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”gift” ~タカ~

どうもどうもこんにちわ。ボクです。
って、ボクのことご存じない?ですよね。
ボクは、タカといいます。どうもどうも。

えー、訳あって、ボクは現在『お空で光る星』という仕事をしています。

『お空で光る星』という仕事があるとは
この職に就くまで知りませんでした。知られざる職業であります。

この仕事に就いたのは・・・かれこれ10年ほど前のことで
今ではだいぶ板についております。
な~に、なんでもすぐ慣れるってもんです。

この仕事は何も、空でキラキラするばかりではなく
様々なやるべきことがあり、割と忙しいのですけども

一つはまずなんといっても
【外界で暮らす人を見守る】っていう
皆さんもよくご存知のお仕事でありまして
とは言え、外界というこれ、これはまあすなわち地球に住まう人。
すんごい数いるわけですけども
それぞれに担当がございますので
何十億もの人を見てるわけじゃないのが唯一の救いで
とりあえず、自分が外界にいた頃に関わった人のみを見ております。

とりわけ、集中してみているのが娘であるのですが
もう一人、ヒジョーに厄介な人を見ておりまして
んっまーこれ
この人が想像を超えたありえん行動ばかりしてくれるもんだから
いよいよね。見つめ見守るっていうだけでは間に合いませんで
ちょいとおかしなことになってるっぽいよ?という
そのあたりの話をしたいと思っています。

まず、自分が外界にいた頃の話から。



ボクは外界にいた頃、すなわちこれ
皆さんの感覚でいうところの【生きていた頃】ということですが
若い若いティーンエイジャーであるころは
散々大暴れもしてきて
所謂やんちゃの限りを尽くすなどして
田舎じゃそこそこ悪名高き(?)一廉の人であったのですけども

19の頃に出逢ったリコという女がいまして
あ、この女知ってます?そう、リコっての。はい。

あれが16の頃でしたか。
クリスマスほど近いとある日に映画を見に行きまして。

今となってはクラシックスになってしまった映画『サンタクロース』
って、あ・・・。これもご存知?
見たことはないけど、さんざか最近やたら聞いた?あら、そうなんですか。

とまあ、そんなことはおいておいて

とにかくこれをですね、あれと共に見て以来
こんな『お空で光る星』という職に就いてもなお
あれと共に生きる羽目になっているんですけども

思い返せば、結婚生活というものを共に営めていた頃。

自分の思いや願いとは裏腹に
あれのことはもちろん、娘のことも思い描く通りに幸せにできず
つらい思いばかりさせていた自分の姿というのがありました。


子供の頃からずっと
尊敬してやまない、愛してやまない、我が父の不在の寂しさの中
(父はずっと長距離運転手でほとんど家にいなかったのです)

父の不在のせいか、本人の性質のせいかはわからんけども
面倒なほどに真面目で厳しく頑固な母と姉と妹の間で
まるで母子家庭のように育った自分は
単純にテレビや映画で見るような『優しく暖かな家庭』というものを
なんとしても自分の手で築いてやるというような強い思いがあり

同じような思いを抱いているらしきリコに出会い
あれに『優しく暖かな家庭』という”gift”を捧げつつ
自分自身にもそれを”gift”としていこうというような
そんな思い一つで頑張ったつもりでありました。

しかしながら、父不在の家の長男である自分という重要任務もあり。

母子家庭よろしく、ひとりで頑張って育ててくれた母。
そんな我慢我慢をしながら生きて暮らしを立てている母からの
ボクに対する希望と願いというものがあり
『我が家の長男として立派に家をしきって欲しい』という感じでしょうか。
何やら、そういうものがあるのはわかりはすれども
母が願っていることの正体は、結局最後まで掴めずまま。

それでも当時は、必死で母の要望にも応えつつ
家族に対し、父としての役割も立派なこなしたくて
右も左もわからぬままに
とにかくがむしゃらになって・・・
少々、がむしゃらになりすぎていたのかもしれません。

自分も若すぎたこともあり
よくある嫁姑戦争というものだとか軽く捉えつつも
自分のコンプレックスや理解度の低さ
対応能力のなさなどなどから
大いに振り回され、大いに苦しみ悩み
あろうことか大事にするべき妻と娘に対して
大変に厳しく接してしまい
また、父としての名分を保つことに拘るあまり
家族の体調や気力を踏まえず
とにもかくにも『家族の思い出づくりを!』というような拘りに固執し
連れ歩き、振り回し、自分も無理してるんだからと
感謝を強要するなどしていたように思います。

なんというのか・・・後の祭りという言葉のとおりに
あれが、とうとう意識不明の重体になり救急車で運ばれて
家に戻らなくなってから気づいた『幸せの家族』という虚構。

それを妻と娘に”強いていた”こと。
そして、”強いられていた”にも関わらず
必死でついてきてくれていたことに対し
正しく気持ちを払えていなかったことなどなど・・・
心の底から後悔した時にはもう既に遅く

