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カレンダーの配布を始めて1年が経ったので振り返ってみた

シフカでは毎月、壁紙としても使えるオリジナルデザインのカレンダーの画像を配布しています。このカレンダー画像の配布は2023年4月にスタートしましたので、次回でちょうど季節が一周することに。そこでこのカレンダー記事の提供に1年間取り組んだ担当スタッフに話を聞いてみました。


プロジェクトの目的

そもそも、なぜシフカでカレンダー画像の配布を始めたのでしょうか。シフカの業務形態はいわゆるB2Bであり、クライアントは大手メーカーなどが中心です。そのため業務の中で個人消費者との接点は多くありません。そんなわけでシフカの名前をご存知ない方のほうが多いと思います。

もっと一般の方たちにもシフカのことを知ってもらいたい。シフカがどんなイラストを描けるのかアピールしたい。そのための取り組みの一環として、何かお役に立つモノを配布してみようと考えました。それがオリジナルデザインのカレンダー配布だったのです。一般向けのアプローチには不慣れな私達ですが、何事もチャレンジという気持ちで始めたのでした。


やってみてどうだった

それではカレンダー配布の取り組みを1年間続けたことの感想について聞いてみましょう。実際にカレンダー配布の記事作りに従事したのは、イラスト担当とデザイン担当の二人の若手スタッフです。

イラスト担当のスタッフは、普段の業務で取り組んでいる年賀状の制作とは異なる絵柄のイラストを描くのが楽しかったそうです。年賀状だと描くべきモチーフはある程度決まっていますが、今回カレンダーのモチーフとして選んだのは「旬の食べもの」。その月ごとに美味しそうな料理の絵を描くのは、年賀状とはまた違った楽しさがありました。一方、年賀状の制作ノルマをこなす傍らカレンダー用のイラストを毎月描き下ろすのがそれなりに大変だったとも。本来の業務に悪影響が及ばないよう自分の中で作業量のコントロールも大事になりますね。

また旬の食べ物をモチーフにしたところ、月ごとのモチーフ選定が意外と難しかったとか。1月のおせち料理や10月のハロウィンなど分かりやすいイベントのある月はスムーズでしたが、6月や11月は結構悩んでしまったそう。2月の節分やバレンタインのように、上旬のイベントだとカレンダーにふさわしいのか考え込んでしまう場面もあったのだとか。

どんなイラストなら読者の方たちに喜んで貰えるのか手探りでの取り組みだったのですね。それでも1年間続けられたことは自信につながったと答えてくれました。

イラストをカレンダーに仕上げるデザイン作業と記事の執筆を担当したもう一人のスタッフも、どんな記事がベストなのか常に考えながら取り組んでいたそうです。特にスタート時はカレンダーの数字について様々なサイズを検討するなど、壁紙として使いやすいフォーマットを決めるのに時間をかけたのだとか。常に最善を求めて悩むのは大変ではあるものの、とても勉強にもなったのだそうです。


工夫と試行錯誤

イラスト担当のスタッフは、毎月カレンダー向けのイラストを描き続ける中で、自分の中の得手不得手に気づいたと言います。今回の取り組みではイラストのタッチをリアル寄りではなくデフォルメする方針に定め、実際にデフォルメ表現は自分で満足できるレベルにできました。

その一方、料理をより美味しそうに見せる表現、いわゆる「シズル感」がまだ足りていないとも感じたそう。「シズル感」を感じさせるイラストを描くには独特のテクニック、経験が必要になります。自分にはそれがまだ足りていないと自覚していたので、より良く見せられるよう毎月目標を持って取り組みを続けていたそうです。

また、食べ物のイラストでは立体感が大事になることにも気づきます。お皿が登場することも多くパースを疎かにはできないのですが、実はパースがつくイラストが苦手なのだそう。そこで特にパースが大事になる構図のときには3Dソフトで下絵を作ることで解決したとのこと。頭の中にイメージはあるのにペンで描こうとすると詰まるとき、3Dソフトで簡単な形状を作ってレイアウトやアングルを検討することも。そうやって作った下絵をもとにペイントで仕上げる方法で作業時間を大幅に短縮できたとのこと。3Dソフトで全てを仕上げるのではなく、必要なときだけ利用する道具としての割り切った使い方ですね。

