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dois/ドイス デザイナーズノート

 今回は新作ドイスについてのデザイナーズノートを書いてみました。デザイナーズノートを書くのは初めてなので色々と拙いと思いますがご容赦下さい。それでは!


  初めに「dois」を作ろうと思ったきっかけは、「PALA」というトリックテイキングゲームに出会ったからだ。

 そもそもトリックテイキングゲーム(長いので以降トリテと略す)と言うのは、親から順に手札からカードを1枚出していき勝敗を決める。そんなトリックというミニゲームを繰り返し手札の数分だけ行うゲームだ。

 大抵はそこにマストフォローというルールがつく、親の出した色と同じ色を持っていたら出さなければならないきまりだ。そうして同じ色を出す(フォロー)出来た中で一番大きい数字を出していたプレーヤーが勝つ。

「PALA」はしかし2枚出しもできる。どういうことかというと色を混ぜられるゲームなのだ。赤5と青2を混ぜたら紫7になるという感じで。これが出来るだけに実に面白い動きをする。手札のだしかたの幅が広がる。手札の数がプレイヤー同士で変わったりもする。また得点形式も面白く、ビット式でどれくらい自分が勝てるかを予想し、その予想をクリアすれば、得点がもらえる形式だ。

 自然といつか自分もそんなトリテを作ってみたいと思い始めた。ちょうど1年半ぐらい前になるだろうか。そんなわけで2つの要素をあわせるというシステムを駆使したトリテを作りたくてしかたなかった。最初はトランプ1枚を2つに分けようと思っていた。物理的に百均のトランプを買ってきていたものを、ひたすら削ったり、真っ二つに破いていたりした。傍から見たらかなり頭がおかしかったように思う。

 そうしていたら、トランプを横に真っ二つに、数字とマーク(スート)の下半分、数字とスートの上半分を分けることを思いついた。が、これは微妙だった。描写が足りないかもしれないが、本当にたんにダメなだけであった。やりたいことに無理やり合わせているだけに過ぎず、絵的な面白さしかない。

 そこでもういっその事、スートと数字を独立させて一つのカードとすることを思いついた。スートだけが書かれたスートカードと数字だけが書かれたランクカードを作った。2つのカードを出すことによって一枚のカードを表現することにした。

 次は出し方である。出し方にもなにか工夫がほしいなと思った。常時2枚出しでは、12枚前後の手札を持って戦うトリテに近づけようと思うと24枚手札が必要になってしまう。スマートではないし、持ちにくいし、自由度が高すぎて何のコントロールも出来ない。そこで日本語的にはおかしいが、感覚的な文章表現で言うと手札12枚前後で2枚出さずに、2枚出す方法を考えた。答えは再利用である。一度出したカードを回収せずに引き継ぐことにした(通常のトリテでは1トリック終わるごとに札を回収する。)1トリック目で全員2枚出しをし、2周目以降はマークか数字どちらかの情報を上書きするのである。引き継ぐという発想は別のゲームで遺伝子を使おうと思っていたのが多分生きたのだと思う。試してみると、実に面白いゲームとなった。偶然だが、札を回収しないので、1トリックごとに札を回収する通常のトリテの煩わしさもなくなり、回収のシーンにおけるゲームが止まっている感覚というものは減った。

 ↓実際のプレイ画像(2枚で1枚を表現している)

 

 そして最後、得点は自然と大好きなビットシステムを入れた。何トリック取れるか、何回勝てるかというものである。これが偶然に今回のシステムとうまくマッチングしていた。親が子の出す札のコントロールが割りとでき、かつ子がそれをずらすように手札を整理できたりするところで相性が良かったのだろう。

何度もやることによってこのゲーム特有の上書き、マストフォロー、切り札の再利用と言ったヒントに気づいていける喜びがあった。

そんな感じでドイスは完成に至る。

その後はデバック、テストプレイを積極的に行った。

 ルール上問題はなかったので、コンポーネントのプレイアビリティについてテストプレイ後に特に相談を重ねて頂きました。(テストプレイにご協力頂いた方には本当に感謝)

 その結果、ぴったり嵌るボタンの使用、スタピーマーカー、ゲーム数表示のための切り札決定カードなど遊びやすいコンポーネントが決まり、無事ドイスを製作することが出来ました。カードサイズも通常サイズではなく、だいぶ小さいハーフサイズにしました。自分の前に常に2枚カードを置いたり、予想ボタン、達成ボタン、得点用コインなどテーブルの面積を意外と使うので、普通の机でも難なく遊べるようにカードサイズを小さくしてみました。

 目標として、また好みとして作るゲームはシンプルな記号と数字のみで新しいことをさせつつ、悩む要素があるゲームを目指しているので今回もそこに落とし込めることが出来たような気がします。内容物にも異様にこだわったので満足感も多分あるはず!上の画像な感じで金属コインもいっぱい。

 最後に今回はデザイナーズノートというか何か記録を残したいと思い、あらましをざっと書いてみました。

何か参考になったり、面白い部分があったら嬉しいです。読みにくい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

テンデイズゲームズさん、すごろくやさんでこのゲームを取り扱って頂いているので興味のある方は是非お手にとって見て下さい。

テンデイズゲームズ http://shop.tendays.jp/69_888.html

すごろくや http://sgrk.blog53.fc2.com/blog-entry-2998.html

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