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「虹獣(コウジュウ)」6章:タウォ 1話:水滴(スイテキ)

落ちていく。落ちていく。皆と一緒に。
落ちていく。落ちていく。新たな場所へ。
流れていく。流れていく。皆と一緒に。
流れていく。流れていく。新たな場所へ。

気が付けば私の体は染められて……。
透明な体だった私に戻る術を知らず……。
この穢れた体のまま私は生きなくてはいけない……。
穢れた体を洗い流す術も知らない……。

何故?…。私は染まる事を望んではいなかったのに……。
何故?…。私は穢れる事を望んではいなかったのに……。
何故?…。私を染めるのか……。
何故?…。私を穢すのか……。

「おーーーい!皆は気にならないのか?この…体に……」
タウォは、もどかしく募る想いを皆に問い掛けた。
「体って?」
「よく解らないな」
「気にせず皆が行く方へ進むだけさ」
「そうそう」
「皆が進む方向へ、ただ流れて行くだけだよね」
「それが当たり前だしね」
そう口々に皆は喋りながら流れて行き、タウォは深い疑問を抱きながら、ただ…ただ…流れて行く皆を眺めていた。

佇み考え続けるタウォ。
誰が?…。私を染めたのか?……。
誰が?…。私を穢したのか?……。
染めるだけ染めておいて……。
穢すだけ穢しておいて……。

そのものは知らぬふりで気にも留めず……。
そのものは忘れて、のうのうと生きているのだろう……。
この深く染み込んだ痛みを……。
この深く穢された傷を……。
味わわせてやろう……。



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