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スマブラ世界大会GenesisXに参加してきた話-後編-

 前編では競技者の目線からGenesisXでの体験を書き殴ってきたが、ここからは主に観戦者側へと視点が移る。
 前編を読んでない方は是非こちらから。



GenesisX day2

day2の始まり

 移動の疲れも相まりぐっすりと眠ることができたday1が終わり、day2の朝がやってきた。持参してきたサトウのごはんを消費しても良かったのだが、せっかくならとホテルの朝食をオーダーすることにした。

マジ美味い

 今回のアメリカ遠征で一番美味しい食べ物だったかもしれない。ウィンナーパンスクランブルエッグと一見日本のホテルの朝食バイキングメニューと大差ないものの、脂がベトベト乗ってるウィンナーは脂質が多ければ多いほど美味いと感じられる舌を持つ私にとって最高のご馳走だった。

 朝食を済ませ会場へ向かう。この日はまず午前中にしょこらのRoAの試合を応援することになる。
 RoAについては出国前日にしょこらに仕様や見どころを教えてもらった程度でほとんど知識が無く、また教えてもらった話も大して聞いてなかったので実質全く知識が無かった。それでも本当に基本的な勝敗条件やゲーム展開はスマブラと同じではあったので、とりあえず雰囲気で応援を始めた。しょこらは勝者側3回戦で敗北、その後敗者側は予選決勝で敗北と惜しいところまで勝ち進んだものの後一歩というところ予選敗退となった。
 その後12時からは、私のスマブラSPの試合が始まることになる。

スマブラSP

 よく勘違いされていることなのだが、一応私はスマブラDXとスマブラSPの兼用プレイヤーとして活動している。日本DXランキング47位に代表される輝かしい実績もあってかどうやらDXプレイヤーとしてのイメージが強いようだが、少なくともスマブラSP発売後1~2年目くらいまでほとんどSPしかプレイしていない時期があった。
 そういうワケでこのタイトルは決して記念参加などではなく、DX同様全力で勝ちに行く姿勢で試合に挑んだ。トーナメント上では勝者側を3回勝ち進むとあのMkleoと当たることになっていたこともあり、ジョーカー使いの端くれとしても俄然やる気を出していた。

3回戦で当たると予想されるMkleo

 プール台でleoとの記念撮影をしている間に呼び出し確認が終わり、いよいよ予選が開始された。
 
○勝者側1回戦 
 初戦の相手はCat Kupo. 使用キャラはガオガエン。
 このキャラはこれまで数多くのプレイヤーの舐めプで闘わされた経験があったため、そこらの環境キャラよりよっぽど対処の術を心得ていた。1本目を取られたときは心底日和ったものの何とか巻き返し2-1で勝利。舐めプしてきた皆本当にありがとう。

○勝者側2回戦 
 次に現れたプレイヤーの名はPsychopath. 使用キャラはスティーブ。圧がヤバ過ぎる。
 キーコン名をfearにしてきたときは流石に苦笑いしてしまったが、完全にペースを握られていた私は彼に為すすべなく敗北を喫した。0-2で予定通り敗者側に落とされる。

○敗者側1回戦 
 敗者側で待ち構えていた相手はChito. フォックスを使っていた。
 フォックスは身内に使い手がいたこともあり対戦経験は豊富だったため、動揺することもなく試合を展開できた。結果は2-0で勝利。

○敗者側2回戦 
 次に当たった相手はLiudecris. キャラはピチューを選択。
 スピーディーな動きと火力展開に翻弄され1本目は何も出来ず落とすものの、開き直ってアルセーヌをブンブン振り回す戦略に舵を切ったところ何か勝って勝負は1-1に。3本目は相手は使用キャラをウルフに変え、さながらSP初期シーンを彷彿とされる硬派な試合運びとなった。試合は互いにストック1-1の高%同士という接戦までもつれ込んだが、最後は相手のなんかの技に当たり敗北。対戦相手の雄叫びのようなpop offを聞き、熱い握手を交わして試合を終えた。
 こうしてSPは敗者側2回戦で敗退。leoと対戦するという夢は案の定儚く散った。(てかleoもなんか途中で負けてた)


