トリプル村に愛を込めて

 私には好きなものがある。
 いや、4月9日9時をもって「あった」と過去形で表記すべきかもしれないが、それでは私の心がもたないので現在形で記述させてほしい。

 皆さんはトリプルバトルというものはご存知だろうか。
 これはポケモンバトルの形式の一つで、6体のポケモンで構成されるパーティから3体、初手に出すポケモンを選出し、6体全員を戦わせる対戦形式だ。
 言ってしまえばそれだけのことなのだが、これが中々奥深い。といっても、実際私は対戦させたことなどなく、動画や配信を見るだけの人間なのでもしかしたら奥深いと思うポイントが違うかもしれない。誤解がある点を踏まえた上で素人ながら解説してみよう。


トリプルバトルとは

1.6体全員選出、3体を並べての対戦


 ポケモンバトルに親しみのある方ならご存知だと思うが、シングルバトルでは6体から3体を、ダブルバトルでは6体から4体を選出(ルールによってはどちらも6体全員を戦わせることもあるが、少なくとも通常のレートバトルや大会に際してはこの形式)して戦わせるのに対し、トリプルバトルでは6体全てを戦わせることになる。
「あのポケモンには不利だからこのポケモンは出さないようにしよう」または「通したい戦略上苦手なポケモンを出されないように、絶対に選出はしないけれどこのポケモンを入れて選出を誘導しよう」といった戦略は出来ない。代わりに、6体をどう生かして戦いに勝利するかという考え方になる。
 ここだけ聞くと戦略性が無さそうに感じる方も居るかもしれないが、とんでもない。このルールは間違いなく、戦略性の塊である。

2.位置の概念


 ダブルバトルでも位置は重要だ。範囲技でない限り、ポケモンはプレイヤーが選択した相手に攻撃をすることになる。「サイドチェンジ」という技で左右を入れ替えて難所を切り抜けるところを目にしたことがある方も居るかもしれない。
 トリプルバトルの場合、位置はより重要になる。まず、対角の概念が存在する。自分の左端のポケモンは、右端のポケモンに攻撃できない。反対に、右端のポケモンも、左端には攻撃が出来ない。3体を並べて戦う関係上、端から端は攻撃が届くような距離ではないということなのだろう。ちなみに中央のポケモンは全てのポケモンに攻撃できるし、攻撃される可能性がある。
「いかく」のような全体に効果があるとくせいや、範囲攻撃になる技も、端から端には届かない。味方ポケモンの支援も同様だ。中央のポケモンであれば相手3体全員にとくせいの効果が及ぶし、範囲攻撃も届く。
 例外的に、ひこうタイプの技や、「みずのはどう」「あくのはどう」といった波動技と呼ばれる種類の技は対角のポケモンにも攻撃が出来る。「いやしのはどう」みたいな相手を回復させる技も含まれる。
「おみとおし」は端に居ても3体全てのもちものが分かるし、ひこうタイプといってもとくせい「スカイスキン」でひこうタイプの技になったノーマル技の場合は対角に攻撃出来ないなど細かい話もあるが、一旦置いておく。

3.「ムーブ」


 「位置の概念があるのは分かったけれど、「サイドチェンジ」じゃなきゃ移動出来ないんじゃあんまり自由が無いのでは?」と思った貴方。
 トリプルバトルには「サイドチェンジ」を覚えるポケモンでなくても位置を移動させられる手段があるのだ。
 文字通り「ムーブ」という機能で、これは一手消費することで、端のポケモンを中央に移動させることができる。中央から左端、右端に移動することは出来ないが、二手消費で「ムーブ」を重ねることで、1ターンの間に大きく配置を変えることが出来る。
 私はこの「ムーブ」がトリプルバトルの醍醐味じゃないかと考えている。いや勿論他にも面白いところは沢山、山のようにあるのだが、「ムーブ」という機能が戦略性を大きく上昇させているのは間違いない。
 例えば中央にニンフィアが居たとする。自分から見て、相手の一番左のポケモンが倒れ、そこにヒードランが出てきたとする。フェアリータイプのニンフィアははがねタイプに弱点を突かれ、かつヒードランはほのおはがねの複合タイプでフェアリータイプの技のダメージを1/4に抑えてしまう。すばやさもヒードランの方が上(種族値上は上だが、もちものの関係で逆転することもあるのかもしれない。その辺りの細かいことは所謂エアプなので許して欲しい)なので先に攻撃されることが予測される。交代出来るならしたいが、もう控えも居らず交代出来ないとなったとき、右端のポケモンが「ムーブ」を使用することでニンフィアを一時的に避難させることが出来る。ただし「ムーブ」はそのポケモンのすばやさに依存するので、すばやさ関係によっては逃がせないこともあるので注意が必要だ。

