シャード・オブ・ニンジャTRPG キツネミミ社

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」シャウトと悲鳴が近付いてくる。コズマはその恐ろしさに物陰で震えていた。監視カメラが映す画像を見るだけで失禁した。ニンジャが…ニンジャが来ている…しかもよりにもよって一番人が集まってる日に!
サイバネフリークが集うこの店、テイレ茶屋は鬱屈したネオサイタマで数少ない老若男女問わず集まり日々サイバネ技術について語り合い、また技術を交換する奥ゆかしい場所であった。
だがここをジアゲしようと考えるヤクザクランが…ソウカイ・ニンジャを雇ったのだ。バウンサーを雇って防備を固めたがやはりニンジャの前では時間稼ぎにしかならぬ。ここにいる人達も皆殺しにされてしまうのか…
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」階段を転がり落ちてくる!もうそこに来ている!フリーク達は失禁した。だが転がり落ちて痛そうに立ち上がるのはジアゲに来たヤクザに雇われたはずのニンジャであった。
「ザ…ザッケンナコラー!」「ナンオラー!」「グワーッ!」新たにもう一人のニンジャが下りてくる。ヤクザめいたそのニンジャはやってきた筈のニンジャと戦っていた。
「邪魔…すんなオラー!」「解らずやがオラー!」「グワーッ!」肩が吹っ飛ぶ!カラテの差は明白だった。「オメエら大丈夫か!」それを聞き取れた利用客はあまりの意外な言葉に失禁した。このヤクザは…守りに来たのか?
「もうちっと仕事考えろテメー?悪くねぇヤツにカラテ振るうヤツが俺達は大っ嫌いなんだよなぁ!」「ハ、…ハイ…スミマセン…」慌てて逃げていくソウカイニンジャと思わしきニンジャ。「あ、…ありがとうございます」コズマは失禁しながらお礼を言った。「ドーモ、コンバスティブルです。これよりこの場所の土地代はキツネミミ社がもらいます」「アイエエエ!」テイレ茶屋はさっきのヤクザニンジャから土地を借りて経営していた。実際経営は苦しく、滞納した支払いを迫られていた。「この値段です」妙に安い金額!「アイエ?」「あのヤクザはピンハネしていました。本来の値段です。厳しいなら待ちましょう」これは罠か?あまりにも話が旨すぎる!IRCでそのニンジャは話し「ではオタッシャデー」「オ、オタッシャデー…」何もせずに去っていってしまった。一体なんなんだ?ブッダでも微笑んでくれたのだろうか?とはいえこの店をまだ続けられるのは幸運に他ならなかった。unixの画面に戻り経営を管理する。メールが2つ届いている。
「ドーモ、オービタルです。サイバネ技術に興味がありますので今度こちらと交流会をしませんか?そちらの店で行いたいと思います」
「ドーモ、ルナダンサーです。サイバネ技術の話、聞きました。素敵なお話です!今度そちらと交流しませんか?こちらの客と一緒にそちらのお店に行きたいと思います!」
「アイエッ!?」知らない名前からのまさかの提案に悲鳴を出した。こんな旨い話は…だがここで客を取り込めればV字回復間違いなし、客も技術交換に喜ぶ。これを利用しない手はない!コズマはマイクをonにして店内放送をする。「えー来週…この店で他の店舗との交流会を行います!技術交換、話し合い、仲良くやりましょう!」丁度NRSから回復した客が歓声を上げた。

キツネミミ社とは

キツネミミ社(Kitsunemimi sha)とはシロヅカ・ハルミが経営する多角的企業であり、その内容は食品製造、武器製造、インフラストラクチャー構築など多岐に渡る。
8年ほど前に創立したこの企業は「生活を良くしたい」というスローガンを掲げ成長を遂げ、付近の区画の経済能力と治安を大幅に向上させた。
シロヅカ・ハルミは他者を苦しめることで成長することを良しとせず、貧困層や失業者に進んで職を与えることで経済レベルを向上、会社も成長させた。
これらも実態のひとつなのだが最も重要な事業としてトラブルシューティングがある。多方面のそしてこれらを行うにあたって主力となるのが会社に所属するニンジャである。


キツネミミ社の手法と理念

キツネミミ社はソウカイヤ系列に属する組織ではあるがその解決手法に暴力による制圧や破壊よりも交渉による和解や保護という手法を優先するのが特徴である。
社内には多方面の技術者を揃えており、専門性と汎用性を使い分けることで対応、必要とあれば外部の力も有効に活用する。(鹵獲した機械の改造はキツネミミ社の得意分野だ。)
ソウカイニンジャにも協力を仰いだり、逆に協力したりもする。その場合でも解決手法はキツネミミ社のやり方に則る。
ソウカイニンジャを気軽に呼べるのは社長たるシロヅカ・ハルミが元々強大なソウカイニンジャであるところが大きい。

