スペイベってやつに、行ってきたのさ【日記】

めいちゃん「あ!やっほぉ〜!」
私「やばかわ。お人形さんやん」

 それがつい先日2月11日に都内某所で行われた私物サイン会におけるめいちゃん(東村芽依ちゃん)(かわいい)(推し)(猫)と私のファーストコンタクトでした。
 昨年2023年11月に発売された日向坂46の2ndアルバム『脈打つ感情』、その特典イベントの一つに「私物サイン会」という名目がありました。私物サイン会。通称スペイベ。その名の通り、メンバーに自分の持っている私物の一つにサインを書いてもらえるという内容のイベントで、コロナ禍になる前にはシングル発売ごとに開催されていたそうです。いつものオンラインのミーグリ(ミート&グリート)やリアルミーグリ(対面式のミート&グリート)には参加したことがあったのですが、このようなイベントに私は参加したことがありませんでした。
 「なるほどねぇ、これが噂に聞いていたスペイベなのねぇ、それが久しぶりに開催されるのねぇ。ふーん……」そんなことをもやもやうじうじと考えているうちに、アルバムが発売されました。

 「せっかくやしなぁ、狙ってみるかぁ……」
 
 弱々しく決心をして、あとはCDについているシリアルナンバーを特設サイトに打ち込んでいくだけです。今回のスペイベは2枚で1口応募できるようなので……それからのことは覚えていません。いや、思い出したくないという方が正しいでしょうか。過負荷のストレスを感じた時、それを都合よく忘れられるのは動物が生きていく上で生来備わっている基本的な防衛機能なのかもしれません。日に日に増えていくCDは私には見えていません。CDのビニールが「ビッ!」となって上手く剥けなくても苛立つこともありません。シリアル番号の入力はもはや虚無の気持ちでした。抽選結果発表のその時、「当選」という二文字にどれだけ安堵したことでしょう。「当たって良かった」というよりは「外れてなくて良かった」の方が大きかったかもしれません。

当選発表まで生きた心地がしなかった。

 さて、厳正な抽選()に運良く当選したのは良いとして、サインをしてもらう私物を考えなくてはいけません。これはなかなか難題です。実際に、このスペイベの数週間前にあったミーグリでめいちゃん(東村芽依ちゃん)(かわいい)(推し)(猫)に聞いてみたりもしました。

めいちゃん「前の時はねぇ、生写真とか写真集とかがあったかなぁ?」

 なるほどなるほど。生写真にサインを書いてもらうのはわかりやすくて良いですね。また、写真集はおそらく『立ち漕ぎ』のことでしょうか。たしかに写真集も良いです。特に、コロナ禍に発売されたためお渡し会の類もなかった『見つけた』(東村芽依ちゃんのステキ1st写真集)にサインを書いてもらうのはベストアンサーかもしれません(実際、スペイベ当日も写真集に書いてもらっている人を見かけました)。第一候補です。
 また、あるいは日向坂のグッズとは別の、完全に自分の私物に書いてもらう線はどうでしょうか。仕事に使うものとか。その線でもいくつか考えました。例えば パソコンの天板部分。なかなか良さそうですが、どうせ何年かで型落ちして買い替えてしまうのが微妙なところです。また、実験用に使っている白衣も考えました(何回か買い替えているので)。しかし汚すぎて見せられたもんじゃないので即却下でした。うーん、なかなか最適解が出ません。やっぱりグッズが良いでしょうか。写真集、生写真、アクスタ、タオル、ライブTシャツ、CDやBDのジャケット……

 悩みに悩んだ末、私は昨年に自分が出した学術論文にサインを書いてもらうことにしたのでした(???)。

こんなやつ。

 スペイベ当日、プリントアウトして綴じた論文と、あと念の為にバックアップファイルを入れたUSBメモリも持って都内某所に向かいました。これで何かあってもコンビニさえあればプリントアウトできます。その姿はさながら学会発表に向かうようだとかそうでないとか。会場に到着すると、ボディチェックを受けて本人確認をし、そしてサインを書いてもらう私物をスタッフさんにチェックしてもらいます。ここでNGならば別の候補の私物を出さなくてはならないようです(その時のために写真集『見つけた』も持っていきました。準備万端です)。おそるおそる論文をスタッフに差し出します。

