推しアイドルに勧められてスパイファミリーを観に行った話【日記】

 「スパイファミリー観に行くか」

 ふと思い立ったのは新年を迎えて十数時間後の1月1日の夕方。冬休み真っ只中で閑散とした研究室に訳あって作業のために来ていて、その作業もやっとのことで終わりの目処がたっていた頃のことです。
 しかしながらエンタメに対する感度が著しく低い私は「スパイファミリー」という作品について、全くと言っていいほど知見がありませんでした。漫画も読んでいないし、アニメも観たことがありません。スパイといったら『ミッションインポッシブル』(トム・クルーズがかっこいいやつ)か『スパイvsスパイ』(スパイが罠をしかけまくるファミコンのゲーム)の知識しかなく、また『スパイファミリー』についても、みーぱん(佐々木美玲さん)がなんか舞台やっていたなぁ、というぐらいの認識しかもっておりませんでした(しかも残念ながら私は観られてないのです)。
 そんなクソザコ情報弱者の私が、なぜいきなり「スパイファミリー」を観に行くことを思い立ったかというと、話はさらに昨年12月24日のミート&グリート(オンラインお話し会)にまで遡ります。

~回想~

私「めいちゃん、冬休み時間あるんやけど、なんかおすすめの作品ない?」
めいちゃん「冬休みのおすすめぇ?せやなぁ……あっ!スパイファミリー!」
私「あぁ映画のやつ?もうやっとるん?」
めいちゃん「22日から!」
私「ちょうど始まったばっかりやん。もう観た?」
めいちゃん「まだ行けてないねん」
私「そうなんや、そんじゃ私も観に行こかなぁ」
めいちゃん「観に行こなぁ!ワクワク!(ポーズを取りながら)」
私「(私の中の見取り図盛山氏)それ何ぃ!?」 フェードアウト

~回想おわり~

 …といったやり取りがあったものですから、これは観に行くしかありません。めいちゃん(東村芽依ちゃん)(かわいい)(推し)(猫)がそう言うなら、観に行くしかないのです。悪い事以外はなんだってやりますし、軽い気持ちで『ひなこい』のリアルイベントに参加しようと思った結果ゲボを吐きそうな課金(通称 吐瀉課金)だってしたことあるのですから。それに日向坂46『キュン』の歌詞にだって「僕にできることは何でもしよう 君のためなら何でもできる」とありますしね(???)。
 そんなわけで、元旦に思い立って早速『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』のチケットを予約し、映画館まで車を走らせたのでした。
 さて、とはいえ漫画もアニメも一切触れていない私が、いきなりオリジナルストーリー(らしい)の映画を観に行くのですから、それはもう驚きと困惑の連続でした。映画の冒頭3分ぐらいで登場人物の紹介パートがあるのですが、その時点で、
「なんやスパイっておとんだけなんか、え、母親殺し屋なん???」
「アーニャって人の心読めるんすご!!!なんで???」
「犬、未来予知できるんすご!!!なんで???」
「てか家族内では隠しとるんかめちゃくちゃ大変やない???」
 と、情報量で頭がパンクしそうでした。やってしまいました。完全に敗北です。こんなとき、私が苦労して手に入れた博士号は何の役にもたちません。新しいものに触れる際は、まずその対象についてよく知ることの必要性を身を持って痛感しましたし、それは私が講義のときに学生にいつも言ってることじゃないか。なんで自分ができてないねん、と恥ずかしくなりました。私にできたのは、「予習もせずに観に来たのは、スッパイ(失敗)だったなぁ」と超面白ダジャレを心の中で呟くことだけでした。
 
 とまぁ、そんなわけで映画冒頭からいきなり面食らってしまったのですが、本編が始まると、話はそこまで複雑ではなさそうです。どうやらスパイ一家(という言い方であっているかはわかりませんが)が旅行に行き、トラブルに巻き込まれて、なんやかんやでそれを解決する、というストーリーのようでした。ギャグパートも多分に含まれていて、でも最後はいい感じに終わって、なるほどクレヨンしんちゃん的な作品なのだな?と理解するのに時間はかかりませんでした。理解が早い。なんたってこっちは博士号を持っていますからね。ふふん。途中、大人気なく「それ(※ネタバレ防止)は確かに炭化水素でできとるけど、そんな簡単に引火しやんやろ」とキモ理系ツッコミを入れそうにもなりましたが、令和ロマン髙比良くるま氏の「どうでもいい正解を愛するよりも面白そうなフェイクを愛せよ?」という言葉を思い出して、ぐっと耐えました。見といてよかったM-1 2023。
 また、めいちゃん(東村芽依ちゃん)(推し)(可愛い)(猫)がミーグリでやっていた「ワクワク!(ポーズ付き)」もようやく意味がわかりました。なるほどそれアーニャの口癖だったのね……それを先に知っていれば、もっと気の利いたコメントで返してめいちゃんをビビらせることもできたのにな、と悔やまれます。まぁ、今はちょっと、気の利いたコメントは浮かばないですけれども。
 そんなわけで、推しに勧められた「スパイファミリー」を観に行った話でした。
 しかし、話はまだ終わりません。これだけなら、ただ推しのアイドルに勧められた映画を観に行っただけで終わってしまいます。大事なのは、ここで得た知識・経験を次(次のミーグリ)に活かすことです。コミュニーケーションは双方向のやり取りがあって成立するものですから。フィードバック、大事。
 ということで、次回のミーグリでは映画を観に行った話でもしようかと思ったのですが、ここで一つ問題にぶち当たります。というのも、(※ここから映画の偏ったネタバレ)劇場版スパイファミリーを要約すると「アーニャのうんこで世界がやばい」という内容だったので、どうもできなさそうなのです。これには頭をかかえました。ミーグリでうんこの話はさすがに出禁になるだろ。
 では、もっとテーマを拡張して、『スパイファミリー』という作品そのものについてならどうでしょうか。

私「スパイファミリーって、疑似・偽物であるはずの家族が、本物の家族以上の「家族らしさ」というものを見せることが読者や視聴者に受けていると思うんだけど、じゃあ「家族らしさ」ってそもそもなんなんだろうね。現代でこれだけ個人の生き方や家族のあり方も多様な形が認められつつある世の中で、でもやっぱり世間が「幸せの象徴」としているのは、父がいて母がいて子供がいるという昔ながらの家族の形なのかな。それが根強く「幸せの象徴」だと捉えられて求められているからこそスパイファミリーが流行っているとしたら、これは多様性という社会の風潮に対するアンチテーゼになりうるんじゃないかな。めいちゃんはどう思う?今日はミーグリの時間を全部使ってこのことについて考えていこうと思うんだ」
 
 いや、これは気持ち悪すぎます。これならうんこの話のほうがまだましです。さてどうしたものか、悩みは尽きません。
 そんな2024年の幕開けです。とりあえず『スパイファミリー』の解像度を上げるために、漫画を買ってくることから始めることにしました。

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