ニンジャはそれほど多いわけではないものの、そのどれらもが弱者からの搾取をよしとしない理念を持っている。
「ものを減らす利益の作り方は滅びをもたらす」というシロヅカ…シルバーフェイスの理念に共感した者の集まりなのだ。
こういったやり方は現状のネオサイタマには合致しておらず、非効率になる部分も多い。だが障害にぶつかった時、知力で策を探し、エゴで助け、そしてカラテで打破するのである。

キツネミミ社内ではニンジャとモータルの扱いに大きな差はなく、ニンジャはカラテの専門家という扱いになっている。しかしこれはタテマエ上であり、実際はその問題の対応に最も向いたニンジャを中心としてモータルのチームが組まれ、状況に応じて人員を調整しつつ解決に導く、とニンジャがリーダーとしての役割を果たしていることが多い。無論モータルの専門家がリーダーとなりニンジャがサポートすることもある。彼らに立場に対する拘りはなく、どちらに立たされても問題なく行動する。

事業の主な顧客はソウカイヤのほか、弱小コーポや個人依頼も多い。どんな場合でも法外な値段を請求することはないし、請け負った依頼に対しては責任をもって取り組み調和の道を探し、またその過程で腐敗を見付ければ破壊していくのである。仕事の過程でヘッドハンティングすることも多い。


ネオサイタマの因習の放棄

犠牲を可能な限り抑えて他者を助けるという関係上非効率な部分も多いとはいえ安定した成長路線を描くこの企業がカチグミになることがなく、その上就職先としても不人気な理由はネオサイタマにおける一般的な風習の多くを捨てているところにある。
上司が部下に対して嫌がらせを行うと普通の企業であればなんら問題にはならないがキツネミミ社では処罰の対象にされる、ケジメやセプクによる失敗の謝罪が許されない(むしろ社内ではこういった行為は安直な手段で物事の真相から目を逸らすための愚かな行為である、と見る者が殆どであるし、そもそも失敗をあまり責めることは無い)、ノミカイやムラハチが存在せず社内の連携を高める行事が存在しない、などがあり、その中でも最も不人気な理由とされるのがネンコを評価基準に考慮していないことである。
これはいくら働いても能力次第では永遠に出世街道に乗れないことを意味する。(適正によって然るべき役割に充てられるため。そもそも上下関係が少ないから出世そのものがない。初めからボーナスは高く休日も多く、週労働時間も格段に短いなどの本来立場に付随してついてくる特典が初めからおおよそ平等に存在する)
キツネミミ社は価値観が異端なためどれだけ功績を積んだあとで転職しても不和を呼ぶ存在としてカチグミにはなれない。ネオサイタマに蔓延する弱者搾取やマイノリティ差別を「自分を慰めるために他者を辱しめる愚か者の行い」と切り捨てるスタンスはカチグミ的な満足感の一切を一方的に粉砕してくる。
一方でネンコがないということはキツネミミ社のサポートをニュービー時代から手厚く受けることができるということでもある。ニュービーをしっかりと守り育て、一人前の存在に鍛え上げるという手法はシルバーフェイスがソウカイヤ時代から取り続けてきた育成方法であり、彼の部下育成の手腕が優れている理由でもある。

「いつまでかかっているんだ!」「予定外の不具合が見つかりました。あのまま進めばそちらが開発時に放置していたプログラムのバグで発射システムは故障、重大な人的被害を出すことになりました。今デバッグプログラムを開発しているのでお待ちください」「なんだと!?俺は早く解決しろと言ってるんだ!!そんなことはいい!遅れたら俺は出世コースから転落するんだ!俺はカチグミなんだ!」角刈りはシナイを振り回す!だが空中で何かにぶつかり止まってしまう!「アイエッ!?」
「人に威張りたいからカチグミになるんですか?」「なっ…」自身の奥ゆかしくなさを指摘され角刈りは閉口!「そうして威張って人の不満を貯めるのが好きなんですか?」「え、偉い奴が部下を従えて何が悪い!」「部下は道具じゃないので乱暴するとムーホンしてきますよ。それに貴方のために作業している人に悪口を言うのは極めて非効率…」「ザ、ザッケンナコラー!」その赤いワーキツネにシナイを振り下ろす!だがまるで霧のようにすり抜けてしまう!「アイエッ!?」「…力で従えようとしても無駄ですよ。今のようにすり抜けてしまいますからね」腰を抜かした依頼主を尻目にブレイドアーツはタイピングする社員に尋ねる。「そろそろ甘いものでも食べます?」「じゃあお言葉に甘えて」「何にします?」「適当にみんなで食えるもの頼みます」「はーい」ブレイドアーツはハッカーに差し入れを買いにバイクに跨がった。


