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2023年インパクト界隈の心に残るニュースはこれだ!

2023年も残すところあとわずかとなりました。
SIIFは2013年からインパクト投資の調査研究を行っていますが、
今年ほどインパクト界隈が新聞紙面を賑わせた年はなかったのではないでしょうか。
そこで、昨年同様にインパクト投資、インパクト測定・マネジメントの促進、社会起業家への支援を行ってきたSIIFメンバーに「インパクト界隈の心に残るニュース」のアンケートを実施しました。


<業界の動き>
2023年5月インパクト投資残高が5.8兆円へ!

(SIIFメンバーコメント)
・この1年で着手する新しいプレーヤーが一気に増えた感覚があります。

2023年7月GSG国内諮問委員会インパクトIPOのワーキンググループが発足

(SIIFメンバーコメント)
・期待や不安が大きくあった「インパクトIPO」のコンセプトや有識者委員会が日本全体の位置づけで立ち上がったことは、とても感慨深かったです。
・3月を目途にインパクトIPOのガイダンスが公開されるので、インパクト企業のIPOが加速することを願っています。
・会合に参加して、上場志向型企業のインパクト指標・評価の方法の議論を直接聞く機会があり、社会的インパクトの評価についてスタートアップとメインストリームの金融機関・投資家側で重要な議論が為されていると感じました。

<行政・官庁の動き>
2023年5月G7広島首脳コミュニケにて、「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ」を発表

(SIIFメンバーコメント)
Triple I for GHの発表を受けて、国内の金融機関が加盟を表明。グローバルヘルスという大きなテーマのもと、大きな資金が流れることを願っています。

2023年6月岸田政権「骨太方針」内にインパクト投資推進が言及される


2023年11月金融庁インパクト投資のコンソーシアムを発足

(SIIFメンバーコメント)
・10年前にG8でインパクト投資タスクフォース始まった時は見事に全ての省庁門前払いだったことを考えると隔世の感がありました。
・金融庁がインパクト投資のコンソーシアムを11月に発足。発起人には、これまでSIIFと一緒にインパクト投資の推進を行ったきた多くの方々が名を連ねました。
・来年には、具体的な施策が提示されるなど、官庁主導のインパクト投資推進に目が離せません。
・インパクト投資だけでなく、インパクトエコノミーに向けて、官民連携を進める時代になったということで、インパクト投資がとてもニッチだったSIIF設立時を想うと、時代が変わったなと感じます。時のものとするのでなく、未来の経済システムに向けた、意志あるコレクティブな動き作りに貢献したいです。


2023年6月金融庁がインパクト投資の検討会を実施し、「インパクト投資に関する基本的指針(案)」への意見募集を実施

(SIIFメンバーコメント)
・10年前にG8でインパクト投資タスクフォースが始まった時は見事に全ての省庁門前払いだったことを考えると隔世の感がありました。


2023年10月官民によるインパクトスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup Impact」を設立J-Startupインパクトが設立

・認定されたいスタートアップ企業からの応募が大変多かったので、やはり経産省など行政側が認定・お墨付きの仕組みで動くと影響が大きいなと思いました。
・インパクトスタートアップへの支援を官民で行うことが決定され、選定企業にはワクワクする企業が並び、どんなことが始まるのだろうという思いを感じた。

B corp認証取得日本企業が36社まで拡大

(SIIFメンバーコメント)
・B corpハンドブックの翻訳ゼミで議論していた2020年は10社程度だったのが、2~3年で3倍にまで増えてきており、日本企業、特に中小企業やスタートアップでの急速な拡大を感じる。
・公益法人制度改革において、公益法人によるインパクト測定・マネジメントの推進の方針が出されたこと。
・ビジネス、投資による社会課題解決が当たり前になってきた中で、改めて、公益法人だからこそ果たせる役割が重要になっていると思います。公益法人がインパクトを最大限発揮するためのIMMとは何かをこれからも追求し続けたいと思います。

海外留学が大学生の外国語能力構築に与えるインパクト:回帰不連続デザインを用いての分析

(SIIFメンバーコメント)
・いわゆるソーシャルインパクトーセクターのネタではないかも知れませんが、慶應義塾大学の中室牧子教授らによる共同研究によって、トビタテ留学JAPANによる海外留学支援・奨学金の介入が、留学生の外国語運用能力構築にどのような影響を与えたかを回帰不連続デザインを使って明らかにする調査で、日本における科学的な社会インパクト測定・評価の好事例として、もっと多くの事業者や研究者に知られてほしいと思っています。(逆にいうと、これくらいまで出来ていてようやく科学的なインパクト測定・評価といえると思うので、日本からももっといい事例を作れるように微力を尽くしたいと思っています。)

