一生続くなんてことはないと思ってた

(りん)
付き合う前から、ずっと怖かった。
付き合い始めたらいつか終わっちゃいそうな気がしていた。
始まることにはいつか終わりがあると思っていて、
ずっと同じままなんてことは無いと思っている。
昔から、何にだって、そう。
私も数年後には変わってるし、彼も変わってる。
その時に今のままでいられるかが心配だった。

付き合う前の時間は、もどかしいけどすごく楽しくて、
このまま何も始めなければ、何も終わらないって思ってた。
私から始めなければ、何も始まらないとも思ってた。
出会ったばかりの彼は、私と距離を置こうとしてたから。
そんな彼が、突然告白してくれて、でも、そのせいで始まってしまった。

告白されてすぐは、そんなことも考えず、純粋に嬉しかった。
でも、少し時間が経って、これがいつまで続くんだろう、って心配になった。
幸せな時ほど、「この幸せな時間はいつまでだろう。」って考えてしまっていた。

怖かったことは2つ。
1つは、彼が、私に幻滅しないか。
付き合いたての時の彼は、本当に私にお熱で、ずっと「好き」って感情が溢れ出ていた。
幸せだったけど、彼の感情がそこで爆発しきって、ピークが過ぎたら冷められるんじゃないか、って心配していた。
彼があまりにも私を美化していたのもあって、「私本当はそんなんじゃないのにな。」「恋で盲目になってるだけだよ。」って思いのせいもあった。

2つめは、私は彼のことを好きで居続けられるか。
私は自分のことが信用できない。
今どれだけ好きでも、急に彼のことを見捨ててしまうような、ドライな人間だと思っている。
彼が、冷めるようなことをする、とかじゃなくて、
本当に急に、「気が変わった」って感じで、私の都合で彼を捨てるようなことをしてしまうんじゃないか、って怖かった。
彼と一緒にいたい気持ち反面、そんなことを口にしてる自分が、いつか彼を裏切ってしまいそうで、そんな不誠実な自分が怖かった。



出会ってからもうすぐ3年。
彼は目まぐるしく変わった。
出会ったばかりの、私との接し方が分からなくて混乱してた彼。少しずつ慣れてきて感情を露わにしてくれるようになった彼。付き合い出して、好きって感情が爆発した彼。好き過ぎるあまり、私との関係に苦悩して別れまで考えた彼。私の方が落ち込みがちになった時は、彼がすごくポジティブになって、私に寄り添ってくれた。
変わった、けど。
彼の私への愛は変わらなかったんだと思う。
自分で言ってて恥ずかしいし、たかが3年だし。
でも、彼が私のことを好きって気持ちだけは間違いないって言える。
彼と毎日一緒に過ごす中で、その振る舞いから気持ちが伝わってくる。
そう自信を持って言えるくらいには私も変わった。
変えてもらった。

私もこの3年間、ずっと彼が好きだった。
出会った時より1年目の方が好きで。
1年目より2年目の方が好きだった。
彼と合わないところ、嫌なところもいっぱい見つけて、
それをひっくるめて彼が好きで仕方ない。
彼が可愛くて愛おしくて守ってあげたくて守られたくて構ってほしくて。
こんな馬鹿みたいなこと書き殴っちゃうくらいには好きだ。

たかが3年一緒に居ただけだけど、3年続くなんて思ってなかった。
この3年続いたという自信はついたけど、それでも来年続いてるかは心配。
なんなら明日喧嘩して別れちゃうかもしれない。
始まったものには、いつか終わりが来るから。
でも、隣で眠る彼を見てると、いつでも思う。
「終わっちゃうの絶対嫌だな。」って。
朝起きて隣にいる君を思うと、いつでも思う。
「今日も一緒にいてくれてありがとう。」って。


今日、仕事で疲れきってしまって、
それを察した彼が、すごく優しく声かけてくれてたのに、天邪鬼な私は、彼にきつくあたってしまった。
そういう時、彼は黙って自分から一歩引き下がってくれる。
おかげで、彼とぶつかり合うような大きな喧嘩、今までしたことない。
私が冷静になるための時間をくれる。

今日も冷静になれて、
謝ろうと思ってたけど、ちょっとタイミングが無かった。
一緒に聴きたかったラジオも、二人別の部屋で聴いちゃった。
ラジオが終わった後、部屋から出てきた彼が、洗面所に行って、寝る準備を始めたので、私もそれについて行った。
彼は、私のこと気にしてるんだけど、気にしてないふりをしてくれていた。
少し気まずかった。

「喧嘩して喋らない時間が続くと、さっきの喧嘩が最後の会話になっちゃうんじゃ無いかって怖くなる。」
って私から切り出した。
こうやって書き起こすと、本当素直じゃない人間だなって思う。最初に謝れればいいのに。

でも、彼も全部汲み取ってくれて、

「最後の会話にしたくないって気持ちがあれば、大丈夫だよ。」

って、ただそれだけ言ってくれた。

多分「喧嘩なんてしてたっけ?」みたいな白白しさも嫌だし、「いや、俺の方が悪かったよ。」みたいな譲歩も嫌だ。
あくまで私の言葉に対する回答なんだけど、
「さっきのことは気にしてないよ。」「あなたの気持ちは伝わってるよ。」って言ってくれてるみたいで。
私の考えすぎ?良いように考えてるだけかもしれないけど、すごく嬉しい返答だった。

「最後にしたくないって気持ちがあれば大丈夫。」
終わりが怖い私にとって、これほど力強い言葉はない。
終わりにしたくないって気持ち“しか”無い。

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