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四月になれば彼女は 映画の感想(ネタバレ注意)

先日公開された佐藤健、長澤まさみ、森七菜出演の「四月になれば彼女は」を見てきました。

色んな感想を見ててどうしても言いたかったのでこれだけ言わせて。

「愛を終わらせない=手に入らない」がこの映画の趣旨だと勘違いしてる人が多すぎる!!!

最後のシーン見てないんか?春ちゃん(森七菜)の手紙のシーン。

春は俊(佐藤健)とヨリを戻したいから手紙を書いてたわけじゃない。(もちろん未練はあるだろうが)

俊と付き合っていた頃の、自分が手にした愛に真っ直ぐだった自分を思い出したかった。だから、果たせなかった約束である世界の絶景各地を巡ってそれを探しに行っていたんだよね。愛を手にできていた世界線をなぞり書きしていたんだと思う。

そこで春は気づく。俊と弥生(長澤まさみ)のように、愛を手にした2人だからこそ愛の変化が起こるということに。だから、二人で幸せになって欲しいって最後言ってたのかな、と解釈しました。

手に入れられなかった、終わらない愛。それは、言い方悪いけどあくまで美化された過去の思い出。それを断ち切り、新たに自分をやり直してまた生まれ変わりたい、というのが春が死ぬ間際やりたかったと思っていたことだと思う。

主題歌 藤井風「満ちてゆく」の歌詞見てもやはりこれが一番の主旨だと確信した。

以下、歌詞要約
どんな出来事もいつかは終わりを迎える。あの日の煌めき、淡いときめきもいずれは過去の思い出となる。過去の思い出は手放して、今手にしている空のように変わりゆく愛を愛でていこう。絶頂にあった愛が変わっても「仕方ないね」と、思い出を手放した時に初めて満たされる。

いやーでももう1回見直したい。次は要所要所のセリフ、伏線を拾いに。

①タスク(仲野太賀)
何気に俊の心情を変える、超重要キャラクター。彼が同性愛者だという設定になかなか気づけなかった。
俊に「フジは安全なところから俺をバカにしてるだけ。俺は覚悟を決めて𓏸𓏸してるんだ」ってセリフの𓏸𓏸がなんだったか思い出せない。あと歌ってた喝采ももういっかい聴きたい。めっちゃ歌うまかった。
そんで俊と夜中に動物園まで缶ビール片手に散歩するシーンも好き。「そのやつれたオジサンみたいなところも弥生ちゃんに見せられたら良かったのにな」ってセリフ。素を見せられてこそ本当の信頼関係が築ける、ということを伝える名シーン。この人のセリフは一つ一つ重みがあるよね。

②グラスが割れる前後
弥生の誕生日にワインを飲もうとグラスを取りだしたシーンで、落として割れた。あそこがこの映画のターニングポイント。あれは二人の愛が完全に壊れたシーン。詰まった洗面所の排水溝は弥生の不満、グラスは二人の注ぎ合う愛情?だと思ってるけど合ってるかな?失踪する直前の弥生のセリフや表情をもう1回じっくり見たい。

逆に残念だった点は3つあります。

①弥生の妹、純(河合優実)
俊が弥生を捜していて、パチンコ屋で働く純とのシーン。河合優実ちゃん、「不適切にもほどがある」見てたから分かってはいたが、めちゃくちゃ演技上手い。俊の全てを悟ったような、冷たく嘲笑するような演技が完全に様になってた。天真爛漫風なヤンキー、純子ちゃん役をやってたとは思えない。
俊に「あんた本気でお姉ちゃんのこと探してないでしょ」と確信をつくセリフを吐き、ここで彼女の登場は終わる。どうやらこの姉妹、家庭環境があまり良くなかったようだ。ただ、ここの伏線回収が記憶の限りない。どういう家庭環境なのか、なぜ弥生が幸せとは真逆の行動を取ってしまうのか。割と大事なポイントなはずなのに、後々繋がるわけでもなかった。

②春の家庭環境、持病について
お父さん(竹野内豊)がなぜ娘を縛り付け、成長の記録写真を部屋中に貼りまくるほどの異常な執着があるのか。片親という説明はあったが、ここのストーリー設定が雑。どうやら原作にはない設定のようなので、尺の都合かと思うが若干違和感を隠せない。
俊との海外旅行計画を断られるほど厳しかったはずが、なぜかあとから1人で旅行に行けている。なぜ?お父さん死んだ?それとも春の持病で余命が長くないから許可されたのか?
あと春が持病持ちの設定がなぜか途中からいきなり出てくる。家庭環境と関連性あるの?
〜以下推測〜
春は持病持ち、お母さんは病気で他界。お父さんは春の病気が心配で過保護になっている。余命が長くないことから春の要望で旅行は許可。
↑これならツジツマ合うね。それなら最初から春に病弱っぽい描写入れてもいいのでは?あと病弱なのに1人で海外行きまくって大丈夫か?
細かいかもしれんけど雑な所があるとどうしても気になってしまう。話を壮大にしすぎるとストーリー設定は難しくなりがち。

③なぜ春は弥生が今カノで、手紙を読んで来たのが分かったのか
弥生が春に「ごめんね、私実はあの手紙読んでここ(老人ホーム)に来た」と告白した時、春は分かってた。え、なんで?聞くことはあっても、弥生が俊のエピソードを話すシーンもなかったしペラペラ話すようなキャラでもない。普通、まさか自分の送った手紙が同居する今カノに読まれて、自分のいる場所にいきなり介護士として働き始めるとは思わないだろう。
春と弥生が繋がってたというオチの設定が雑すぎるかな。最終的に俊と弥生がくっつくよう促すわけだから、ここは伏線を張ってもっと丁寧に作りこんで欲しかった。

全体的に尺の都合か、大事になるであろうキャラ・ストーリー設定が伏線になっておらず雑に感じる場所がいくつかありました。2時間だから仕方ないとはいえ、それならキャラを絞るなり話を横に広げすぎないようにするなり手立てはあったのでは?と思います。

まあ他にもいろいろ細かいところすごい気になるから見に行きたい。個人的に外的要因で手に入らなかった愛が美化されて、いつまでも心に残るのはすごい共感。(その後連絡とったり、会ったりすると美化されていたということに気づくけど)
↑こうなったからこそ、自分の真の愛?恋愛感情?がわからなくなったのかと推測してます(自分の話なので無視して)

こういう映画を考察するのすごい楽しいよね。まだまだ拾えてないセリフいっぱいあるから絶対みます!!

あと1個だけ。弥生が働いてて、春ちゃんが写真撮ってた海沿いのあの老人ホームのロケ地わかる人いたら教えてください!!行ってみたすぎる。

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