<企業の取り組み>
インパクト投資の裾野拡大 日テレHD、新興に4億円出資

(SIIFメンバーコメント)
・誰もが知る企業によるインパクト投資の実行により、遠い存在に感じていたインパクト投資が近いものになってきた感覚を持ち、衝撃と嬉しさを感じた。

NPOとして創業した雨風太陽がIPOへ

(SIIFメンバーコメント)
・企業とNPO、公共セクターとプライベートセクター(そしてその間のセミパブリック)がもっと混ざっていくといいなあと思います
・インパクトについて明確に言及したIPOであること、また、SIIFの休眠預金事業の助成先でもあったことから、感慨深い出来事でした。
・「地方と都市をかきまぜる」をミッションにインパクトIPOを目指すと9月の主催イベントで高橋さんが堂々と宣言された数か月後の上場発表だったため驚きました。母体がNPOである特徴、社会的インパクトの指標も会社のミッションに合わせて独自で定めている点が素晴らしいと思います。本来上場を目指さなくてもいい気がするが、インパクトにおける社会全体の潮流・変化や地方発インパクトスタートアップを自ら先陣を切って率いていこうとする高橋さん・大塚さんの覚悟が見えるから。


かんぽ生命とコモンズの上場株インパクトファンドにリディラバが参画

(SIIFメンバーコメント)
・リディラバのようなNPOど真ん中な組織が、資本主義ど真ん中に近いこの座組みに入っている。今後きっとこういうシーンが増えていくのだろうなと思います。

VCなどから資金調達するスタートアップであるPolipoliが、Open Philanthropy財団やビル&メリンダ・ゲイツ財団と組む

(SIIFメンバーコメント)
・これをNPOではなく、あくまでスタートアップとして手がけていることに、その壁がなくなってきていることに、ワクワクしています。


海の危機的状況を救う。インパクト投資ファンド「フィッシャーマンジャパン・ブルーファンド」が本格始動!

(SIIFメンバーコメント)
・民間のインパクト投資が少しずつだが、形になってきたという印象付けられるニュースでした。
・漁業者自らが海洋環境保全という短期的な自身の利益につながりにくいことに踏み出し、インパクトを志向した投資を行う意義の大きさを感じました。
・漁業衰退の産業問題や漁師の担い手不足という地域課題だけでなく、海洋を中心とした生態系エコシステム全体の地球規模の課題に取り組みたい点が印象的でした。大手金融機関ではなく、いわば地方のインパクトスタートアップとインパクト投資会社が組んだ仕組みであることがおもしろいと思います。
・経済活動や社会生活の前提となる自然資本の回復へ、資本主義のスキームである「投資」の力を活かして取り組むことが非常に本質的だと思ったのと、海洋国家・島国である日本にとって海の自然生態系の回復は豊かな食文化を後世に引き継ぎ、観光産業を適切にもり立てていく上でも重要だと思ったため。寿司が食えない日本なんて考えられないですよね。世界から見ても。

映像クリエイター支援事業を手掛ける株式会社Vookへ出資 ~クリエイター支援を通じた社会的インパクトを測定とマネジメント~

(SIIFメンバーコメント)
・財団法人や金融機関とは異なる文脈でのインパクト投資の実例が出たことはモーメンタムとしては大変大きな事だと感じました。

「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンスを公表
~社会課題解決に取り組む不動産の基本的考え方・実践に向けたポイント等を整理~

(SIIFメンバーコメント)
・企業投資がこなれてくるのに合わせて、不動産や他のアセットへの波及について積極的にウォッチしているためこの動きは大変面白いと思いました。

SOILの助成

(SIIFメンバーコメント)
・次世代インパクト起業家のエコシステムのあり方の一つな印象


<SIIFの取り組み>

SIIFにて、消費者への訴求を目的とした連載「インパクトエコノミーの扉」を開始

(SIIFメンバーコメント)
・これまで長期で起業家を扱った事例があまりなかったので、多くの方々に読んでいただける結果となった。登場した起業家の皆様にはぜひインパクトマネジメントを進めていっていただければ嬉しいです。

SIIFにて、インパクト投資の知見を流通させることを目的に、SIIFICウェルネスファンドを組成

(SIIFメンバーコメント)
SIIFICウェルネスファンドの組成は、企画・コンセプトからSIIF内外でも大きな議論・意見もあり、正式に組成されたことは、本当に感慨深かったです。


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