bracket
result

 こうして私の今大会でのエントリー種目は全て終了となった。応援してただいた皆さんには不甲斐ない結果を見せてしまい、大変申し訳ない。

ふぁるぱん本戦応援

 晴れて自分の試合が終わり暇になった私は、16時から始まるふぁるぱんの本戦の応援に駆け付けた。同部屋メンバーの中で唯一予選を突破した彼だったが、予選の段階で既に敗者側に落とされているため常に崖っぷちの闘いを強いられることになっている。果たして日本4位プレイヤーは世界の舞台にどこまで通用するのか。
 初戦の相手はファルコ使いのPaz. 事前にお喋りをしていたときにはそのへんのファルコにはまあ負けませんわなと調子に乗ってたふぁるぱんだったが、結果は3-2とギリギリの勝利。本人はかなり面食らった様子だったが、冷静に考えて本戦に上がってきている相手がそのへんのファルコなワケないので当たり前やろとしか思わなかった。
 次の相手はTheTheTrashmanのシーク。国内大会でいつもトナメ上のシーク掃除をしてる彼にとってはかなり美味しい相手。終始リードを奪い続け、3-0で試合を決めた。
 3戦目の相手はDarkHeroのマルス。ここまではシード通りでありこの試合こそが踏ん張りどころ。気合いを入れるふぁるぱんだったが、やはり相手は相当の手練れ、模範的な処理ムーブをかまされ試合は1-3で敗北。日本4位ふぁるぱんの順位は129thという結果で幕を下ろすこととなった。

 また同じくらいのタイミングで、同じく本戦に進出していた2023年度国内ランク2位の日本人DXプレイヤーshunsukeが敗退してしまったという話を耳にした。彼の順位は65thでフィニッシュ。
 スマブラDX競技シーンにおける日本と海外の力量差を改めて痛感させられる結果になった。

会場散策2

 day2で見るつもりだった物事は大方片が付いたので、その後は無心で会場を徘徊したり檀上で行われている試合をボーっと眺めたりしていた。

ワイワイガヤガヤ

 また、早々に敗者側に落ちたMkleoの本戦ブロックを見に行ってみると、leoが固定の椅子を陣取り、何でここでleoと当たるんだよという顔をした敗者側のプレイヤーを順番にぶちのめして、トナメの駒を進めながら次の相手を呼びつける公開処刑場のようになっていた。
 また、サブ種目であるGuilty Gear Striveがこの日に決勝が行われていることに終わる直前に気付いた。最後の瞬間だけでもと見に行ってみると、初戦で私をボコボコにした男が檀上でニッコニコで優勝トロフィーを掲げている最中であった。

 そんなこんなでday2終盤はダラダラと時間を過ごし、各種目の檀上戦が終わりday3に進むtop8プレイヤーが決定したあたりのタイミングで会場を後にした。その後はホテルに戻り、UberEatsで注文した(40分遅れてきた。二度と利用することは無いでしょう)ブリトーをかっくらう、フリーしたくなってまた会場に戻る、外を散歩する、等を繰り返して夜の時間を過ごしたのであった。

            深夜2時の会場前の様子


DXで明日のtop8に残ってるのに深夜まで謎のゲームに勤しむleffen

 
 さて、残る日程は一日。top8に残ったプレイヤーたちの、最後の闘いをこの目で見届けるday3が始まる。世界最高峰の試合というものを生で見たことが殆ど無かった私は、なんやかんや明日を楽しみにしながらベッドの中に潜り込んだのだった。


GenesisX day3

頂上決戦

GenesisX day3会場

 day3まで勝ち進む最高峰のプレイヤーたちが、俺たちと同じ舞台で闘うワケがない。最終日は別会場での開催となり、より舞台演出や集団観戦に特化した施設が用意されていた。

 同部屋の4人はそれぞれ見たい種目もやりたいこともバラバラだったので、各々テキトーなタイミングでday3会場に行ったりピザ屋に行ったり寝っ転がったりしていた。私は最初に行われるRivals2をチラ見したかったので、10時くらいに会場へと出向いた。

列にはゼロスーツサムスの姿も

 この日の入場列は前日より大分マイルドになっており、ものの数分待つ程度で会場入りすることができた。

どーーーん!!!