【シルバーフェイス】/Silverface

キツネミミ社の経営者のワーキツネ、シロヅカ・ハルミの正体はソウカイニンジャ、シルバーフェイスだ。
広い視野と対応能力、そして圧倒的速度が彼の強さの理由である。

身長155センチ。菖蒲色の長髪をなびかせる美しいワーキツネの姿だが男性。外見こそ典型的なバカシニンジャ・クランの憑依者だがジツの類いは行使せず迅速なるカラテとunixめいた頭脳を武器とするキツネミミ社最強のニンジャである。その経歴を辿れば護衛、ビジネス、ニンジャとの戦闘、潜入や偵察、暗殺、研究開発、スカウトや育成など類を見ない広範囲での活躍が目を引く。ソウカイヤ成立以前よりニンジャであった彼は自らカラテを鍛練しソウカイヤ入りの時点で既に一定のカラテを持っており、暫くして頭角を表したもののシックスゲイツになることを拒みあくまで便利屋として活動してきた。ある程度経験のある裏の仕事をする人間やニンジャがわずかでも彼に敵対する可能性を見いだせば値段の桁が1つ2つ上がるか仕事を降りるほどの圧倒的なカラテを持っていながらキツネミミ社が暴力による解決は好まず和解や保護、成長を促し余計な犠牲を避ける方針は彼元来の高潔な性格が理由である。

8年ほど前にザイバツの襲撃があったさい突風めいた速度で駆け付け、マスター位階二人含む5人を爆発四散させなおシルバーフェイス自身には目立った外傷ひとつもないという華々しい活躍をもってジキソしキツネミミ社を設立。ネオサイタマを善くすべくまずは近辺の生活水準の向上に取り組んでいる。ヤクザとしてのソンケイを重視しておらずヤクザ組織からの評判は良くない傾向にあるが、搾取ではなく成長で利益をもたらすその方針はソウカイニンジャ内でも一定の支持があり、しばし彼の依頼に従事するケースがある。

最近アンディフィナイト(またの名をウツシ・ニンジャ。極めて強大なリアルニンジャである)のタチアイのもとメンキョを獲得しリアルニンジャになった。現在はジツの開発のために厳しい鍛練を積んでいる。

【オービタル】/Orbital

身長182センチ。デーヴァニンジャ・クランのレッサーニンジャソウル憑依者でありゆったりした羽衣めいたニンジャ装束を纏う穏やかな男。サイバネ技術を愛好しており自身の店も持つ。シルバーフェイスがスカウトしたニンジャであり彼の最初の部下になったニンジャである。その信頼は深い。デーヴァニンジャ・クランは自身に働く重力のベクトルを変化させるキドウ・ジツの使い手であり、これにより壁や天井を床のように歩くことが可能。彼のソウルの格は低いため限定的な用途になるが、それへの依存を必要としないカラテの持ち主。ニュービーを指揮する立場でありキツネミミ社の副リーダーという役割である。


【ナイトシフト】/Nightshift

身長160センチ。姿は美しい女性型のワードッグであり、男性。バカシニンジャ・クランのレッサーニンジャソウルが憑依している。ソウカイヤにスカウトされたものの気弱で直接的な戦闘が好きでなく、葛藤を感じていたところにシルバーフェイスに誘われた、今となっては古い部下である。ニンジャ野伏力、探知能力、ハッキング能力に優れた斥候ニンジャでありソウカイヤからも重用される。幻影を作り出す形でのジツは出来ないが他者への変身は得意であり、自身のニンジャ野伏力と合わさってアンブッシュを得意とする。キツネミミ社の情報収集を担当し、その重要性は高い。


【コンバスティブル】/Combustible

身長186センチのヤクザ上がりのニンジャであり、キツネミミ社には珍しく激情的になりやすい人物だが裏心はなく確かな侠気を持ち、弱者が虐げられているのを見れば単独でもカチコミを敢行する男である。(後にその無謀さを怒られ、仲間と状況判断をするようになった。)ソウルの格は低い。ソウカイヤに入る前にニンジャのテッポダマとして活動していたがシルバーフェイスには傷ひとつ付けられず完敗。ゲコクジョする気でいたがシルバーフェイスが部下を守りにどこからでも飛んで来てそのカラテで守り通す姿勢にソンケイを感じ彼に忠誠を誓う。強大な相手でも真っ先に突撃し活路を開く生粋のテッポダマ。決して聡明な男ではないがそのソンケイから内外から信頼される。


