「今年の目標と計画」を立てるのを止めた話

毎年、年始にその年の目標と計画を立てるのが習慣だった。「仕事」「語学」「趣味」といったカテゴリーごとに達成目標を立て、行動計画に落とし、それぞれにかかる時間を概算して、念のため1日あたりに必要な時間を計算して実現性をチェックする。日次、もしくは週次で進捗を記録するスプレッドシートまで作ったりもした。

それを、今年から止めることにした。

ひとつは、何を隠そう、実際に実現できたことがないから。仕事始めの前まではいいのだが、段々仕事が忙しくなると面倒くさくなり、進捗に遅れが出始める。さらに進捗を記録することすらめんどくさくなって、見返すことすらなくなる。途中からもはや計画そのものに意味がなくなり、ゼロから計画を立て直したり。だめなコンサルの典型だな。「どうすれば新年の計画を実現できるのか」というtipsは溢れているけど、何年やっても出来ないんだからもう諦めることにした。

もっと大きな理由は、「あとxx分でxxを終わらせないといけない」というプレッシャーは逆効果だと知ったから。このように詳細な計画をたてると、事前に概算した必要時間内に決められたタスクをこなしていく感が強くなる。次の30分はThe Economistを読んで、1時間心理学のあの本を読んで、30分ストレッチをしたら今日の活動は終了だ、というように。カレンダーにそういった活動計画を全部入れて自分のスケジュールをブロックしてみたりしたこともある。まずこれはとてつもなくつまらないという問題があるのだけど、さらに、こうして時間を気にしながら何かに取り組むのは、生産性を落とすことを最近知った。

Iowa Gambling Taskという、学習と工夫が必要なタスクを参加者に課した実験がある。参加者の半分は、十分な時間が用意されていると伝えられたうえで実験に参加。残りの半分は、与えられる時間はぎりぎりだと伝えられた。結果、両方とも同じ時間が与えられたのにも関わらず、平均的なパフォーマンスは十分な時間があると思い込んだ人たちのほうが高かった。つまり、「時間が足りない、急がないといけない」というプレッシャーがパフォーマンスを阻害してしまう可能性があるということ。

綿密な計画をたて、それぞれのタスクに必要な時間を割り当て、その計画通りに自分を動かそうとしていた僕は、自らその罠にはまろうとしていた感すらあるではないか。

ということで、今年は実験的に下記のようなアプローチをとることにした。

1. まず、時間を使いたい「本当に大切なこと」を明確にする(ここまではこの休み中に終えた)
2. 1日に何度か、いま自分は上記の「本当に大切なこと」に時間を使えているか、確認する
3. 週に一度か月に一度、「本当に大切なこと」リストを見返して、おざなりになっていることがないか、なんとなく考える

まず大事なことは、大切なことを事前に考えておくこと。人間がその場その場では短期的な欲求に流されやすいことはよく知られているので、日常に流される前に中長期的な視点で大切なことを明確にしておくことはやはり大事な気がする。ただし細かいアクションに落とすようなことはせず、「英語力、特にスピーキングを向上させること」、「両親や彼女との時間や会話を大切にすること」といった具合だ。仕事、健康、家族、語学、勉強、趣味&その他、というカテゴリーで考えてみた。

次に、時間に追われないこと。理由は前述の通り。上記の大切なことに取り組み始めたら、どれくらい時間がかかるか、とか、どこまで進められるか、(例、あと30分でこの章を読み終えなければ)とか考えない。ただ単に「大切なこと」に集中して、その時間を楽しむ。現実問題として時間の制約があることはもちろんある。次の日も朝から仕事がある平日の夜に、文字通り時間を忘れて読書に耽るわけにはいかない。そういうときは、アウトプットを規定しない。23時まで本を読もう、とは思っても、23時までにここまで到達しなければ、と思わなければ、時間に追われることはないはずだ。

さらに、第三者になったつもりで、定期的に自分が「大切なこと」に時間を使えているか振り返ること。第三者になりきって自分を振り返ることの有用性はいくつか指摘されているのを知っているので、それを信じてみることにする(このことはまたいつか別の投稿にまとめたい)。ただし、何に時間を使ったか記録するようなことはしない。そんなことはしなくても、1週間まともに英語を勉強しなかったらそれは明らかなので、ゆるい振り返りは可能なはず。

このアプローチがうまくいくのかわからない。そもそもうまくいった状態の定義もあやふやではある。ただまあ、まず3ヶ月くらい試してみて、どうなるものか、見てみたいと思う。

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上記は、年末に読んだThe Guardianの"Why time management is ruining our lives"という記事に大変な影響を受けて考えました。冗長な記事ですが、ところどころ興味深い内容です。

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Notes for a book I will nev...

学部で開発経済学少々+ウガンダ難民居住区で半年インターン→戦略コンサル6年強(事業計画、マーケティング、BDD)→米MBA→米系IT企業で経営企画っぽいお仕事@東京 Twitter: @sidewaysz
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