 すげーーー

 時間帯も早くまだ客席には空席も見られるものの、会場の仕上がりには圧倒させられた。海外大会の会場というと大量の人間が寿司詰めにされた大型ホールというイメージがあったが、どちらかというと会場の上下左右から檀上を囲って中央の決闘を野次を飛ばしながら観るアングラな地下闘技場という表現の方が近かった。
 私が入場したときには、既に本日最初の種目であるRivals2の檀上戦が始まっていた。

Rivals2

 このゲームはday1とday2のフリー台で数戦ほど遊んだだけではあったが、操作感ややりとりはかなりDXに寄せている節があったので観戦は存分に楽しむことができた。
 客席の中で既に入場していたしょこらを見つけることができたので、彼の隣に座りキャラクターの特徴等を教えてもらいながら一緒に観戦をした。DXのトッププレイヤーの一人であるleffenがトーナメントに残っていることもあり彼の躍進を期待していたのだが、彼はKraggというよく分からん岩を投げてくるドンキーみたいなキャラにボコボコにされてるだけでトーナメントから姿を消した。
 檀上には常にKraggの姿が映され続け、決勝の最後の試合はKraggミラーが発生し仲良くウホウホしている様子が映し出されていた。
 優勝を掴んだのはZeeBee選手。おめでとうございます!

スマブラSP

 Rivals2の試合が終わると、次のSP観戦に向けて一気に客席が埋まってきた。お目当てのゲームが終わり一旦会場を離脱していったしょこらを見送り、私は一人スマブラSPの試合開始を待った。

 SP開始前のインターバル時の様子。こういった時間の演出の手の抜かなさが凄い。そうこうしているうちに、いよいよSPの試合が始まった。

day3トーナメント 

 まずは敗者側からスタート。Tea対Tweek, SHADIC対Neoという日米対決が続けざまに行われた。Teaさんは惜しくも2-3という結果で敗退してしまったが、Neoさんは3-2でSHADICを下し、世界最強カムイの名を欲しいままにした。
 ここで、一人きりになっていた私は会場でEGSメンバーを中心とした日本SP勢のグループを見つけ、そちらへ席を移動し一緒に観戦をすることにした。渡米前に海外について質問攻めしまくってたなるさんや、昔からTwitterでずっと繋がっていたものの全く絡んでなかったてんぷらさんにここでようやくご挨拶をすることができた。
 日本SP勢と合流したことで、日本選手対海外選手という構図の試合において海外選手を応援する外人客と日本選手を応援する日本人客の声出しの掛け合いを楽しむことができた。海外大会に参加して感じたのは、海外ギャラリーの圧倒的なガヤの激しさである。向こうの方々は人種的な身体の構造からかシンプルに声がデカすぎる上に、日本人以上に脊髄反射で言語を発しているようでノリが意味不明過ぎて面白かった(Light対Sparg0の試合中にバカでかい声でTweeeeek!!!とコールしまくってる外人がいてマジで意味が分からなかった)。会場の盛り上がりがギャラリーのコールに一任されているからか、日本の大会と比べてマイク実況の口数がかなり少なめなのも印象的だった。
 周りの日本人とおしゃべりをしている間に、檀上ではSparg0やSonix, Tweekといったスター選手たちが激戦を繰り広げていた。私は現在の世界最強はSparg0かSonixかといった印象を持っており、恐らくこの二名のいずれかがトーナメントを制するだろうと予想していた人も多かったと思う。
しかし、GenesisXはZombaの大会だった。

めちゃくちゃ喜んでるZomba

 
 勝者側を破竹の勢いで駆け抜けていったZombaは、敗者側から這い上がってきたSonixとのGFでリセットを掛けられるもその後3-1で下し、見事優勝を果たした。いつも上位にはいるものの何だかんだ優勝はしていないというイメージがあったので、この結果には些か驚いた。Zomba選手、優勝おめでとう! 

