essential Magic Conference 2011(EMC)で語られていないようなことも聞いてしまいました。

余談ですが、彼は結構語学が堪能らしく、スペイン語も結構勉強して話せるようになったようで、母語としては3語(英語、フィンランド語、スウェーデン語)、それにフランス語とスペイン語が話せるようです。スペイン語は、ショーやレクチャーが問題なくできるレベルといっていたので、相当ですね…笑 フランス語はまだそのレベルではないけど日常会話くらいはできるよって言っていました。うむむ…すごい。

レクチャーの中身の復習がてら、何回かに分けて書いていこうと思います。フロリダのGenii 75th Anniversary Bashで参加者は鬼のようにメモを皆取っていたので、僕も今回は鬼のようにメモを取りました(DaOrtiz除く)

DaOrtizで取れなかったのは、レクチャーの時間をパフォーマンスで終えてしまったからです笑

Christian Engblomのレクチャー、れっつごー!

1. <Lecture>Oil over troubled Water

オイル&ウォーターのバリエーションで、青カードと赤カードで行うものでした。現象は動画の通り。彼はフィンランドで実際に一般の方に数多く演技をするため、ウォークアラウンド時にリセットが自動的にできていることを非常に重視するといっていました。そのため、この現象は演技終了と共にリセットされます。すげー。Kim Wistというフィンランドのマジシャンのトリックをベースに作ったルーティンとのこと。現象も、シンプルなものこそ強力、というコンセプトに基づき、でこのルーティンになったらしいです。Fat Brothers 1に収録されていますね。

ちなみに、"Bridge over troubled water"は「明日に架ける橋」という意味なので、スクリプトマヌーヴァさんから出ている日本語字幕版は「明日に架けるオイル」という邦題!

2.<Lecture>Last Match Trick

悲しいお話です…という台詞からはじまり、クリスチャンという青年が登場するストーリーに沿ったマッチを使ったトリック。「友人」「失恋」などのテーマも入っています。EMC 2011でも演じていてFat Brothers 1にも収録されています。燃やしたマッチが箱に戻ってきて…というクラシックな現象をベースにしたルーティンです。

あるクライマックスの現象があるのですが、Tommy Wonderに「これエンディングがあった方がいいよ」って言われたから、考えて考えて今に至った、と言っています。クリスチャンの周りには、タマリッツといいワンダーといい、良いProblemを与えてくれるメンターのような人がいて素晴らしいですね。彼自身もEMCではセッションを通じて問題を得て、それを解決していくことで更にマジックを向上させる、ということを言っていますし。ちなみに、一時期必要な道具を売ったんだけど人気なかったーって言っていましたが、僕はやってみたいなぁと思いました。

レクチャーの中ではミスディレクションや空間の使い方に関しての理論的な部分を語ってくださり、これは非常に勉強になりました。(なお、Miguelも理論を話すのが好きらしく、やはりそういうところが日本とは違うなと…。僕も理論は大好きです。)

3.<Lecture>Cheeky Triumph w/ The Cooler

「あ、Coolerだ!!」と思っていたにも関わらず、いつスイッチしたか気づかなかった…。Coolerは持っているんだけれども非常に扱いに慣れるのが難しい。彼はlittle practiceって言っていましたが結構なpracticeが必要だと思います。ということでいくつかCoolerに関する質問をあとでして、疑問点が解決されたので、また遊んでいる次第。トライアンフは不思議でした。ショーのときのトライアンフの方がすごかったけれども…。
※本作品はFat BrothersのDVDに収録

以下、ショーの内容です!

1. <Performance>Near Perfect Circle

キュビズムと幾何学の違い…ピカソのエピソードを絡めた、不思議な現象。ポール・カリーの現象を元に。Fat Brothers 1に収録されているものから少し変化していました。ちなみに、ショー直前にサインをお願いした際、このマジックの予言をその時にサインでついでに書いてくれたので、ショーのときに僕はさらに驚きました…。

2. <Performance> Pieces

フロリダで見たアレをもう一回観たい!とリクエストしたらやってくれました、Christian、なんていい人なんだ…!贅沢なことに隣に呼んでくれて…ファンになってしまいました笑 ※当時Piecesは未発表

しかしこのトライアンフ、タマリッツに課された条件から問題を解決した(「直前までクリアに見せたい」という条件)そうで、同時にDaOrtizはかのOpen Triumphを創作したようです。解決方法は違えど、お互い同じ問題に取り組むなんて、素敵ですね。トリックも相当不思議でした(今まで見たトライアンフでもっとも不思議)が、そういった仲間がいることもこのスペイン学派の魅力なんだろうなぁと思いました。しかしこのトライアンフ…たまげたぜ。
※2016年にPiecesの名前で発表されました

3. Card from Pocket(タイトル不詳)

EMCでもGeniiでも演じているアレです。はじめて見たときは本当にたまげました。不思議ですからね、全てが…。全ては"Mirage"なんです、なんて演出も、粋です。詳しいことを書くとネタバレになってしまうので、是非お手元のDVDなどで観られることをオススメします!(僕は初見がライブだったので、ラッキーでした!)

なお、Genii Conventionでは他にもたくさん見せてくれていたのですがそれはなし。あれ、不思議だったなぁ。ChristianはCoolerも結構な間、出し惜しみをしていたようなので、まだまだストックがあるんだろうなぁと思います。底が知れぬ…!

Anti-Faroについては公にはレクチャーしませんでしたが、かなりの人々が彼にリクエストしていました。クリスチャンが出来るのは当たり前なんですが、それよりも周辺にいた若い子たちが平然とアンチファローできかけていたことに、驚きを隠せませんでした。

いやはや、変態技法だなぁ、本当に。

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ということで総じてとてもいいショー&レクチャーでした。他の二人についても、気が向いたらまとめようと思います。メモがぐちゃぐちゃなので…わからないかもしれません(笑)

主催のスクリプトマヌーヴァ、そして長時間の通訳&アテンドの滝沢さんに感謝と敬意を表したいと思います。間違いなく、僕は底上げされました!


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