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§egment trix(seven segment trix)  セブンセグメントトリックスデザイナーズノート

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2020の12月13日分として書かれました。また加筆する可能性があります。

この文章は、ゲームマーケット2020秋で頒布された「セブンセグメントトリックス」というトリックテイキングゲームのデザイナーズノートになります。

簡単にセブンセグメントトリックスが、どういうゲームなのかおおまかにいうと、

①デジタル数字モチーフのカードの数字の上に専用のチップを乗せることで数値を変えることのできるトリックテイキングゲームです。

②得点方法は1トリック2点、トリックの際に獲得したチップが1つ一点。

③ただし自分の使わなかったチップの数とトリック数があったいなければなりません。

もっと知りたい方は、下のURLからゴクラクテンさんのゲーム紹介を参考ください

https://gokurakism.com/segment_t/

もっと一般的な話のほうが良かったのかもしれませんが、今回はルールを大体知ったうえで読むとわかる内容で書いてみました。読みにくい部分などあるかもしれませんがよろしくお願いいたします。それではどうぞ

はじまり(最初に着想のきっかけになりそうだった部分を時系列で書き残してみます。)

このゲームは7セグメントをいじって数値を変えるゲームですが、偶然にも7年トリックテイキングを作っていて、作りたかった数字を操作することを達成したゲームでもあります。

2015年ごろ

当初は、数字を操作するゲームを作るといって始めたのは、数字を割り振るゲームの製作です。ホワイトボードのようなカード12枚に、全体の合計が50になるように数字を書き込んで行うトリックテイキングゲームのようなものを2015年ごろは思い浮かべていました。これは頭の中でも良い案がまとまらず、適当に紙にも書いてみましたが、全くまとまらないので数値を割り振るという部分をほかのゲームに生かそうということで、凍結しました。何より計算上のミスや、爽快感にかけました。

その後、2015年の終わりに変なアイディアが実行されました。4色の粘土をちぎり、12個の塊にし、カードを作ったあと重量でやるトリックテイキングです(判定は量り)。これは計算上のミスというのが物理的に分割するため発生せず、はかりが計量してくれるため見た目には面白いですが、全く予想がつきません。公開にしたら成り立ちはしました。今思うと、結構面白いかもしれません。今度まとめるかもしれません。

2015年から2016年ごろ?

自分のプレイしたカードをそのまま場に残し1の桁に、トリックの勝敗を判定。次にプレイしたカードを十の桁にしてトリックを判定と。使ったカードは回収せずにどんどん残っていき、どんどん桁が大きい数字を作るトリックテイキングゲームを思いつきますが、なかなかいいカードセット(ゲームの性質上同じ数字のカードが多いと勝敗が移り面白いのですがその数字のセット)が思いつかずに封印しました(後のジンバブエトリック)

2017年ごろ

1が一枚2が2枚、3が3枚…10が10枚というカード構成のひらめきを得て前述のトリックテイキングがジンバブエトリックとして完成します。

2015年~2016年ごろ

それとは別に、6をひっくり返して、9にする。8を横にして∞(無限)にする。1を斜めにして7にするなど、数字の角度を変えて数値を変化させるゲームを考え始めます。

2018年まで

職場ではパズル問題の製作をしているのですが、数字をひっくり返したり、数字のマッチ棒パズルや、デジタル数字の問題など時々作っていました。

そうして2019年ごろ

とつぜんある日デジタル数字を直接棒を追加して数値を改変するトリックテイキングゲームを作ろうと思いいたり、その日、いてもたってもいられず、知り合いと、突発的にゲームを一時間ぐらいで工作で作る会ををしようという話をしたら、快諾されて、材料を物色していたら木製マドラーが目につき、これで試作が完成。

これが着想までの流れです。

ここから着想後のルールや調整の話になります。

着想した瞬間、これは6をひっくり返して、9にとしてプレイができるぞと目標を一つ達成した気分でしたし、結果もそうでした。当時は、とにかくとりあえず、作れる数字を作ってみてそれが楽しいかどうかをたしかめ。その後、トリックをただとるだけということになると、チップを使ってとにかく強い数字を作ればよいということになるので、チップを自由に使わせないための工夫として余ったチップの数を獲得できるトリック数として設定しました。その数を合わせないと得点できないルールにしました。また同じ数字が複数枚出るゲームの性質上、先出と後だし、どちらにするのかというゲームデザイン上の選択も発生しましたが、最大の数字(9)が簡単に作れるので、ゲームの相性を見て後出しがちとしました。(先出し勝ちとすると一人のプレイヤーがずっと勝ってしまう状況になってしまうため)

数値改変に際しての細かい疑問の発生と解決

数値の改変について、チップを作る体験は、実に楽しいものではありましたが、同時にこういう場合はどうするなどという場合が発生しました。例えば3をひっくり返してEのような状態にしてから、棒を一本追加して6にするのはありなのか、数字いがいを作ってよいのかなど、という意見をもらったので数字いがいの作成は不可、数字ができるのであれば、ひっくり返すのはOKとしました。

使わなかったチップとトリック数を合わせるときに生じた問題点2つ

①トリック数を使わなかったチップ数と同じに調整するのは切り札がないマストフォローですと、非常に難しい問題がありました。

→これは切り札の導入により解決を目指しました。チップ数も8→6と減らして使うか使わないか悩ましいように調整。8枚は多く処理しきれないケースが多かったため。

②トリック数を合わせるために、チップを使って意味のない数字操作をしてしまう問題が発生しました。(とくに意味は、薄いけどここで9を作っておくといったこと。)

