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ミッドナイト競輪の得点車番順、集計してみたら、やっぱりダメな制度だったよ……【令和競輪どうしましょ6】

【追記】お詫び

公開した初版では、制度開始を2021年10月1日と間違えて集計していました。制度開始は2020年10月1日でしたので、集計し直し、大幅修正しております。見解も変わってます。

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なんとなくの感覚で議論するのはやめよう

ようやく自前のDBにおいて、ミッドナイト競輪だけのデータを切り分けられるようになったので、今回はずっと調べたかった「ミッドナイト競輪の得点順車番」制度の導入前後での成績を集計してみることにした。

この議論はもう制度が始まって約3年半が経過しているとはいえ、具体的な数字で良し悪しが議論された試しがない。競輪には競馬やボートのように成績情報を集計できるような情報公開が行われてないからだ。

なので、競馬やボートで似たような制度変更があれば、ファンは具体的な実態で議論するのだが、残念ながら競輪はそうはならない。みんな、なんとなくで話す。よくないよね。

導入当時の説明画像

『10月からミッドナイト競輪がより分かりやすく、よりシンプルに、より買いやすく!』

keirin.jp https://keirin.jp/pc/topicsdetail?nnum=6637

集計できたのは2020年1月1日から2024年3月4日までの全ミッドナイト競輪開催直近4ヶ月競走得点順による車番制度が始まったのは2020年10月1日からなので、その前後での勝率を比較し、増減には勝率差をポイントで示した。

車番別で見ると7番車の苦境

まずはミッドナイト全レースから。

ミッドナイト全体・制度前後での車番別

1番車の勝率は21.3%⇒43.3%と、22.3ポイントの増加。制度前後では勝率がほぼ倍増している。2番車も6.5ポイントの増加だ。
逆に7番車の勝率は17.4%⇒2.7%と、14.7ポイントも減少、勝率の減少でいえば6倍以上勝てなくなってしまっている
余談だが、6番車はこの制度で勝率は0.5ポイント微増し、7番車よりも勝つ車番になっている。もはやメロンはミッドナイトでは穴用語として破綻しており、むしろオレンジとか柿とか言うべきなんでしょうかねえ。

最内枠の優位性は約5ポイント

導入当時の説明画像拡大

さて、気になるのは制度前の直近4ヶ月得点順での成績だ。

先に注意点を述べておくと。制度開始前の集計期間は9ヶ月分しか用意できず、2020年後期の後半が取れてないのは若干数値にブレが生じている前提にはなることを理解していただいたうえで参考としていただきたい。とはいえ、昇級と降級による前後で相殺されそうだから、大きくはブレなさそうだけど。いずれもっと集計期間を伸ばして確認したい。

制度前を得点順(直近4ヶ月得点)で集計して比較

こうしてみると、制度前の競走得点1位勝率が37.9%だったので、1番車確約を得て5.7ポイントの上昇となっている。注目すべきは他の枠番から、結構均等にポイントを奪っていること。意外なのは2位の勝率は減少だったことだ。2番車自体の勝率は制度前後で6.5ポイントの上昇だったことを考えると、いかに番組屋が7車立てにおいて、制度前では6番車を除いた車番を均等に振っていたかが伺える。ファンが考えている以上に、番組屋は色々考慮しているのである。

話を戻そう。1番車に得点最上位選手が入る恩恵は勝率で約5ポイントのプラス。そして、他の選手においては約1ポイントのマイナスとなる「逆ハンデ戦」だと考えればよいだろう。

L級での得点順車番

次に、クラス別に絞って見てみよう。まずはL級である。制度前後での車番を見てみるとこうだ。

番組屋って平等なのね

驚くべきところは内枠の勝率66.3%という圧倒的高さの部分……ではない。制度前の車番別成績が、ほぼ均等になっていることである。これは全国の番組屋がいかに、長期スパンで見れば選手に与える枠番をほぼ均等に振っていることの証である。

これはガールズに限らない話だが、よく地元番組に文句を言うファンがいるが、遠征先でちゃんと外枠を貰っている。「不平等の平等」が成り立って競輪は公正で平等となっているのである。