【クリーヴァー】/Cleaver

身長172センチ。喘息がちな男だがニンジャになった時に病気は改善しているので呼吸が下手なだけである。これといったジツが見られないことからレッサーニンジャソウルが憑依している可能性が高い。ニンジャになりたてのころシルバーフェイスにスカウトされ、以後彼の部下として活動している。意外にもそのスカウトは暴力沙汰は一切なく一声かけられそれに頷いただけだという。キツネミミ社内でも強力なカラテの持ち主であり、多数のナイフを装備しインファイトで敵を切り刻むのを得意とするほか、ナイフは投擲にも活用。呼吸の荒さとは裏腹に冷静な判断力を持ち、武力行使されやすいキツネミミ社の優れた抑止力であるほか、近辺の事件の捜査も行う探偵めいた活動もする行動派ニンジャ。


【シャイニングボウ】/Shiningbow

身長163センチ。ネオサイタマのネジレシッポ・ジャンクヤード出身のストリートチルドレンの女性。ソウルはバカシニンジャ・クランのグレーター格であり、外見は暗い茶色のワーキャットである。環境が理由で教養は皆無であり、字も読めずタイピングも出来ない、礼儀作法も滅茶苦茶という癖の強いニンジャだが無闇に他者を傷付けることを拒む精神性も持っている。卓越した器用さを持ち瞬く間に機械類を解体し己の道具に変えてしまい、物理鍵も容易に突破する解体のエキスパート。ニンジャ野伏力も高く狙撃アンブッシュを何度も成功させている。普段はジャンクヤードのヨージンボをしているか悪質なスリや強盗を対象にスリを行い持ち主に返すということをしている。女の身ひとつでスラムを生き抜いてきた逞しさは伊達ではなく、キツネミミ社にスラムや貧困層が絡む依頼をする場合彼女の力が大いに役立つ。廃材を組み立てて道具にするガラクタエンハンスメントというジツを持つ。


【フレイムダンサー】/Flamedancer

身長161センチの元オイラン。マグマニンジャ・クランのレッサーソウルが憑依している。炎を纏うボーを扱い踊るように戦うことがニンジャネームの由来である。その胸は平坦である。元オイランだけあって相手を警戒させにくく、依頼主と良好な関係を築くための交渉役をよく請け負う。ハニートラップの類いを使うことはあまりない。(本人曰くバカシの男の子のほうがカワイイから自信がない。)他のキツネミミ社ニンジャと違い自分の店やナワバリを持っているということはなく基本的に社内におり、しばし他のニンジャやモータルの援軍として駆け付けてくれる。


【ヴァーティカル】/Vertical

身長172センチ。ソウルはレッサーニンジャ。元々はマケグミサラリマンだったが同期ともどもリストラされハック&スラッシュに身をやつす。その時にニンジャになったヴァーティカルを中心に活動し食い繋いだがオービタルに鎮圧された。死を覚悟したもののオービタルは彼らを殺すことはなくシルバーフェイスに紹介し、同期とものにキツネミミ社に雇われることになった。サラリマン出身でリストラされたという経歴から社内では妙に共感される。リストラからだいぶ時間が経った現在でもサラリマン気質が抜けず頼りない印象もあるが地道な作業をしっかりこなす中間管理職であり、プレゼンをする場ではだいたい姿が見られる。会社の事業の広さとシルバーフェイスの要求の高さによりプレゼンは大変なのだがよくやっている。


【ブレイドアーツ】/Bladearts

身長162センチの赤いワーキツネニンジャ。バカシニンジャ・クランのレッサーソウル憑依で姿は女性めいているが仕草が男なので平時の彼を女性と間違えることはあまりない。交通事故の際にニンジャとして覚醒しており、モータルの戸籍上は死んだ扱い。所属が不安定だったがキツネミミ社に落ち着いている。社内では比較的新参のニンジャ。誰にも認められず育ったため他人に上手く頼れず自己評価も低いが弱っている者を見捨てず可能な限り尽力する共感性を持つ。自己評価とは裏腹に高い学識とクリーヴァーをも上回る強力なカラテ、類を見ない奇妙なジツを併せ持つキツネミミ社随一のハイスペックニンジャであり、今まで他者に受け入れられるべく必死に自身の能力を高めてきたことが伺える。旧unixゲームが好きで何故かシルバーフェイスの世代より前のゲームをプレイ済み。(彼の生まれる20年以上前のゲームである!)任意の座標(相手の体内含む)にローポリの物質を発生させるローポリ・ジツを用いての証拠一つ残さない暗殺が得意である。普段はゲームセンター天気雨でカツアゲマンやマナーを守らない客の体にローポリの刃を生やして治安を守っている。