 SP部門が終わったタイミングで、会場に居た日本勢で集まって集合写真を撮りませんかーという呼びかけがあった。この嬉しいお誘いに私はホイホイと付いていき、皆さんとの写真撮影を済ませた。
 その後は、ホテルに戻っていく者と檀上戦の続きを見るために観戦席に戻る者とに別れた。私は当然後者であり、このタイミングで会場に入ってきていたDX勢たちと合流して先ほどまでとは別の席に座り込み、次の観戦の始まりを待った。
 待ちに待った、スマブラDX部門の檀上戦が始まるのだ。

スマブラDX

 SP部門が終了し、席を立ち会場を去っていく観客たち。
 それと入れ替わりに、どこからともなく沸いて出てきた大量の人間たちが空席を占拠しだした。先ほどにも増して熱気に溢れ、会場は異様ともいえる雰囲気へと一変した。
 海外でのDX人気は異常という話はかねがね耳にしていたものの、種目が変わることでここまで会場の雰囲気が変わるとは思っておらず呆気に取られた。Genesisは毎度DXをトリの種目に据えていることもあり、よりDXにフィーチャーした大会という位置付けでもあるからなのだろうか。
 そんな宗教じみた雰囲気に圧倒されていると、突如スクリーン上でカウントダウンの文字が刻まれ、聞き馴染みのあり過ぎるBGMが流れてきた。

 神過ぎる


 古めかしくも骨太なグラフィックのキャラクターが乱舞し、テンションのバグった外人たちの声が会場中に響き渡る。


 スマブラDXのお出ましだ。

DX部門スタート

 
 イカした演出が終わり、まずは敗者側の試合が始まった。

 最初の試合はZain対Hungrybox.
 マルスプリンはマルス側が常に息苦しそうにしているカードという印象があったが、世界最強の剣豪Zainの手にかかればマッチアップなど何の意味も為さない。瞬きをしている間に全てのプリンが消し飛んでいた。3-0でZainの勝利。
 次はWizzrobe対mokyの試合。
 ファルコンフォックスはファルコン側が常に息苦しそうにしているカードという印象があったが、案の定Wizzrobeのファルコンがmokyに終始ボコボコにされ続けていた。3-0でmokyの勝利。

 続いて、勝者側の試合が始まった。
 カードはCody対Leffenのフォックスミラー。最強キャラの最強プレイヤー同士の激突は非常に見応えのある試合となり、観客のボルテージも常時フルスロットルであった。
 しかし、結果は3-0でCodyの勝利。昨年度のDXプレイヤーランク1位のCodyが、圧巻の貫禄を見せつける結果となった。

 いずれの試合も、使用キャラこそ国内競技シーンでよく見られるものであるものの、やはり海外最上位の動きは別次元だった。前述の繰り返しになるが、スマブラDX競技シーンにおける日本と海外との実力差は非常に大きい。国内で最上位を争う実力のプレイヤーであっても、いざ海外大会に行けば100位に入るか入らないかが関の山というのが日常茶飯事。スマブラDXにおいては、SPのように海外の強豪と渡り合うなど、夢のまた夢なのである。







 ただ一人の男を除いては。






 GenesisXへの参加を決めた もう一つの理由。
 aMSaの試合が始まる。

aMSaRedYoshi

 小さな島国から突如現れた一人の男が世界に衝撃を与えて早幾年。当時大学の後輩であった私は、彼が世界の頂を懸け闘う姿をいつかこの目で見てみたいものとずっと願い続けてきた。
 GenesisX day3. この日のことである。

