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slowdive来日公演

 こんにちは。1995年生まれ、28歳独身OL、編集者をしているMizukiです。3月11日(月)にイギリスのシューゲバンド、slowdiveの来日公演に行ってきました。

 私がこのライブに行くことにした理由は、

  • 生ライブを見たことがなかった

  • 2023年フジロックで見たかったが、結局苗場に行かなかったので見そびれた悔しさがある

  • シンセパッドとか空間系がかかったギターのロングトーンが好み

  • RIDEみたいに歌メロが脳内に飛び込んで来たり、演奏がはっきりした輪郭で描かれないので、力を抜いて聴ける

  • 歌メロがミニマルでメロってない

  • うるさくない

  • 私自身、幻想的なものを軒並み好きな性分

  • 9月に発売された最新アルバム『everything is alive』が格好良かった

slowdiveを好きになった私の高1を振り返る

 すみませんが、長くなります。

 slowdiveが解散した1995年に生まれた私がこのバンドを知ったきっかけは、高1のときに見たYouTubeおすすめでした。

 当時のYouTubeのおすすめは笑えるくらい脈絡がなくて、絶妙な関連性で勧めてくるのが好きでした。それを物語るのが、当時通学時や授業中に繰り返し10回は聴いていた4曲。

  •  Architecture In Helsinki「Contact High」

  • 今よりずっと面白かったホットチップの「Night and Day」

  • YUKI「スタンドアップ!シスター」

  • レディオヘッド「Paranoid Android」

 これら全部、YouTubeが教えてくれたアーティストなので、本当に当時のYouTubeおすすめの脈絡のなさには感謝しかないです。

 当時の私はメゾンキツネのコンピレーションアルバムでヨーロッパの知らないインディーバンドを聴くのにハマってました。(ちなみにそこにはEd Bangerや4ADといった、今となっては大好きなレーベルからの曲がたくさん入っていました)

 そんな感じでslowdiveともたまたまYouTube上で出会い、最初に聴いた曲はうろ覚えですが、よく聴いたのは「Alison」。好きになったアルバムは、アンビエント味が強く輪廻転生を体現するようなミニマルな音のループが渋い(つまり、音楽的にはとても地味な)『ピグマリオン』です。

 ちなみに、私は好きな音楽のニュアンスの一つに「雨の日の新木場駅みたいな」というのがあります。『ピグマリオン』はそんな陰湿で美しいノスタルジックに浸れる作品です。ぜひ、雨の日の新木場駅で、京葉線に乗り換える前に、外をぼぅっと見つめながら聴いてみてください(苦笑)。

slowdiveの魅力

 シューゲって一部で一定数の人気を集めている安定感があり、その反面「シューゲ好きっす」とか言われるとちょっと「へぇ」と思ってしまうところが個人的にあります。でも「slowdive好きっす」だとちょっと安心できるというか……抽象的な概念を共有し合える予感がするんです。

 音楽というのは芸術の中でも感覚的なものであってほしい、という私の願いを叶えてくれるアーティスト=slowdive。

slowdiveの来日公演

 前置きが長くなりましたが、ライブレポをします。まず私の失態で、ギリギリまで仕事をしていたせいで豊洲Pitに遅れて到着。ビールを頼み、1曲目を聴きそびれながら「まぁ、いいや」とつぶやいてみるところからこの日はスタート。ポンコツですみません。

 扉を開けたら中は超満員。初めてのslowdiveと豊洲Pitにワクワクしていたけれど、ファーストインプレッションは正直微妙。スピーカーから聴こえる音が私のところにダイレクトに届き過ぎて、slowdiveの持ち味である耽美と幽玄があまり感じられない……「やっぱフジロックで酔っ払いながら聴けばよかったのかな」と心が内向きに。

 その理由は、音源よりもかなりドライなドラムが時折ミスしたりするのと、レイチェルの声がかすれているからでした。まぁ……しょうがないか!

 逆に言えば、それ以外は最高!

 特にニール・ハルステッドのイケボと手元は現役で、特に彼の声にかかったコンプ感と適度なザラつきが気持ちいい! 一体何の機材エフェクトによるものなのか……気になりましたが(すみません)分かりませんでした。ブーストされた極太ベースの音質と相性がめちゃ良かったです。

 ライブのセットリストは、最新アルバム『everything is alive』の曲たちに始まり、彼らによる名盤『スーヴラク』の収録曲をクライマックスとする期待通りの流れ。求めるものを与えてもらって愛を受け取れた感じ。

slowdiveをどこで聴こう

 意味分からん感覚的持論で申し訳ないが、彼らの魅力は雨の日の新木場駅みたいに、空間を感じさせる表現、ノスタルジックなムード。これを聴き手が感じられなければならないと思う。

 それで言うと、今回の音はエモさに欠けていた気がします。ちょこちょこ移動したけど、やっぱり私はそう思いました。繊細に音が聴き取れることが、良いライブの絶対条件じゃない。霧の中、ぼやぼやした響きの中で聴いた場合の方が、良い場合もあるなと思います。

 芸術は何でも、どこで、どんな風に届けるかが一番キーなんだなと。もう一回、ほかの空間でslowdiveを聴いてみたいです。

 さらに、帰り道で考えてたこと。シューゲは今の私の仕事の読者とはかなり遠いので分けて考えてはいますが、そもそも「知らない人に魅力を伝える方法を考える」ことが編集者(またの名をブームの火付け役)の腕の見せどころなんだな、という本質。

 私が今から、シューゲの魅力を伝播させる使徒になったって良いんだよな。うんうん。シューゲに限らず、そういう機会を常に伺いながら働いていきたいと思いました。

 ライブレポの部分が少なくて、すみませんでしたが、最後に、これだけは言いたい。

 ぜひ一度、slowdiveを雨の日の新木場駅で味わってみてください!


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