伝記を読もう

学部を卒業してから、読む本といえば経済・経営関連のものか、たまに興味のある世界情勢関連のものばかりだったのですが(あとマンガ)、これからは伝記を意識的に読む本に加えていきたいと思っています。

働きはじめて初めの数年間は、とにかくより良いアウトプットをより早く出すための努力をしていたなぁと、今振り返ると思います。ロジカルシンキングやイシューアナリシスをマスターしようと頑張ったり、いろいろな定量分析の手法を身につけようとしたり。(先日、主にこの領域のおすすめ書籍を、「2~4年目コンサルタントにすすめる5冊」にまとめました。)

しかし、当たり前ですが、結局ビジネスは何かを実現してなんぼですし、何かを実現するためには周りを説得し動かさなければならない。周りを説得し動かすためには、感情に訴えることからポリティクスまで、より良いアウトプットを出す以上のことが必要です。

そういうことは経験から学べ、ということかもしれません。確かに、経験から学ぶことは必須です。ただ、読書を通じて基本的な原則やルールを学んだり、優れた例を分析的に眺めることが経験からの学びを可能にしたり、効果的にしてくれることも事実です。(例えば、そのように読書と経験を効果的に使い、ロジカルシンキングをどう身につけるかについて、尊敬する経営者じょごなさんの「ロジカルシンキングが苦手という人へ」を読んでみてください。)

周りをどうやって説得し、動かすかというテーマも、同じはずだと思います。前者の、原則やルールを学ぶ本は、心当たりはあるのですが、もう少し僕自身がこの領域で自信を持ててからご紹介できればと思います(むしろ、これぞという本がある方はぜひ教えて頂けるとありがたいです)。今日は、後者の、優れた例を分析的に眺めるための1つの方法として、優れた伝記を読むことが有効だと提案したいと思います。何か大きなことを成し遂げた人が、いかに人を説得し、巻き込み、コミットさせ、反対勢力もかわし、もしくは仲間に引き入れ、ことを成し遂げたのか。分析的に伝記を読むことで学べることは多いはずです。(実は、MBAでとった同テーマの授業で、課題文献として伝記があったことが本ポストのきっかけです。伝記を読み、クラスでディスカッションすることで学べることが想像以上に多かったのです。)

では、どの伝記を読めばいいのか。十分な取材にもとづいた現実的で詳細な状況描写がえられる優れた伝記でなければあまり意味はないでしょうし、何より読んでいて面白くなければ続きません。僕自身もこれから多くの伝記を読んでいきたいと思っている段階なので、以下、3冊だけご紹介します。(こちらもぜひみなさんのお勧めを伺いたいなと思っています。なお、あくまで学びがあるかどうかが大事なので、伝記に取り上げられている人を僕が無条件に支持しているわけではないです。念のため。)

「リンカーン」(
マンチェスターユナイテッドの元監督ファーガソンの愛読書の1つでもある本書は、歴代最高の米国大統領ともいわれるエイブラハム・リンカーンの伝記です。アメリカでは本当に英雄なので、多くのリーダーシップ関連の本に登場する人でもあります。決して下馬評の高くなかった選挙で大統領になり、南北戦争集結、奴隷解放宣言など数多くの偉業をなぜ成し遂げられたのか。リンカーンが極めて多様な方法で周りの人を説得し、巻き込み、ことを成し遂げて行った姿は大変興味深いものがあります。

なお、翻訳の評判があまりよくないので、可能であれば英語の原著をどうぞ(ただし、かなり語彙力が求められます)。

「野中広務 差別と権力」
こちらは、またまた尊敬する経営者じょごな氏に、お前はこういう本を読んでポリティクスを学ばなきゃだめなんだ、と言われ勧められた本です。賛否両論ある人ではありますが、地盤のないなか、「影の総裁」と呼ばれるまでのしあがり、自らの信念を貫いた(貫けた)政治家から学ぶことは多いです。

「Chasing the Flame: One Man's Fight to Save the World」
大変残念ですが、邦訳版がないようなので、英語の原著です。これは、コソボ・カンボジア・東チモールなど紛争地域で国連の実質的なリーダーとして活躍し、2003年にイラクでのテロで無くなったセルジオ・ビエラ・デメロの伝記です(その時はイラク担当国連事務総長特別代表)。イラク駐在時には次期国連事務総長の最有力候補でもあったセルジオが、これ以上の混乱と騒乱はないであろう世界各地の紛争地域でいかに信頼を勝ち取り任務を遂行してきたのか。「リンカーン」同様大著ですが、時間をかけて読む価値のある本です。


どれもさくっと読める軽い本では決してありませんが(特にリンカーンとセルジオ)、人の人生から学ぶというのは、そういうことなのだとも思います。僕自身は、年に数冊、上質の伝記を噛みしめるように読んでいきたいと思っています。(なお、それぞれの本・登場人物の僕なりの分析を、機会を改めて書いてみたいなと思っています。)

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Notes for a book I will nev...

学部で開発経済学少々+ウガンダ難民居住区で半年インターン→戦略コンサル6年強(事業計画、マーケティング、BDD)→米MBA→米系IT企業で経営企画っぽいお仕事@東京 Twitter: @sidewaysz

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