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コラム『これまでのHUNTER×HUNTER』②

ハンター試験編後半

大半の受験者が落第し、試験も後半へと差し掛かった第三次試験が開始し、仲間との信頼が試される。
──そして始まる第四次試験。一行は仮初の狩る者にして狩られる者HUNTER×HUNTERとなる。

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多数決×受刑者×72時間

二次創作だとなぜか必ず登場することになるトリックタワー。
主人公であるゴン一行+キルアと新人狩りさんによる多数決の道が開始です。
ここ、実は新人狩りことトンパさんの判断はそれほど間違っておらず、むしろ生き残る本能に関してはメインメンバーが見習った方がいいレベルだったりするので、あいつ協専ハンターならそこそこの仕事しそうなのが実にムカつきますね(*'▽')

トリックタワーでの試験、わりとハンターとしての必須要素を試される試練かなと思ったりしてます。無論全員がその対象ではなく、そこにランダム性を持たせることもハンターとして動く上で遭遇する理不尽への対応力と運を見る意味もあったのでしょうが。
ちなみにトリックタワー突入直後、お菓子食べつつ待機していたのは無限4刀流の人とリッポー(パイナップル頭のハンターでトリックタワーの所長)とGIカットな人。囚人と違って自由に過ごしていることから、彼らはプロハンターであることが窺えます。あと無限の人よく弱いとか言われてますが、相手が悪すぎるのでプロハンターとしては並以上の実力はあるかと。そもそもヒソカがわざわざ生かしてる以上成長の余地はあったということですので(あいつその辺ないと思ったらさくっと壊してます)。

さて本編ではすべての行動を多数決で決めるという試験になりますが、詳細は割愛します。
とはいえそれではあんまりなので、気になる要素を書いていきましょう。
ここでは基本的に収監された犯罪者との戦いになるわけですが、本編ではその後なぜ犯罪者を試験に利用できたかが描写されます。試練官と呼ばれる彼らは超長期刑囚と呼ばれる存在であり、その刑期に見合うだけの厄介さや実力を備えているわけです。それでも彼らが生きているのは、彼らの能力が何らかの方法で活かせると思われているからです。
では誰がそれを、すなわち囚人の利用を考え付いたのか。恐らくこれはハンター協会創設時の取引とも関わってくるでしょう。なにせ、ハンター協会はこのまとめでも終盤に登場する通称“許可庁”の下部組織であり、認められた各種権利もこの組織から下賜されたものであるからです。
これが意味するのは、ハンターという存在が必ずしも重宝されるものではなく、むしろ必要に応じて消耗品扱いされることを意味しています。なぜそう言い切るのか。それは彼らと囚人の関係性です。
囚人とは法を犯した存在。そしてハンターは権利こそあれ法を超越した存在。中身は異なれど、彼らを管理する側からすればその本質はどちらも変わらないと思われているからです。
事実、ヒソカのような存在がハンターになろうとしていることや、試験を利用して新人狩りをするトンパもまた、通常の倫理観においては犯罪者、すなわち悪なのです。
が、彼らは同時に有用でもあります。だからこそそんなハンターに準じる能力を持った犯罪者がいるならば、本質がそう変わらないプロハンターによる監視のもとその能力を活かした仕事をさせるのは世界観として何ら不思議はないのです。ましてや、ハンター試験に参加する人間は命の保証がないのですから。

閑話休題。第三次試験のトリックタワーは、72時間という制限時間こそあれど、それは読者にとってはこれまでと比べてひたすらに長く感じる試験でもありました。ドラゴンボールで言うならベジータが悟空を待つ時間に等しく、感情移入としては作中でイラつくレオリオへと入るように計算されているでしょう。
ところが、試験に参加している面々からすればむしろ和を乱しているのはレオリオだったりします。試験開始早々怒りっぽいレオリオはキルアにすら注意されていますが、ここに来てなお彼には余裕がないんですよね。
それはなぜか。そもそもレオリオは欲まみれのように自分語りをしつつ、実際には半ば自暴自棄な部分があるのです。だからこそ自尊心がないに等しく、自己評価も低い。そして低いからこそ安い挑発にも乗ります。ところが彼は同時に他人への慈愛を天然で備えています。見ず知らずの人間を咄嗟に助けてしまう程度には善良さがあるのです。
そんな気質がありながらも、仲間にすらイラつく彼の余裕のなさは、これら慈愛の本質と、第三次試験まで来てしまったことによる「ひょっとしたらハンターになれるかもしれない」という野心が影響したものだと考えています。
実際第三次試験では終盤に至るまでレオリオは仲間を敵視しています。以下本編描写から見て取れる各自のスタンスです。

ゴン⇒そもそも感性が獣。なので群れを率いるリーダーとして無意識に振舞っている。
キルア⇒自分だけなら余裕の試験ではあるので、能力の足りない面々に内心で呆れている。ただしルールを逆手に取ったゴンは見れる対象として例外扱い。
クラピカ⇒信念に基づいた行動指針ではあるものの、自らが決めたルールが通用しない試験なので実質的に能力をほぼ発揮できていない。彼だけがルールに従わなかったことで負けている。
レオリオ⇒試験に合格する為には仲間を蹴落とさねばならないことを誰よりも自覚しており、それに徹しようとするも出来ていない。故に実は誰よりも自分にイラついている。
トンパ⇒傍から見て面白がるというスタンスであるがゆえに、邪魔はしつつも実は一線は越えていません。試験を邪魔するつもりなら彼が動かないだけで破綻するが、それは彼としても本意ではない。