【フォーチュンクロー】/Fortuneclaw

身長は160と少し(体の特性上特定はできない)の、ケモノミミとシッポのオイランドロイドボディのニンジャ。性的な外見。元の性別は男だが任務で大怪我をしたさい表皮と四肢を補う必要があったため通りすがりのサイバネ技術者が手術を行った。強大なオタケビ・ニンジャのソウルを宿すがオイランドロイドボディと噛み合わないため改善中。特に自我への影響はないらしい。ソウカイニンジャだったがプライバシーの問題により名前を変えてキツネミミ社に移転、電子的サポートを担う。主にソウカイヤのニンジャのミッションをサポートすることが多いが本人のサイバネボディとケモノ・カラテを用いた近接戦闘もサンシタの範疇ではない。社内のサイバネ開発部門によくテスターとして新作パーツが搭載されるのはまんざらでもないようだ。主役になることは少ないものの物事を円滑に遂行する能力のある縁の下の力持ち。


【ルナダンサー】/Lunardancer

身長167センチ、片目がサイバネアイに置換され、瞳孔は宇宙めいた闇になっておりサイバネのケモノミミ、尻尾を生やすという特徴的な外見の女ニンジャ。ミッションの際は自作のアーマーを着用する。デーヴァニンジャ・クランのグレーターソウルが憑依していると思われ、浮遊めいた跳躍や壁の歩行などが確認されている。サイバネ技術、特に体内に埋め込むタイプのものを研究していた現役大学生であり、キツネミミ社内で勉強を続けている。非日常が好きなふわふわとしたニンジャであり、自身に多数のサイバネ手術を施しているのもそのため。得物のクレセントカタナによるイアイドーはキドウ・ジツによって青白い光を纏い変幻自在の軌跡を描き、敵を切断する。最近はアンディフィナイトに対してよくサイバネ技術の解説をしているようだ。なお自身が火薬を用いる戦闘用サイバネを積むのはその知識もあってあまり乗り気ではないらしい。ある男性ニンジャと同棲している。


「へっへ、最初からそうすればいいんだよ」「アイエエエ…」
ゲームセンターの裏通りではカツアゲがチャメシ・インシデントだ。
ゲーセン内部から目星をつけて尾行し、路地裏でカツアゲする。
不幸にも財布を奪われてしまった少年、ヤヌカはその手法を知らなかったためにカツアゲの餌食となってしまった。
「俺は早くバリキ飲みてぇ」「いやZBRだ」
路地裏に倒れただ項垂れることしか出来ないヤヌカ。しかし彼を助ける者はいない。マッポなど頼りになるはずもないのだから。
どうしよう…ヤヌカは悩む。でも何も浮かばない。
(ブッダ…助けてください…)
困ったときのブッダ頼み、助けてくれたことはたぶんない。
おお、ブッダ。この程度の悪事は寝たふりを決め込むのですか!
「ね、あいつらこれ落としていったよ」「アイエ?」
目の前にネコミミの少女がいた。薄汚い路上パンクスだろうか?
その無教養な立ち振舞い、格好、どうみてもまともな奴ではなかろう。
しかしその手には確かに先程カツアゲされた財布があったのだ!
(ブッダ…ありがとうございます!)
…目の前の人より先にブッダに感謝するとは如何なることか、ともあれヤヌカは目の前のネコミミ女に感謝した。
「あ、ありがとうございます…!」
「へっへーん。あ、ちょっと中身増えてるかもしれないけど気にしないでね。じゃあね!」
ネコミミ女は路地裏に消えていった。あれは誰なんだろう?ともあれ助けてくれたことには変わりない。
あのネコミミの言うとおり、何故か中身が増えている。具体的には、5千円が15万円に。なんと30倍!
「アイエッ!?」
ヤヌカは困惑した。これはどうすればいいんだろう!?なんと言ってくれたら信じて貰えるんだろう?
帰路につきながらヤヌカはそのお金の使い道を考え、そして決めた。
(あ、あの女の人に返そう。それがいい…)
元々持っていた5千円だけ懐に入れて、ヤヌカはそう決めた。

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