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Divided Pickupは作れるのか(2)

前回の失敗を踏まえ、考えを一度リセットする。なぜ市販のDivided Pickupが使えないか?それは「設置するスペースがないから」である。音を拾うPickupはユニットになっており、交換することができるようになっている。ではこのユニットごと作ってしまい、中にDevided Pickupを仕込むことができるのではないか?

しかし、元々ギターを弾いていたわけでも、ギター用のPickupなど作成したこともない(世の中には自作して楽しむ輩もいる)自分ができるのか?まあ考えていても問題は解決しないので、とりあえずやってみる。

まずはコイル。前回作成した自動コイル巻き機を若干改良し、大きいサイズで巻けるようにした。巻き数を調べるとギターのものは8,000回巻きとかなので、その辺りを狙う。大きいサイズになると巻く時に力が必要なのだが、前のままで作成して見事失敗、4,000回ぐらいで線が切れてしまった。勿体無いのでそれはそのまま使う(巻き数による変化の実験に使う)ので新たに巻く。銅線側の摩擦抵抗が大きかったので古いマウスの裏からテフロンシートを剥がし、擦れるところに貼付した。今までは横置きだったのを縦置きで巻いてみたところ、6,000までは無事巻けた。9,000(3,000を一回として、3ラウンド)できるほどの余裕がなかったので、とりあえず6,000でテストすることに。

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コアの部分の磁性体はネオジム(ネオジウム)磁石をネットで注文。サイズは20mm * 5mm * 10mm。普通の磁石なら長い方向にNSの向きになりそうだが、この磁石高さ方向10mmの方向にNSが向いている。磁力も強力である。これをあらかじめ作っておいた溝に2つ押し込む。3Dプリントで作成済みの外側のカバーを被せ、ピックアップの完成。

ユニットのケースは写真と計測を元に3Dで作成、プリントした。サイズ的にウチのプリンタでは製造範囲を超えるので2分割でモデリングし、のちに接着して箱ができた。

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ボリュームやジャックなどが手元になかったので、とりあえずピックアップとスイッチを仮止めしてみる。うーむ、なかなかいい感じ。上蓋は後で作成するつもりでとりあえず中身を考える。

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元々のユニットはベース弦、ギター弦それぞれが右左のチャンネルに分けられている。それぞれに別のエフェクトをかけるような場合にはこれは便利な仕様だが、アンプの入力が一つの場合困ってしまう。しょうがないので小さいモノラルのミキサーで右左を混ぜて、まとめてアンプに繋いでいる。最近のモデルではスイッチでモノラルに切り替えることができるので便利である。これを簡単にやってみよう思う。

通販で注文したボリュームとジャック、ツマミ等(あまりに安すぎて送料の方が高くなってしまうが、直接買いに行く手間と運賃を考えると通販した方がいい)が届いたので、配線する。途中、ピックアップの銅線を切ってしまうミスなどを乗り越えとりあえず配線は終了。

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おお、なんかかっこいい。下半分の隙間には当初の問題であるDivided Pickup(コイル)が入る予定。蓋はその時に作る。まずは音を本当に拾うことができるのか検証。

元々のユニットのネジ2本を取り外すとユニットごと外せる。非常に合理的な作り。外したユニットから取り付け穴の位置を移し、嵌め込んでみた。2mmほど幅が足りない感じではある。これは次回に修正する。Pickupの位置(高さ)を調整し、シールドを繋ぐ。

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アンプの電源を入れ、ヘッドホンをする。あれ?ならない。音がちっちゃいのかな?あれ、全然音がしない?あれ?あれ?Pickupの線切れちゃったかな?繋いだつもりで繋がってないのかな?配線間違えた?と、焦っていてふと気が付いた。「ノイズもない…」。普通はプラグの金属部分を触るだけで「ブー」っていうのがない…。これは…ヘッドホンが繋がれてない!

そうだ。昨日ムービー撮るのにヘッドホン外してアンプに繋いで鳴らしたんだ。(ヘッドホンが繋がってるとアンプへの出力が出ない。)すっかり忘れてた。ヘッドホン繋ぎ直して、再度挑戦。あ、音出てますな。(笑)

経験もなく適当に作ったピックアップ、ちゃんと音を拾ってる。元々のピックアップと音を比較してみた。

[元々のピックアップ]

[作ったピックアップ]

作った方がノイズが多いのは、信号を増幅したから。やはり大分音量が低い。まだベース側ははっきりするが、高音部になると途端に音が小さくなる。やはり6,000回巻でもちょっと足りないのだろうと思われる。まだ成功には至らないが、少し明かりが見えた。次回は巻きを増やして(9,000いけるかな?)トライする。急ぐ旅でなし、まだまだチャレンジは続く。

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