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何事も慈悲をもって行うこと

 南方アジアの上座部仏教では、「慈」は、「(人々に)利益と安楽をもたらそうと望むこと」であり、「悲」は、「(人々から)不利益と苦とを除去しようと欲すること」であると理解されている。

 これを漢字的に表現すると「抜苦与楽」となる。この「抜苦与楽」こそが、慈悲の基本的な精神である。

 断捨離は、まさに様々な関係において「抜苦与楽」することである。「不要・不適切・不快」なものを捨て断ち、離れ、「要・適・快」なことに入れ替える・与えるということである。

 様々な仕事も、この「抜苦与楽」の行いとも言えるだろう。医者はまさにそうである。カウンセリングもそうである。

 お釈迦様は、この世は、苦であり、無常であり、無我であると説いた。しかし、彼は「善を求めて出家」したのである。べつに解脱するために出家したのでも、悟りを開くために出家したのではない。この苦であり、無常であり、無我な世に於いて、善を求めて出家したお釈迦様が見出したのが、慈悲である。

 自分に対しても、他人に対しても慈悲の念をもって接すること。が、大事だと言いたいが、出来る限り、そうすべきだと思うが、どうも真逆なことばかりが辺りに漂い、苦であり、無常であり、無我であることばかりが広がっていて、慈悲をもたらすのも、いささか大変なご時世である。

 それでも無常に生き、無常を生きている私たちに必要なのは、抜苦与楽の慈悲であることには変わりないだろう。

 一日一善という言葉を思い出す。

 

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