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【夏休み4日目】路上で号泣してミニマリストの仮免を取ることにした話

思えば昨日はいろいろあった。

外国人(ここでは”非ドイツ人”の意)にお金を求められたので、持ってた8ユーロをあげたのに10ユーロくれとえらくゴネられた。

機嫌によって態度の差が激しい、バイト上司であり卒論担当講師の女性が、昨日は”ハズレ”の日だった。でも再試を受けることと卒論提出を伸ばしたい旨を伝えなければならなかった。
それを前日から頭で何度も考えていたのに、うまいこと伝えられなかった。

家を整えたい気持ちが強すぎて、家に帰ってもリラックスできなくなってしまった。トビオちゃんの片付けスピードにストレスを感じていた。

トビオちゃんが待ち合わせに遅れてきたくせに、私の機嫌が悪いのを責めた。大学の事務員に冷たくあしらわれた。
ヴィーガンバーガーが高くて、つい安いケバブを買ってしまった。
テストに失敗したことを悔い続けている。

それらで急にいっぱいいっぱいになって、涙が止まらなくなってしまった。


一緒にいたトビオちゃんに先に帰ってもらって、近くにあった公園で涙を流れるままにして座っていたら、ランニング教室と思われるグループの講師が生徒に語っていた。トレーニングとは一朝一夕ではないと。

トレーニングは毎日無理なく、負荷は少しずつ増やさなければならないし、健康な食事を心がけなければならない。それでも結果は曖昧で、逆に退歩する日もある。そうやって続けた努力も、成果は数ヶ月後、数年後にしか現れないと。

今抱えているどうにもならなさもきっとそうだよなあ、と妙に納得してしまった。今の私はマッチョになれなくて泣いている筋トレ初心者みたいなもんだ。何事も結果は直ぐにでない。


それでも精神健やかに過ごすにはどうするべきかと考えて、我が家の使っていない小部屋(物置になっていた)で、憧れていた”モノの少ない暮らし”をしてみることにした。

小部屋の中に必要最低限のものを持ち込んで、極力それだけで暮らす。小部屋さえ整っていれば、後の部屋が多少荒れようともそれほど気にならないはずだ。我ながらいいアイディア。

仮で似せただけのミニマリスト、仮似(カニ)マリストの誕生である。

(シェアハウスと大して変わらんことはさておき。気持ちの問題。)


そうして帰宅するなりトビオちゃんに小部屋に”引っ越す”ことを伝えたら、泣かせてしまった。

当たり前である。ここ数週間ずっと情緒不安定で、散歩に誘ったり相談に乗ろうとしても拒絶するくせに八つ当たりかましてくる彼女が、路上で泣き出したかと思えば、帰宅するなり自分の部屋を作ってひとりで寝ますと言うのだ。混乱するのも無理はない。

泣かせてしまったことで自分の身勝手さに気が付いて、お互いの不満や改善点を話し合った。
私は浅く毎日小掃除派、トビオちゃんは月一一点集中派で、ふたりの得意な家事がそれぞれあるから尊重しようとか、キレる前に一旦話し合おうとか、ごはんはテレビつけずに一緒に食べようとか、週末はケーキ焼いたりしようとか。

そして私の”新居”で一緒にマットレスを敷いて寝た。ちょっとキャンプみたいで楽しかった。


こうしてなんやかんやトビオちゃんとも円満になり、ミニマリストっぽい暮らしも実現したのである。いや、長い一日だった。

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