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初音ミク16歳の誕生日に特集を作りました

 2023年8月、私はWebメディアplug+ぷらぷらで『特集 初音ミク16歳』を企画して作りました。

 14人のボカロPと歌い手にアンケートを答えてもらって(1人にドタキャンされた経緯で15人にならなかった)、sasakure.UKさんのロングインタビューと、東大でボカロ音楽の講義をする鮎川ぱてさんに寄稿いただきました。

 事情あって、鮎川さんの原稿は特集の一部ではなくなったけれど、初音ミクの誕生日を祝う記念記事として掲載することに。(ちなみに、大した事情ではない)

 その鮎川さんの記事は、本当に素晴らしくて、美しくて、適度な体温とエモーションを感じるものだったなと思います。素敵!

 4章の展開とつながり方は交響曲のようでもあるし、さまざまな色合いの太陽の描かれた絵を順番に並べている美術展覧会のようでもありました。

 あくまで個人的に、そう思う。もっと上手い形容ができるような気もするけど、よかったらこれを読んでほしいです。

 ということで、私の8月末は初音ミクのお誕生日三昧になりました。今日は、2023年8月31日。

 初音ミクの発売は2007年で、現在28歳の私は当時12歳、小学6年生のころ。正直なところ、まだ初音ミクを知らなかったと思います。

 パソコンも持ってなかったし、スマホもなかったし、基本的にクラシック音楽娘だったから。

 当時、どんなポップスを聴いていたかを考えてみたら、

・いきものがかり
・東京事変
(まだ「修羅場」にしかハマってなかった)
・サザンオールスターズ
・RIP SLYME
・浜崎あゆみ
・大塚愛
・Every Little thing

 エイベックスのアーティストを、よく耳にする機会が多かったように思います。キラキラと華やかで、解像度の低いテレビに映るスタジオのライトがやけにまぶしい感じのイメージです。

 消費される音楽はいつもキラキラしていますね。世の中では大衆音楽と呼ばれるものです。大衆音楽はスターの音楽でもあります。

 2007年当時は、そんな大衆音楽の担い手であるスターをレーベルが管理していた印象です。(小6が何言ってんねん)

 ある意味でレーベルが守ってもいたはずの「スターの権利」が、今は地にばら撒かれたのだと感じています。

 そして今は、その大衆音楽的考えだけ残りつつ(今だにレーベルは強いから)、ネットを通じて各地からポツポツヒットが湧き上がり(ばら撒かれた権利を手にする者が出てきて)より弱肉強食の世界になったとも思います。

 それは、権利を手にするまで食らいついていくのが本気で大変なことだというのを忘れて、大人が「誰にでもチャンスがある」と口々に言う代物。一言で言えば、クリエイターがクリエイティブと共感力を試される世の中。

 今日は初音ミクの誕生日だけど、私は思うんです。

 初音ミクという、キャラを持つ楽器を頼りにして、誰にも聴かれないようなニコニコへの投稿から始めて、仕事を勝ち取っているボカロPたちのことを。

 私はあらためて、本当にすごいと思いました。

 私がすごいと思うことは何にもならないんだけども、とにかくすごい。

 sasakure.UKさんとインタビューで話したときにも、同じようなことを思ったと思います。
(ちなみに私はメイク中のささくれさんとユーミンの話をしたのが楽しかったです)

 初音ミクへの祝福を通して、活躍しているボカロPの皆さんに祝福を送りたいと思う、28歳夏の終わりになりました。

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