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【競輪】競輪選手の調子を雑に考えないアプローチ<1>

選手は人間であり動物なんですけど

競馬と競輪は似ている

競輪は競馬と同じ動物系のレース競技であり、動物系のレースにおける動力源は筋肉です。ボートレースやオートレースといったモーター系のレース競技との違いは、「バテる」「疲れる」といった動力源=筋肉そのものに対する出力減退要素があることです。

もちろん競馬と競輪は違う競技ですので、相違点はいっぱいありますが、この「バテる」「疲れる」といった筋肉依存の減少に関しては共通点となるわけです。シンプルに今回のテーマ『競輪選手の調子を雑に考えないアプローチ』においては競馬で考えられている調子へのアプローチを参考にするといい、といったお話になります。

G1で勝ち負けになる馬とそうでない馬の違い

G1で勝ち負けになる名馬になると、当然ですがG1に向けてピークとなるように調子を調整します。逆にいえば、ずっと絶好調のまま走ることができないから調整が必要なわけです。今では外厩調整が増えたために少なくなりましたが、実力馬がG1前に前哨戦やトライアル、ステップレースを使うときによく「ここは調整途上ですが能力が上なので……」みたいな解説がなされることがありますが、そういう事なわけです。

一方、G1戦線の常連とはいえないオープン馬の場合は、まず現状のオープンクラスで賞金加算や出走権を確保しなければG1に出ることすら覚束きません。そういう馬にとっては調子のピークをG1に合わせる、とか言ってる場合ではありません。

ただ、いずれの場合にせよ、結果を出したいところで調子を上げるように調整することになります。

競輪も一緒 選手によって狙うレースは違う

これは競輪も一緒です。S級S班の選手にとって、記念G3戦とG1戦、どちらが大事でしょうか? 競輪のG1は最低額の優勝賞金でも3800万円、決勝9着でも446万6千円です。ですが、記念G3だと優勝賞金は500万円です。これでも今年から賞金が増額されてますが、その差は7倍以上です。

あなたがS級S班クラスの選手だったとして、どこにピークをもっていきますか?

もう答えは出ています。トップクラスの選手にとって、記念なんてお遊びです。ですが、選手はそんなことを口が裂けても言いません。っていうかわざわざそんなことを言うメリットは何もありません。

それなのに記念競輪は20年前から3日制6個レースから現在の4日制12個レースに変わり、メンバー・日程ともに厳しくなった割に賞金はほとんど変わりません。20年前の記念であれば、調整途上でも勝ち負けになりましたが、今の記念だとS級S班は平均3人出走し、さらには4日間走らされます。ここに全力の調整をするのは、どう考えても割に合いません。ついでにS級S班は1年間のG1出場権や優遇措置をすでに受けています。記念で活躍しなければG1戦線で不利になることもありません。

ですが、これがS級1班クラスの選手だとどうでしょう? 

これも答えが出てますよね。とくに地元の記念G3なら、ここに向けて調整するでしょう。自らの立場で稼げる可能性の一番高い開催なのですから。

実際に記念G3とG1では時計も違う

競輪のラップ計測について過去noteやTwitterツイキャスYoutubeをご覧いただいている方ならすでにご存知だと思いますが、同じS級S班の選手でも、G1時とG3時で先行の時計はだいぶ変わります。

今年は脇本雄太選手のラップを全計測しつづけていますが、これだけでもG3とG1では違っていることがわかるかと思います。これはなにもG3だから手を抜いているわけではありません。G1でピークとなるようにトップクラスの選手は調整するものなのです。

記念競輪は「トップクラスのまあまあ」で成り立っている

ですので、記念競輪で地元のS1選手がSSと戦えることがあるのです。地元3割増しなんて言葉がありますが、これはそういった調子の合わせる場面が選手の立場によって違うという側面があることを充分理解したほうがよいでしょう。

今回は選手の調子に対する基本的な考え方についてでした。

次回<2>では具体的に現状の選手の調子をどう測るか、判断するかの具体的なアプローチについてまとめます。

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