チップの数を調整する段階で、意味がない数字を作る部分というのが発生してしまいそこが、何の感情も動かないことになってしまった問題点です。

そこで解決法として、チップ自体にも1つ1点という得点を付けました。こうすることで消化気味の数字の作成にも、点数を与える。自分で、自分のチップをわざと使って自分のチップを得点化するという動きが生まれ、意味の少ない数字の作成というのがなくなりました。

関連することですが、ゲームにおけるルールを増やして、でもすっきりさせるための手法として、すでにあるものに対してルールを付与して、それを得点関連や別の意味を持たせると、ルールが煩わしく感じずに深みのあるゲームが製作できるというのが最近感じています。

今回、セグメントチップには3つの役割を与えています。

1つ、数字の改変、チップを置くことによって、既にある数字を改変する仕組み。

2つ、トリック数との合致による得点化。

3つ、得点源としての役割

これだけ要素があるのにルールは全く増えた印象はなくすっきりまとまっています。また得点源としての働きがやはり、地味に見えますが、ゲームのメリハリを生んでいるし、助けている功労者だと思っています。

図らずも解決したデザイン上の問題

ゲーム製作の際に気をつけていることの一つとしては、6と9はゲーム中に勘違いが起きやすいゲームなので、6や9の両方を採用する場合は、視認的にわかりやすくすることです。8まででも面白さが変わらない場合はなるべく9を採用せずにゲームを仕上げるようにしています。今回は、6が9を兼ねるゲームになったので図らずもこの問題は自動的にクリアされました。

余談ですが、実はこのゲーム、ほかのゲームとは違って、6のカードの数字の天地が中心に向いておらず、逆にすると全部9になるようになっています。

テストプレイで修正した点

当初、使用しないチップとトリック数が合致しない場合は無得点どころか、獲得したすべての得点をマイナスとしていましたが、トリックを獲得する人に対して逆転や勝利への影響よりも敗北への影響が大きいとの指摘と、また自身でもトリックを取らない方向へのプレイの偏りを感じたので無得点にしました。また3人プレイもそのままの配りきりでやっていたのですが、この点も修正が必要だということになり、調整をしました。(後述)

これまでにないトリックテイキングの実現

個人的には、このゲームはリソースマネジメントによったあまり例のないトリックテイキングだと思っています。手札とチップのマネジメント、ハンドマネジメントがいつものトリックテイキングより求められているような気がします。それでいて、競りのような美味しい場面がチップによって生み出されていて、波がある部分が特徴だと思っています。

ここまでが4人用ゲームの調整になります。

ここからは、3人用のゲーム調整になります。2020年の秋直前にやっていた内容になります。

今回は、0~8までの9つの数字と4色という36枚を使っており、4人の場合はすべてを配り切り、9トリックを行うこととなっています。

トリックテイキングゲームは、恐らく私以外のデザイナーもそうだと思うのですが、4人をいったん基本として作成し、ほかの人数の調整をすると思っています。今回もそのパターンでした。(4人ゲームのほうが、トリックの勝ち先が多く、予想を立てることがしやすいゲームになることが多いため、もちろんゲームによっては違います)

さて3人用ですが、最初は36枚を配り切り、チップの数も8枚と、全体を12トリックにして行っていました、しかし手札の偏りが目立つのと、操作が思ったようにいかない(全体のトリック数が多すぎて、チップの消費の判断がつかない)問題が起きたので、トリックを減らす方向での調整を始めました。

調整当初は、まずは3人も4人とおなじ9トリック、チップを6枚ずつの調整にしようとしました。全体の枚数が9×3人分の27枚を想定しました。36→27枚にする(9枚減らす)と4色あるので均等に数字を抜くことができず、3色は2枚ずつ、1色の数字が3枚と、1枚多く抜くことになっていしまいます。またゲームも札を把握しづらく、面白さの阻害になっていました。そこで思い切って、8トリック、24枚としました。

36枚を24枚にするうえで、次にどの数字を抜くかという問題が発生しました。0~6(9)、7、8がこのゲームの数字です。

ここで今まで全く話していませんでしたが、各数字の特徴についてまとめます。

0→かなり安定して負けられる数字、8にもできる。数値の変化が大幅

1→0,3,4,6,7,8,9になる。かなりの数字に変化させることができる。

2→8にしかできない

3→6,8,9になる。

4→2本以上使わないとかえられない数字、8,9になる。

5→8,9になる。

6→ひっくり返すと9になる。8になる。

7→03689になる。かなりの数字に変化させることができる。

8→改変不可

9→6と同じ

と、数字によってかなりの特徴があります。また、8や9を作りやすいと言った当たり前かもしれませんが、デジタル数字の特徴があります。数字の変化に着目して特徴的な残すカードを選ぶことにしました。

また、8や9を作りやすいので、8や9を作って楽しい展開になるように、最高を7とすることに決めて、6と8を除外するカードとしました。あと1種類は2と4で迷ったのですが、本数の消費が激しい、変化先が二つある4ではなく、ほかの数字変化させにくいカードとして特徴的な2を残すことにしました。

採用数は、012357となりました。

これによって7が最大となるのですが、それよりも強いカード(8,9)を作るかどうかの駆け引きが生まれやすく、個人的には4人プレイよりも3人プレイのほうが好みといえるまでに仕上がりました。(またトリック数の減少に伴いチップの数も6→5本に変更になりました。)

箇条書き気味になりましたが、このような経緯でセブンセグメントリックスは作られ生まれました。

追伸 3人プレイをしている人が少ないので、4人プレイで数字の特性に慣れたら、ぜひ、3人プレイも試してみてください。

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