と、なります。
正直この試験、試されているのはプロとしての協調性です。そういう意味ではレオリオ、協調性皆無なんですよ。
じゃあレオリオはハンターに向いていないかというと違います。そこらへんについては後々覚えてれば語るとしましょう(*'▽')

第三次試験トリックタワー。トラップはありつつもそこはそもそも基礎力が高いメンツなので、試合以外ではほぼ時間経過を味わうことなくストレスは溜まれどクリアしていきます。
そして残り時間僅かなタイミングにて、ゴンは用意された選択肢というルールをぶち壊す行動を取りました。面白いのがこれ、反則ではないということなんですよね。
そもそも試験のクリア条件が生きて下まで降りることなので、極端な話飛び降りてもいいわけです。ただ面白いのが、原作をよく見るとトリックタワーを攻略した後の面々は全員下で待機しているんですよね。そしてさらによく見ると、そもそも出入り口が一つしか用意されていないことが窺えます。恐らくこの出入り口自体、上と同じく隠し扉でありロックされていると思われるので、外から来た人間はこの出入り口を無理矢理ぶち破るか開錠して中に入る必要があるんですよ。
なのでさくっと食われた一流のロッククライマーさんは、恐らく下に辿り着けても入れなくて失格となる可能性が高かったわけですね。たぶんこの辺は気づいていない方のほうが多いと思うので、もし原作お持ちでしたら読んでみてはいかがでしょうか。
あとおまけでご案内すると、ポックルが出てきたとき横にいるのは狙撃手のスパーさんです。

四次試験×タイトル回収×挑戦

ゼビル島にて行われた第四次試験。
驚くべきことに、ここでの試験である狩る者と狩られる者ってタイトル回収なんですよね。
本来漫画で一番盛り上がりそうな部分なのに容赦なくこのタイミングでぶち込んでくるの実に冨樫先生。
試験内容は相変わらずシンプルながら意地の悪いモノです。
・ハンター試験開始時にそれぞれが配布されたプレートを指定の点数分集める。合格ラインは6点であり、自分のが3点、クジで引いた番号が3点、それ以外が1点。
というもの。
何が意地悪いかって、ターゲットを狙えば即座にクリアできるが、それ以外でも3人から奪えば合格できるというもの。
そしてゴンの相手はよりによってあのヒソカとなるわけですが、ここの試験……実は2周目からはゴン以外に注目するとより楽しむことが出来ます。
周回を当然のように言うなとか言わないでください('ω')

試験の結果は本編を読んでいればわかることですので、三次試験と同じく寄り道的なお話をさせていただきます。ここからは序盤以来ほぼ初となるゴン視点という美味しい部分です。
・その①『ゴンから気配を隠せるゲレタ』
念という概念が出てくる前から獣並みの感性と知覚を持つゴンが違和感を覚える程度の気配遮断能力を持つ彼。目立つ見た目から実は試験の要所要所で目立っており、トリックタワーにおいてもわりと最初の方で仕掛けに気づいたかのように描写されています。
・その②『ゴンに感嘆されるポックルの戦法』
上空から俯瞰することでポックルと鼻の(たぶん)赤いキュウの対戦。ここまで残っているだけあり二人ともハンターとしての素養はそれなり以上に高く、事実この試験までクリアしたキャラクターのひとりはプロではないながら後のキメラアント編にも登場しています。
・その③『殺す相手を選んでいるヒソカ』
ギタラクルことイルミとの対話にて「ボクはちゃんと相手を選ぶよ♢」「今殺すにはもったいない人だけ生かすわけ♧」と言及しています。これは後にもヒソカがイメージする“おもちゃ箱”に多数のキャラクターがいることから、前述した無限4刀流の人がそれなりの実力者だったという補強にもなっているわけです。
・その④『自分の実力不足を自覚するゴン』
そもそもヒソカを想定することが相当なハードルの高さなのですが、見逃してもらったことは相当な屈辱以上に彼に悲しさを植え付けました。そのため誰かの役に立つことで自分の存在価値を補填しようとするゴン。彼が持つ危うさはこの時点で明らかになっています。

ゴンに限っただけでも彼の視点を通した他のキャラクターの紹介、特にヒソカとイルミもといギタラクルの会話は、彼の性根を知る上で興味深さと面白さがあります。

あとがき


ひとまず今回はここまでとなります。
次回はいよいよ最終試験。そこまで書くか迷いましたが、流石に長くなりすぎるので読み応え的にもここまでに致しました。

そして明日は待ちに待った……半ば諦めていたHUNTER×HUNTERの連載再開となります。正拳突きの人の日々が終焉を迎えたのは感慨深さがありましたね。
今回もリンクページを紹介していきますので、わたしの考察をきっかけで原作をまた読みたくなった方にはこちらのコンビニコミックスもおすすめです。
では来週またお会いしましょう。♡を押していただけるとモチベーションに繋がりますのでよろしくです(゚Д゚)ノ(笑)

おまけ


なお最新37巻は11月4日に発売となります。


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