「俺が嫉妬しなくて辛くない?」

(りん)

今日はしーちゃんが出社日で、私は家で一人仕事。たまに、しーちゃんのデスクに移動してみたりとかして、お一人様テレワークを楽しんでた。

テレワークに慣れ切った人間の身体というのは、出社するとドッと疲れるもの。一方でその疲れが、達成感のようにも感じられるので、私は定期的に出社したい。。。ってしーちゃんと同棲する前までは思ってた。
いや、今もそう思ってはいるんだけど。
仕事おわりにすぐにしーちゃんの顔が見れる方がいい、その誘惑の方が強い。

しーちゃんが帰って来るまで夕飯の準備してたけど、「今から帰るね」連絡までが長いし、その連絡から実際帰って来るまでが長い。30分は経ったと思ったのに10分くらいしか経ってないし。

やっと帰ってきたしーちゃんはすごく疲れてた。私が抱きつこうとしたら、「一日働いて来てくさいから。」ってどかそうとするんだけど、その匂いがいいんじゃん。
しーちゃんの匂い嗅いでる時は、私もメスの動物なんだな、って感じる。すごく惹きつけられて、そういう欲も高まって来る感じがあるし、なんか生きてるって感じがする。

しーちゃんは、あまり匂い褒められるの好きじゃないみたい。一番好きな褒め言葉は?って聞いたら「可愛い」って答えてた。可愛いかよ。

匂いにあてられて、私もちょっと気分が乗っちゃって、少しだけしーちゃんのことからかって誘惑するようなこと言ったら、すぐ照れちゃう。付き合って結構経つのにいつまでも照れてくれるのは、本当嬉しい。慣れたり飽きたりしないのかな、って思う。未だに一緒にお風呂入るのも恥ずかしがるし。

一通りからかい終わって、しーちゃん成分を補給できたので、仕上げをして夕飯。今日は、寒いので豚汁を作った。一時期豚汁にハマって、しーちゃんも美味しい美味しいって食べるもんだから、本当に1週間毎日豚汁だった週があったんじゃないかな、ってくらいお馴染みの料理。毎日ちょっとずつ具を変えたり薬味を変えるだけで、意外といけちゃう。私達二人とも偏食ってのもあるけど。

しーちゃんが帰りに買って来てくれたお惣菜とその豚汁。特に豪華でもないし、見栄えもパッとしないけど、しーちゃんは美味しそうに食べる。買ってきたお惣菜食べてるのに、なぜか私を褒めたりとかもする。「それ作ってないよ。」って言うと、「りんちゃんと食べるから美味しいんよ。」ってもうありきたりな台詞なんだけど、何回言われても嬉しい。馬鹿なのかな私。

夕飯の後、しーちゃんが推しの画像見ながら「可愛い」ってニヤニヤしてるから、冗談半分(本気半分)で嫉妬してみた。しーちゃんも、私のこともっと嫉妬させようとしてくるし、私もそれに乗ってメンヘラっぽく振る舞ってみたり。あくまで振る舞ってるだけ。全然本気じゃないし。

その流れの中でしーちゃんが突然ぽつりと
「りんちゃんって、俺が嫉妬しなくて辛くない?」
って聞いてきた。
脈絡無さすぎて最初何の話をしてるのか分からなかった。

「りんちゃんがね、嫉妬するのは分かるんよ。俺が可愛い可愛いって女の子を褒めるんやから。」

うんうん。

「けど、りんちゃんはどちらかというと女の子大好きで、それに俺が嫉妬しないのって、何か嫌やない?」

えーっと?

「だって、俺、口ではりんちゃんが女の子好きなの認めてるのに、嫉妬とかしないのってさ、心のどこかで『女の子同士やし』って考え持ってる気がするんよ。」

なるほど

「口だけで、本当は理解がないなー、って思わんのかな、って。」

そういう意味で「辛くない?」なのか、と感心してしまった。どういう生き方をしてたら、そこまで私の心に寄り添えるのだろう。私本人ですら考えに至らなかったのに。

確かに、私がどれだけ「この子可愛い!」って言っても、しーちゃんは「可愛いね!」って共感するだけで、嫉妬とかはしない。私の「この子可愛い!」はlikeじゃなくてloveなこともあるから、そこに嫉妬してくれないのは嫌じゃないか、ってことよね。

少し自分の中で反芻したけど、別に「可愛いね!」って共感はいつも嬉しい気がする。好きな人と同じものが好きでいられるってすごい嬉しいから。それに、私がそこで「嫉妬して!」って言うなら、それはしーちゃんの性を否定することにもなる気がする。しーちゃんにはしーちゃんの性があるんだから、その基準で接してくれることに何の違和感もない。

そうやって考えたことを、少しずつ言葉にしていく時も、しーちゃんはすごく頷いて話を聞いてくれる。こういう時すごく、やっぱお兄ちゃんなんだな、って感じる。可愛いくせにいつの間にか頼ったり甘えてしまう、そういう不思議な人。

最後に
「しーちゃんは十分私のこと認めてくれとるしわかってくれとるよ。」って伝えたら、
「何でそんなに優しいと…」っていつもの涙目。
その言葉そっくりそのままお返ししますよ。
私以上に私の心を気遣ってくれてるあなたがいっちゃん優しいよ。本当好き。大好き。

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