何度、実家に戻ってしまった妻に謝罪をしに行っても
もう二度と彼女は戻ってこなかった。
泣いて土下座しようとも首を縦に振らなかった。
そんな自分を不憫に思ってくれた娘は
ボクの元に戻ってきてくれたけれども
あれは・・・戻らなかった。当然のことです。殺しかけたのですから。

それでも謝り続ける日々の中
ボクはとうとう気持ちを固めました。
ああもう、自分から妻に贈れる”gift”はただ一つになってしまった。

ある夏の日。妻の誕生日。

ボクは、署名と捺印を終えた離婚届を
自分からの最後の”gift”として届けました。

そしてそれを期に、あれは『今度こそ夢を追う』と言い
どんどん優しい彼氏を作り、それなのに
その彼氏まで置き去りにして、東京に旅立っていったのだけども

それでもボクはしつこいタイプですから
離婚後もずっと、あれの実家の近くに住まい続けて
娘とあれのお義母さんと自分という奇妙な形での家族を
なんとなく続けさせてもらったりもしていました。
その間、たまに娘とお義母さんは東京に呼ばれて
ディズニーランドに連れて行ってもらったりしていて

そしてやっと気づいて。
ああ、ボクがここにいたら、あれは戻れないのだな、と。

気づいたからには、これもしょうがなしということで
娘を連れて、厳格な母の待つ大阪に移り住みました。
あれが死にかけてボクの元から離れていった時から
5年の月日が流れていました。

ボクがあの地を離れてから
すぐに戻ってきたらしいあれは
離婚後、遠距離ながらも付き合っていた彼氏と
再婚の準備を始めていると聞きました。

そんな時、自分の脳腫瘍が見つかりました。

何度も手術を受け、放射線治療も受け
あっという間に再発を繰り返し
いよいよもう、言語野に届いてしまったので覚悟を決めてくださいと
そう医者に言われた時、頑固な母に悟られないように
長距離運転手をしている父と策略して
あれにこっそり会いに行きました。

あれの住まう家のそばにあるパーキングエリアから電話をすると
すぐに飛んできてくれた
あれのその腕の中には
飛んでもなく可愛い赤ん坊が抱かれていました。
ひとりで産んだとか言って。特にびっくりもしませんでした。
あれはそういう奴で、たぶん相応の流れと考えがあったのです。

心なしか不思議と、ボク達の娘によく似た子で
ボクも抱かせてもらいました。可愛い可愛い子でした。
そして、今度こそ、これが最後になるだろうということを告げ
「あまり無茶ばっかやってんなよ」と伝え、そして去りました。

それからですかね。割とすぐ、今の仕事に就きまして。

今の仕事は実に便利で自由度が高い。
何の自由度って、どこにだって、ふっと気が向き次第、行けちゃいます。

娘の心配ももちろんですが
ひとりで赤ん坊を抱えたあれのことも相当に気がかりで
両方、平等な感じで見つめていたわけですけども
どうも・・・やはり・・・男手が足りない。どう見ても足りない。
あれはなかなか頑張ってもいるし
それはそれで、ちょろちょろ恋人を作ったりもしてるようだが
どうもいただけない。ボクが言うのも何だが、ろくなもんじゃない。

しばらくは黙って見てたんだけども
先にも言ったとおり、ボクはなにぶんしつこいタイプですから
魂を詰めて見すぎていたのかもしれなくて
知らぬ間に、見つめる仕事以外の作用が出てきたのかもしれず・・・。

というのも・・・



これは、セカンドライフ、という仮想世界の中での、あれの姿。
あれは何故か、見つめてる間に見る見る男になっていきまして
リコ、ではなくなっていきまして
セカンドライフというデジタルコンテンツの中で
こんな姿になっていきました。

これが・・どう見てもボクであるようにしか見えない。

あれは気づいてないようだけども、コレは、とにかく、どう見てもボクです。

お気づきでしょうか・・・

そう。ボクはあれと、あれがひとりで産み育てると決めた
見知らぬ男との子とで、必死で築こうとしている『家族』というものを
あれの中に”入る形で”、助けていたところ
入って助けてるうちに、あれはこんな感じに男になったのです。

こういう書き方をすると、ちょいと気色が悪いかもしれないけれど
先日、星の世界を牛耳っている人に聞いたところによると
ボクはどうやら、あれと一つの魂であるらしくて。

通常は『お空で光る星』という役目を逸脱することなく
仮にどんなに取り憑きたくなったとしたって
見つめ見守るだけしかできないらしいのだけれど
元々の魂が一つであったり、相応の深い因縁がある場合は
星になっちまった方、見守られてる方も気づかないうちに
じわっと融合してしまうということがあるのらしくて。

