どこの廃病院かは知らないんですけど、医療器具とか全部残ってるんですって。
廃業なら全部持っていくだろうから、多分夜逃げとかそういうんだと思うんですけど、そこって２階以上登れないんですよ。
　
　なんでかっていうと２階に上がる階段の途中にある踊り場ぐらいから、うっって声が漏れてしまうぐらい全身が
ゾクゾクってなって、行ったらだめだってなるらしいんですよ。

　これは霊感のあるなしに関わらず誰でも反応するそうで、霊感のある人はそもそも近づかない。

　ここはすでに解体が決まっていて、出入りしている業者さんによると２階までは落書きがあるけれど３階はものすごく綺麗だと。
　業者はなんで大丈夫かっていうとここに訪れる明確な理由のある人は何も起こらないそうで、物見遊山で行くと昼間でも登れない。
むしろそこに行ったことで霊感的なものに目覚めた廃墟マニアもいるくらいらしい。

で、ここにどこの田舎にもいるバカなヤンキー、まぁ仮に名前を田中くんとします。

　「このままでいいのかよ‼️伝説作ろうぜ‼️」
てな感じで、つるんでる仲間とともに酒の勢いも加わって

「よし行こうぜ‼️」
って廃病院に飲酒運転で到着。

　いざ行こうぜとなったのに一階のフロアでその場の怖い雰囲気に飲まれてしまった。
　だが引き下がれない彼らはその場で缶ビールやらを飲んで気合いをいれて
　
　「いくぞ‼️」
とか言いながら進もうとするんですが、えらいことに見えない壁でもあるみたいにいくことができない。
　
　でも田中くんだけ。

他の人より酒とかエナジードリンクや栄養ドリンクを飲んでいたもんで

「俺は行くぜー」

　ってうわーって言いながら携帯の明かりだけて走っていってしまった。
仲間は
「うわすげーあいつすげー伝説作れるぜ」
なんてバカなこと言いながら4、5人で待ってたんですって。

　そうしたら急に彼の声が聞こえなくなって静かになった。
えって思ってたらそこにいた全員の携帯が一斉になり始めてうわぁぁぁって表示を見たら田中くんからで

『でんせつたんじょう 』
って書いてあった。

　その時一緒に行った仲間は田中くんと同級生の2人と後輩の2人というメンバーだった。

　なんだ❔わけわかんねーなとか口々に言っていたけれどいつまでたっても田中くんが戻って来ないんですって。音さえしない。
さすがにねそうなると心配なわけです。
田中くんの同級生2人は
「ちょっと行ってくるわ」
と、後輩を置いて探しに行くんですけれど、また彼らもしばらくすると音もしなくなってシーンとしている。
後輩の1人が
「俺も探してくるわ。もし俺が戻らなかったら〇〇さん呼べよ」
この〇〇さんは腕っぷしの強い仲間なんだけども、やはりそう言って行った彼もやっぱり音もなく戻りもしない。
残された彼は〇〇さんを呼ぼうかどうしようかと思いつつ耳を澄ますと何かパシャっパシャっていってる。

　彼もおっかなびっくりそろそろと階段を登っていったんです。

　そうしたら奥の方で動いている気配やものはないんですけど、
「すげーすげー伝説だー」
とかいってる声がする。
後から行った3人の声がして、
「やべーこれでんせつだよ」
「これはマジででんせつだよ」
「俺はこれを語り継いでいくぜ」
とか言いながらパシャリパシャリと写真を撮っている。
　ものすごくテンションが上がってる。
「何してんすかー」
と言いながら最後に来た後輩が見ると、
田中くんが首を吊ってるんですよ。ベルトをつかって。
で、それを皆で囲んでなぜかでんせつだーでんせつだーって言いながら写真を撮ってる。
「あ、あんたたち何やってるんですかっ‼️」
と彼が言うと皆はっと我に帰って目の前の死んだ田中くんをみてうわあーーーと大パニック。

それから警察がきて突発的な自殺ってことで処理されたみたいで、まぁ田中くん結局でんせつを達成しちゃったんですよね。
その場での都市伝説になっちゃったんですよ。
今でもそこで死んだ人がいるって事でその地域ではその話はタブーとされているそうです。

YouTubeにて朗読あげました！https://youtu.be/qIVEOsr0yjU