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J1昇格

ヴェルディを応援していると、こう言われたことある人はいると思う。
「ヴェルディって今J2なの?」
「寂しいもんだ」
Jリーグ創世記の栄光があるだけに仕方ないとはいえ、言われる度に複雑な気分になる。

更にこう言う事を言われる事も多いのではないか。
「なんでJ2のチーム応援してるの?」
「J1上がったら応援するよ」

J2だろうがJ3だろうが好きなものを応援して何が悪い?J2だと応援しちゃダメなんですか?って自分は当然思うけど、世の中の見方は残念ながら違うようだ。

そんな事を言ってくる人はマウント取りも純粋に疑問に思っている人も様々なんだろうが、個人的にはマウントや煽り目的の方が分かってて言ってる分マシで、むしろ純粋に思う人の方がしんどい。そして間違いなく後者の方が世の中の多数派だ。
たぶん、我々は旬を過ぎた有名人を応援している人みたいに思われてるんだろう。
残念ながらJ1であれば世の中のあらゆるエンタメの幕内、一軍だけど、J2以下はそうでは無いのだ。
(特にエンタメの多い首都圏一都三県は尚更だと思う)

言われたことを受け流しながらも複雑な気持ちを持ち、時に結果の出ないチームに苛立ちを覚えながら日々を過ごしてきた。けれど今年、J2に落ちて15年目のヴェルディに昇格の最大のチャンスがやってきた。

2023年12月2日、国立競技場。ヴェルディのJ1昇格を賭けたプレーオフ決勝。対清水エスパルス戦。

普段スタジアムには片手で数えられるくらいしか行けてない自分だけど、この決戦に行かない選択があるはずが無く、期待も不安も背負いながら現地へ行った。

千駄ヶ谷駅を降りると人人人。ヴェルディや清水のユニフォームを着ている人も多数の空間が駅前から出来ていた。
1万人超えが稀だった、今まで行っていたヴェルディの試合とは全く違う、前週の2万5000人入った千葉戦とも違う光景だった。

スタメンボードも今日はデジタル
ホームヴェルディ側
アウェイ清水側

飛田給駅でも同日に何かしらのイベントをやっている武蔵野の森の方が人が多く、自分はメインイベントと違う目的で来た人なんだなって感覚を抱くことが多かった。けれど国立のデカさも相まって、今日は正真正銘の都心のメインイベントに来たんだと強く感じた。

コレオも壮観

相手の清水は権田修一や乾貴士を筆頭にJ2最大の戦力を持ちながら最終節で4位に転落。リーグ3位のヴェルディが引き分けでも昇格出来るアドバンテージがある故、1年でのJ1復帰のために間違いなく本気の圧力で攻めてくる相手だ。

前半は一進一退の攻防。やっぱり上手い乾のキックに恐怖を覚え、コーナーキックの連発に肝を冷やし、ヴェルディのクリアに目一杯の拍手を送り、森田晃樹のマルセイユルーレットに驚き、そんなうちに前半を0-0で終わった。

後半、少し攻められるチャンスが出てきたと思った刹那、森田のハンドによるPKの判定が。
そしてPKは難なく決められた。清水リード。このまま行けば清水の昇格。
数々の栄光の歴史もある国立での試合、多数集まった観客とメディア、これだけ舞台を整えてもダメなのか。気分は沈んだ。

来場者は5万人超!全盛期レベル!

終盤に綱島や山越、長谷川が入り必死に攻めるヴェルディ。宮原の左足クロスからの染野のシュートも、セットプレーからの森田のミドルも外れた。
盛り上がりを取り戻すもネガティブな感情も混じる時間。
けれどこのまま終わりなのかなと少し感じたATに、ドリブルで仕掛けた染野がPA内で倒されPK!

判定の瞬間PK!?PK!!!と叫んだ自分。
それまで周りと喋ったりプレーに色々なリアクションをしながら観てたけど、PKまではゴール裏の歌うエンターテイナーに合わせて、歌わずにはいられなかった。手を握りながら大声で歌う。

そして、キッカーの染野唯月はコース読まれながらも力強いPKを決めた。

そして残りはATの攻防のみ。必死に攻める清水と必死に守るヴェルディ。
そして長谷川竜也が高くボールを蹴った瞬間、待ちに待った審判の笛が。

もっと楽に決まって欲しかったけれど、ずっと忘れない試合になった。
自分の応援するチームでこんな瞬間が来る事を待ち望んでいたけれど、5万人の国立でこんな大盛り上がりの結末で決めるのは流石に想定していなかった。

冒頭のような事を言われる日々も一旦は終わりだ。
当日夜のスポーツニュースも朝のサンデーモーニングも、スポーツ新聞も大きく取り上げたし、ヴェルディの昇格は世間に大きく知られたと思う。

もちろん、プレーオフを経ることによる編成の遅れ、J1クラブに劣る強化費などもあるし、中原や染野のような主力がスタメンに定着出来なかったレベルの世界だ。来年待ち受ける壁はとても高い。

でも今は目一杯喜ぼう。おめでとうと声をかけてくれる人に感謝をしよう。
やっと私はヴェルディを応援している!と誇れる時がやって来たんだから。

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