スタッフ「論文ですか!…ちなみにこれは何系の論文なんですか?」
私「!?あ、あの、動物系というか…そういうやつです」
スタッフ「なるほどなるほど!あ、もちろんOKです!」
私「あざます」

 私物チェック係の人が食いついてくるという面白ハプニングがありつつ(時間さえあれば背景から考察までじっくり説明したかったところです)、いよいよスペイベ会場に入ります。そして、くじ引きで引いた自分の順番まで待ち、いよいよ自分の番となります。
 そして、冒頭のファーストコンタクトからスペイベが始まりました。私の論文がスタッフを介してめいちゃんに渡されます。

めいちゃん「わ!何これぇ?」
私「去年私が出した論文なのよ。めちゃくちゃ難産やったから褒めてほしいんだわ」
めいちゃん「へぇ〜!」

 めいちゃんは論文に興味津々なのか、パラパラとめくっています。その時間は数秒程度だったはずなのですが、私は査読を受けているような気分でした。めいちゃんに「で、新規性はどこにあるん?」「分析甘ない?」「考察飛躍しすぎとちゃう?」「この雑誌のIF(インパクト・ファクタ)いくつなん?」なんて言われたらどうしようかとヒヤヒヤしていました。そうなったら泣いてしまうかもしれません。

論文を見終わっためいちゃん「英語がいっぱい!」
私「(めいちゃんすぎる〜〜〜!)」

 心底安堵しました。そして私物にサインを書いてもらっている間、面と向かって、しかもアクリル板なしで話す時間がありました。5分くらいでしょうか。リアミよりかなり長く話すことができ、なるほど私物サイン会といってもこの(対面で会話できる)ところに大きな価値があるのかもしれないな、と思ったのでした。

私「あの(H46MODEの)『ひなた動物園』ってやつ、あれすごない?」
めいちゃん「あれなぁ!すごいよなぁ!」
私「ベリーキュートすぎた。めいちゃん猫になっとったけど、あれ自分でリクエストしたん?」
めいちゃん「あれはねぇ、はじめから用意してもらってた。黒猫になれて嬉しかったぁ」
私「似合いすぎてた。エグい企画やわぁ。あとあれって……」

 私は気がついたら『ひなた動物園』についてばかり聞いてました(なんせ癖すぎた)。いやもっと話すことあっただろ。

ひなた動物園

 そんな話をしているうちに、めいちゃんはサインとメッセージを書き終えたようです。

めいちゃん「もっと書きたいんやけど、他なんかない?」
私「やったら、それ「鳥」についての論文やから、鳥の絵とか描いてほしいなぁ。ヒヨコとかでもええから」
めいちゃん「わかったぁ!」

めいちゃん「これ鳥やんなぁ?」
私「???うん、まぁ……かわいいで!」
めいちゃん「なぁ???鳥やんなぁ???」

 そんなわけで、初めてのスペイベ体験でした。一度くらいは参加しておきたいなぁ、とは思っていたので参加できて良かったです。また、サインも嬉しかったのですが、それより何より普通に喋るのがめちゃくちゃ楽しかったので、沼にハマる人の気持ちもわかりました。
 サインとメッセージを書いてもらった論文はおうちに帰ったあと、いい感じのポスターフレームに入れたらカッコよくなりました。

 「よくできました!!」と、あと花丸までもらって、ホクホクです。研究者が研究のモチベーション維持に必要なものは、潤沢な研究資金やホワイト研究室であることよりも何よりも推しアイドルからのねぎらいの言葉だったのです。このことを大学では研究室に配属される前の学生に教えるべきでしょう。
 そんなわけで、研究者のメンタルケアもやってくれるスーパーアイドルのスペイベに行ってきた話でした。

【おまけ】
 何度目かのスタッフさんからの「お時間でーす」のあと、スペイベスペースからの去り際、めいちゃんは私がその日シャツの上に羽織っていた『はらぺこあおむし』の刺繍がついたカーディガンを指差し、「はらぺこあおむし!」と声を上げていました。
 そう、めいちゃんはいつだって正しい。

はらぺこあおむし(太)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?