左が下絵として作成した3Dモデル それをもとに完成したのが右のイラスト

デザイン担当のスタッフは、カレンダーの日付にあたる数字の部分はXDで作っていると教えてくれました。スタック機能を利用すれば効率的に作れると考えたとのことで、思惑通り管理が楽にできたそうです。これも効率化への立派なアイデアですね。ちなみに、作り始めるのが今からだったらXDより使い慣れているFigmaを使うとの事でした。


使っているツール

使っているツールについても聞いてみました。ペイントにメインで使っているのはProcreate for iPadで、使い始めて4年ほどになるそうです。

それ以前はCLIP STUDIOを使っていたのですが、画面に表示されるツールや情報のパレットが多く描画に使えるワークスペースが狭いと感じていました。Procreateは表示される情報が少なく画面を広く使えるのが気に入っているそうです。その一方で使えるレイヤー数の上限が少ないので工夫や慣れが必要になる面もあるのだとか。

そんなProcreateでの目下の悩みは操作時のバグ。Appleペンシルでブラシと消しゴムを切り替える際にうまく切り替わらないことがあるそうで、描くのにノッてきたところで問題が起きるとテンションが下がってしまうので、はやく解消されて欲しいとのこと。最近は姉妹アプリのProcreate Dreamsのほうばかりがアップデートされるのを見ると、Procreate for iPadが忘れられているのではないかと寂しくなるのでした。もう手放せないアプリになっているので、アップデートして欲しいこの気持ちが伝わりますように…と念じていました。

一方、下絵として構図の検討や確認に使う3Dソフトは当初Blenderを使っていましたが、途中からNomad Sculptを使うようになったそうです。Nomad Sculptは粘土細工のように立体を扱いやすいと聞き、YouTubeの解説動画などを見て操作を習得とのこと。結果として制作作業がiPadで完結できるようになり、より効率的になりました。

ペイントでも下絵でも、現状のツールに満足することなく、より良いツールがあるとなったら直ぐに乗り換えてしまえる柔軟性はすごいですね。

ちなみに自分の中で仕上がりに満足できた作品を聞くと、3月のケーキと11月の鍋が挙がりました。実は今回のカレンダー向けイラスト制作にあたっては、自分の中で3時間程度で完成させるというルールを設けていたそうです。
例えば3月のケーキは3Dソフトでの下絵作成に1.5時間、それを元にペイントで描きあげるのに1.5時間といった時間配分でした。

そんな状況の中、「鍋」は具材をコピーしたものをベースにペイントすることで時間を節約できたので、その分仕上げに時間をかけたられたことでクオリティが高くできたとのこと。

というわけで、その「鍋」を仕上げる場面の一部をタイムラプスで特別に公開しちゃいます。


次への挑戦

最後に今後の予定についても聞いたところ、今後もカレンダーの配布を継続していくと力強く語ってくれました。今回の取り組みでは、どのようなカレンダーなら喜んでいただけるのかを模索し続ける日々でした。その中で考えたこと、気づいたことを活かして新たな1年を頑張ってみたいとのこと。

イラストについてもまだ満足できていない部分も多くあると感じているそうです。例えば、塗り込みすぎて色が沈んでしまう傾向があるので、光の表現を意識して取り入れるよう心がけたものの、後で見るともっとこうすれば良かったと感じる箇所が多々あるのだとか。プロのイラストレーターとして当然かもしれませんが、常にスキルアップの気持ちがあるのですね。こうした向上心が、今まで以上に素敵なイラストカレンダーを皆さまにお届けできることに繋がるはずです。

というわけで、もうすぐ4月のカレンダーが公開となりますが、これからの1年は食べ物ではなく別のモチーフになるそうです。これまで以上に壁紙として毎日目にするのが楽しくなるようなアイデアを盛り込むとのことなので、楽しみにお待ち下さいね。

ん? このシルエットはいったい…

それでは、また次の1年もシフカのカレンダーをよろしくお願いします。

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