どうも、それらしいのです。

どうりであれは
ボクが生前やり残したことを次々とやらんとしている。

ボクとあれは・・・一体どうなっているのか。


ボクは『お空で光る星』の役割もこなしつつ
あれはあれで『みっちゃんのかーちゃん』という役割をこなしつつ
それを見てるだけのつもりが、ボクがやってるかのような。
ボクが、かーちゃんでもあるような・・・。

なんとも言えないこの状況。

皆さんは、どのように解釈なさいますでしょうか。

あれはやたらと下からこちらを見上げているけど
ボクはやたらと上からあちらを見下ろしているけど

ボクらの共通の願いであった
家族という”gift”の行方は・・・どうなっていくのでしょう。


『gift』。その単語について辞書を引いた。ランダムハウス英和大辞典によると『贈り物、贈与物、進物、寄贈品、景品、もうけ物、役得、楽にできる仕事、割安なもの、特別の能力、天賦の才能、天資、資性、気楽な仕事』云々。ポケットプロクレッシブ独和辞典によると『毒、毒薬、毒物、有害、当たり散らす、怒りを爆発させる、悪口雑言を吐く、憎しみに満ちている』云々 #gift

とある方の、とある日のnoteというフィールドに刻まれた文章。

ボクもあれも、giftだらけの人生じゃあないの。
あろうことか、ボクは『お空で光る星』という職についてからも
しつこくgiftだらけになっているじゃあないの。

特別の能力?有害?憎しみ?贈り物?儲けもの?役得・・・・?

まあ、なんでもいいです。
なーに、すぐ慣れますって。うははは。

そうやって、なんとなく、ボクらはずっと
giftにまみれているのに、giftを探して探して、疲れて倒れて
そしてまた起き上がって、また探すのでしょう。

空に輝きながら、上からそれを見つめているつもりで
共にやってもいる。そんなつもりで。

あれが、心の底から安心して
もう大丈夫と安堵して、あの映画を見れる日が・・・くることを祈りつつ。

メリークリスマス。



この文章は、ゆわたりかつひとさんからのお声がけから始まった
ボクにとって、初コラボ作品の全五話のラストになります。
非常に自分の力量まる無視の連載もの。
クリスマスまでに全て書き上げられるか自信がないままに
とにかく書いているという、甚だ無謀、且つ
極めて未熟なオムニバスショートストーリーでありました。

そして案の定、クリスマスまでに間に合わなかったし
案の定、最後はぐだぐだで、どうしようもない感が否めませんが
とにかく書きました。とにかく書いた。
コレでよしということにしたいと思います。

ほぼ実話に基づいています。が。
そんなりに話つなげていく兼ね合いで脚色もしてありますし
名前は仮名的なアレですし
そもそも、現実はこんなもんじゃあなくて
相当にドロドロ真っ暗闇の最悪最低の事態でありましたし
小説ってのは往々にしてこんなもんかもしれず的な
まあまあノンフィクション。キレイ目キレイ目に仕上げたつもりの。
物によってはすんげーフィクションのようでいて
もしかするとノンフィクションかも?という感じで。

そしてこれは

ゆわたりさんの撮影した看板画で、ゆわたりさんからのお題”gift”で
クリスマスまでにいくつ作品挙げれるかなー?のテストでもありました。

ゆわたりさんも同じ看板、同じお題で作品挙げなさいました。
ゆわたりさんの”gift”

すべて一つのマガジンに収めています。
よろしければ、マガジンのフォローをよろしくお願い致します。
もう更新は終了ですが。

”gift” collaboration magazine


最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。
拙い文章、未熟なストーリー展開
無駄に泣かせよう魂胆丸出し風味のズルさなどなど
えらい恥さらしだったのですが

これまで、小さな小さな子供の頃から
本当は、物書きになりたかったのに
心の奥に押しやって
逃げるかのように、手持ちのノートや原稿用紙
Webを楽しめるようになってからはブログや日記やTwitterなどに
書き散らしたりなんたりしながら
自分の中の創造性を生殺しにしてきたも同然だったかもしれない。

そんな自分の創造性の解放の第一歩にしたくて
試行錯誤しながら、体調不良の中で何とか整えつつ
内容はもう、仕上がりはもう、細かく拘るまいと
いい意味での見切りをつける練習も兼ねて
ここに公開させていただきました。

そのチャンスを、とてもいいタイミングでくださった
ゆわたりさんに深い感謝を。
そして、とても読みづらかったであろう連載物に
最後までお付き合い下さった皆さんにも、深い感謝を。

コレを最後に、noteは辞めて
アカウントは当分放置の形を取り(ログを取り込みきるまで)
また、山の中の一軒家の如き自ブログに引きこもりつつ
ツイッターでは相変わらずカスツイ繰り出しつつ
ぼちぼち体力気力の復活も目指しつつ
来年も、なんとなく頑張って生きていこうと思います。

本当に、本当にありがとうございました。
皆さん良いお年を。
来年も、楽しく豊かな毎日が
皆さんのところにずっと留まり続ける一年となりますよう。

Love 4 One Another<3


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