つまり、競走得点順による車番制度って、競技として不平等だと言わざるを得ないのだ。

次に、制度前を競走得点順に置き換えた表をお見せする。

3位の選手に特異点

注目する点は3位の選手が3枠固定になって勝率が2ポイント上昇していることにある。これは想像だが、番組屋的に▲の選手を外枠にしがちな傾向があったのではないだろうか。いずれガールズケイリン研究するときに集計してみたい。

そして、得点最上位の1番車固定での優位は4.1ポイントだ。平均より下回っているが、ガールズは1クラスしかないため実力差が大きいうえ、ミッドナイト開催は一般戦のみのため、もともとの勝率が高い。

そう考えると上昇幅は平均より僅かに小さくてもちゃんと上昇しているため、やはり最内の優位性は高いと考えてよい。

ちなみに、L級のミッドナイト開催比率は制度前が約18%だったものが、制度後の平均は28%と3割近くにまでなっている。

そんなガールズ開催の3割を占めるミッドナイト競輪が「逆ハンデ戦」であることは、下位選手への大きな負担になっており、1クラスしかないこと、G1を始めたことを考えると、ヒラ開催にこのような不平等があることは男子以上に好ましくないのではないだろうか。

クラスが上がるほど内枠の有利は小さくなる

そして、他のクラスではどうか。一つ一つ紹介するのは後ほど一覧を出すので、比較しやすいように1番車だけのクラス別成績を並べてみた。

クラスが上がるほど内枠の勝率は下がる

こうしてみると、やはりクラス分けによって脚力や技術が上がる上位クラスになればなるほど、競走得点最上位の1番車によって受ける勝率の上昇は小さくなっている

勝率の上昇幅はL級で約50ポイント、A3で約25ポイント、A1,2で約17ポイントと、わかりやすいくらいクラスが上がると上昇幅が下がる。そしてS級ではシンプルに勝率が全体の43.6%と比べて10ポイント以上も下がる32.5%の勝率となっている。

制度前得点順と比較するとこうだ。

男子はクラスが上がるほど最内枠の優位性は落ちる

こうしてみると、A3とA1,2を比べて最内枠の有利は下のクラスのほうが高いことがわかるのだが、A3の8.1ポイント上昇ははっきりと「逆ハンデ戦」の傾向を表している。このようなことが「わかりやすさ」を理由に認めらてしまっているのは、競技の公平性を著しく阻害していると私は感じる。

結論・即刻廃止すべき

数字上のデータが得られたので、2年半経ってようやく私も仮説ではなく、意見を最後に述べる。

「ミッドナイト競輪の得点順車番」制度は即刻廃止するべきクソ制度である。理由を以下に纏める。

  • 特にA3では重大な成績への悪影響を及ぼしている

  • L級やA3での下位選手はミッドナイトで度を越えた逆ハンデ戦を強いられている

  • 特にL級は3割近くのレースがミッドナイト開催となっており、言い方を変えれば3割のレースが不公平な逆ハンデ戦状態である

  • A1,2班戦では影響は軽微であるが、余程のファンの支持がないのであれば、このクラスだけ制度を維持するメリットはなく、むしろクラスによって同日同場開催にて違う制度が適用されることになるので、やる意味がほぼない

  • そもそも、競走得点順に車番で並べて、それでようやく「わかりやすい」と感じるような数字の読めない人は競輪を打つべきではない

結構キツめに書いたが、そもそもファンへのわかりやすさのためであっても、競技性そのものを捻じ曲げてよいことにはならない。以前書いた5車立ての件にも共通するハナシだ。

【資料】男子の各クラスにおける制度別勝率

A3とA1,2

上がA3,下がA1,2。左が制度前後車番別、右が制度前を得点順としたもの

S級

制度前の集計期間にS級ミッドナイトはないため、比較用に制度期間内でのミッドナイト全体勝率と比較している。サンプルが少ないので参考程度とされたし。

S級はまだ開催が少ない

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