 勝者側 aMSa対Jmookの試合が始まった。
 Jmookは現在、スマブラDXにおける世界最強のシーク使い。近年の大会では数多くの優勝・入賞を獲り続けており、2023年度スマブラDXプレイヤーランクでは世界3位を獲得している。間違いなく、世界の頂点を争うプレイヤーの一人である。

狂っている

 一瞬の出来事だった。
 3-0でaMSaの勝利。

 勝者側決勝に残ったのは、CodyとaMSaの二人になった。

 Codyは前述の通り、昨年のDX世界ランクで1位を獲得した、現在世界最強との呼び声が高いプレイヤー。幾多のトッププレイヤーを下してきたaMSaさんだったが、彼相手への戦績は芳しくはなかった。しかし、現代のスマブラDXで世界を獲るためには、必ず倒さなくてはならない相手である。

 勝者側決勝戦の試合が始まった。
 初戦は両者順にストックを削り合うシーソーゲームが展開され、勝負は完全に互角に見えた。しかし、両者ラストストックの状況でCodyのブラスターを使った的確な待ちが機能し、一試合目はCodyが先取。続く二試合目ではお決まりのaMSa現象(台ステが得意なはずのヨッシーが終点を選んで何故か勝つという現象。理由は不明)を起こし、aMSaさんが一本を取り返す。
 その後も両者互角に見える試合が続くも、常にCodyが一歩先にリードを取り、結果は3-1でCodyの勝利となった。

 敗者側に落ちたaMSaさんを待ち受けていたのは、敗者側を勝ち進んできた昨年度スマブラDX世界ランク2位のZain。気付けばトーナメントに残っているのは、この2人とGFで待ち構えるCodyのみとなっていた。

 Codyへの挑戦権を懸けた敗者側決勝、aMSa対Zainが始まった。
 試合は先ほどとは打って変わって終始aMSaさんがリードを取り続けた。1戦目2戦目と試合を取っていき、これはもろたわと歯茎を見せた3戦目。Zainの逆襲が始まった。圧倒的な対応力で瞬く間に2本を取り返すZain. 勝負は2-2までもつれ込み、終始絶叫しっぱなしのこちらの声も息絶え絶えになっていた。
 そして遂に、決着がついた。

 aMSaがGFへと進んだ。

最後の闘い

 3日間に渡ったGenesisXも、残す試合は後1つ。
会場でコントローラーを握る人間は2人だけになっていた。


 GenesisX スマブラDX部門 GF Cody対aMSa.
 是非皆さんの目で確かめていただきたい。
 


優勝はCody.  おめでとう。


閉幕

 スクリーンに流れるエンドロールをバックに、入賞選手たちの受賞式と閉会式みたいなのが一斉に行われた。名残惜しみつつも私たちは会場を後にした。

授賞式
エンディング

 会場を出ると、外は雨が降っていた。びしょ濡れになりながらホテルまで駆け足で戻っていく参加者たち。私は雨水で鎮火されたかのような会場施設を写真に収め、ホテルへと戻っていった。

ggs

 その後、ホテルの一階で駄弁ってたSP勢たちと軽くお喋りをした後、残っていたサトウのご飯を処理するかのように平らげ寝床に就いた。翌日は朝早くの出発であったためさっさと寝れば良かったのだが、興奮が冷めるはずもなくふぁるぱんと修学旅行みたいなノリでダラダラとしょーもないお喋りをしまくっていた。何だかんだこういう時間が一番楽しかったりする。

帰国

チェックアウト

おは

 GenesisXの無い朝。普通の朝である。

 雨は上がっていたものの、分厚い雲がどんよりと空を覆っている。熱狂的な3日間が終わった事実も合わさってか、心なしか私の心もどんよりと曇り塞いでいた。
 帰りはフライトまでのスケジュールが結構シビアだったため、ささっと荷物をまとめて私たちはホテルの部屋を出た。
 数日間本当にお世話になりました。

 ホテルの1階へ降りると、他の日本勢たちがフロント付近に集まりダラダラしていた。ここにいる者は私たちを含め皆同じ便の飛行機に乗ることになっている。チェックアウトを済ませた後、所用により別の帰路を辿ることになっていたふぁるぱんに別れを告げ、私たち+同席することになったSP勢の寝椅子さんの4人でタクシーに乗り、空港まで移動した。

帰り道の一枚

 空港に着き、各々別のタクシーに乗っていった日本勢たちと再度合流。出国審査を無事に済ませた後は、フライトの時間まで空港内をうろついたり、わっち寝椅子さんMTKさんとお喋りをしながら飯を食ったりしていた。

帰国

 謎の遅延で待たされること一時間弱、ようやく飛行機に搭乗できほっと一息。程なくして離陸を始めた飛行機の窓から外に目をやると、数日間滞在した大陸が徐々に小さくなっていき、やがて視界は雲に包まれた。安堵感と物寂しさが入り混じった感情から笑顔とため息が同時に零れ、私は最後の写真をスマホに収めた。

 往路と同様、私はしょこらと隣の座席に座り、IPadで映画(エスターという作品を観たのだが、行くときに観なくて本当に良かったと思う)を観たり、ボーっとしたりしながら時間を過ごした。
 そして8時間。うたた寝状態のまま聞き取った着陸アナウンスが旅の終わりを告げる。無事に着陸した飛行機から窓の外の見慣れた土地に目をやり、シートベルトを外した。

 小さな島国に零れ落ちるように着陸をした機体から、コントローラーを鞘にしまった二人の男が疲れた顔で降りてきた。





終わりに


 この後はマジでただ東京から長野に帰っただけで何も面白くないので略。物語はここでおしまいです。



 最後に雑に感想

①競技者として
 自身の大会結果については、まあ可もなく不可もなくといったところ。DXについては直前までかなり仕上げていたつもりだったからせめてあと一回勝ちたくはあった。ただよー分からんキャラに負けるよりかは、スマブラDXの主人公であり黒幕でもあるフォックスに負けて終わることができたのは、少しだけ晴れやかな気持ちで幕を引くことができたと思っている。

②観戦者として
 これは本当に文句無しに満足できたと言い切ることができる。スマブラやってる奴、マジで海外行った方が良い。たとえ勝ち上がる見込みが無くても、大舞台を闊歩する海外のスター選手を羨望の目で見たりそこに立ち向かう日本選手を応援するのはマジで楽しいし、当然自分のモチベーションアップにもなる。あと、界隈や競技そのものへの愛着もより強くなると個人的に思う。何よりシンプルに世界規模の大会は会場の規模感だったり舞台演出が国内のそれと比べて段違いなので、本当に行って損はしないと思う。

③遠征者として
 この観点でも大満足の一言に尽きる。強いて言えばもうちょっと外で遊んどきたかったと思わなくもないけど、そこは次の機会にリベンジとしましょう。自分は不器用で低スぺックな人間だと思う反面、人生の大事な選択だけはそんなに間違えないという自負があるのだが、初めての渡米として選んだのが今回の大会遠征なのはマジでナイス判断だったと思っている。
 また、特に大きなトラブルに見舞われず一連の工程を乗り切ることができたのは、ひとえに同行していただいたDX勢の仲間たちや旅のサポートをしていただいた皆様のお陰だと思う。本当にありがとう。

 一生このゲームをプレイし続けるのかは分からないけれども、活気溢れる若い時期にある程度の時間を費やした事実は消えないし、その期間の思い出は生涯忘れることは無いと思う。そういう意味でも今回みたいな大きな催し事には一度だけでも参加しておくことは大きな意味があると思うし、将来思い返したときに後悔を残さない選択にできたんじゃないかと思う。



 と言ったところで、ぼちぼち筆を置かせていただきます。
 ダラダラと書き殴り続けてしまったけど、この文章から熱意なり笑いなり、何かしら感じ取っていただけたものがあったなら嬉しい限りです。


 ご清覧ありがとうございました。





Sigh =)




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