 他にも利点はある。「ねこだまし」という技がある。これは優先度+3で先制でき、攻撃した相手を必ず怯ませることが出来る。基本的に怯んだポケモンはそのターン攻撃出来ないので、非常に強力な妨害だといえる。それ故場に出た最初のターンしか用いることが出来ない。一回攻撃を挟んだり、連続で「ねこだまし」しようとすると失敗する。
 しかし、場に出た最初のターンにムーブを行うことにより、その次のターンに「ねこだまし」を打つことが出来る。相手が「ねこだまし」読みで「まもる」等で攻撃を防ごうとした場合、それを透かして次のターンに怯ませることが出来るので、そのポケモンは実質2ターンの間、ほとんど行動出来ないと言って良いだろう。
「そうは言っても移動できるだけでしょ」と侮る事勿れ、このムーブの使い方が上手いおかげで勝ちをもぎ取った試合を何度も見てきた。一番印象に残っているムーブの動画を貼っておく。多分私の冗長な説明よりも一番伝わると思う。百聞は一見に如かず。

https://www.youtube.com/watch?v=DSNQW700R1I

4.範囲技が強い


 範囲技とは単体だけではなく相手全員や味方も含めた全てのポケモンに当たる技のことで、「ハイパーボイス」や「なみのり」がそれにあたる。
 ダブルバトルでも範囲技は強力だが、トリプルバトルでは更に強力だ。2体以上への攻撃の場合、0.75倍の補正がかけられ1体あたりのダメージは単体攻撃よりも低くなる。しかし3体に攻撃できた場合のダメージ総量は0.75×3で2.25倍となり、結果的により多くのダメージを与えることが出来る。
 最新作であるスカーレット・バイオレットにて、初期の金策手段である学校最強大会の周回時に重宝されていたニンフィアだが、それよりも前にトリプルバトルで華々しい活躍をみせていた。当時1.3倍のフェアリースキン補正、そこから放たれる威力90の範囲攻撃である「ハイパーボイス」は非常に強力で、レート戦があった時代では使用率一位に輝いていたという。「ニンフィアが中央でハイパーボイス三回打つだけで試合に勝てるんじゃないか」という旨の発言を、動画内で何度か聞いたことがある気がする。
 また、範囲技ではないが、聞いたポケモン全員を3ターン後戦闘不能に追いやる「ほろびのうた」も強力な技だ。詰将棋のような試合運びはもはや芸術に近い。

5.ギミック成功率が高い


 弱点を突かれるとこうげきととくこうがあがる「じゃくてんほけん」を、相手から弱点を突かれるのを待つのではなく味方ポケモンが攻撃することで起動させたり、味方がもちものを消費した際、自分が持っているアイテムを渡す「きょうせい」のとくせいを持つポケモンを生かして火力役にアイテムを渡し、更なる火力増強を狙ったり。そういう戦術はダブルバトルでも見たことがあるかもしれない。
 加えて、トリプルバトルではそこにもう一工夫することが出来る。「ねこだまし」で相手の行動を制限したり、「このゆびとまれ」で本来ギミック始動役、あるいは火力役のポケモンに行くはずの攻撃を逸らしたり、「てだすけ」でバフを重ねたり。まるでピタゴラスイッチのように計算されつくしたギミックは、たとえ成功率が低かろうとも見ていて気持ちの良いものだ。
 あまりギミックを重ねすぎると成功までに100戦近くかかることもあるらしいが……。

 エアプの私にはこれくらいの魅力しか出てこない。というか、これ以上はトリプルバトルの動画を投稿してくださっている方々自身の魅力ばかりになってしまいそうだ。
 というわけでここからは私がトリプルバトルを知ったきっかけ、及び記憶に残っている動画たちを紹介させてほしい。

トリプルバトルを知ったきっかけ


 一時期ポケモンを離れていた時期があったのだが、とあるYouTubeチャンネルを見始めたのを機に再びプレイしたり動画を見たりするようになった。
 ポケモンの動画ばかりを見ていれば、当然YouTubeのアルゴリズムが反応を示す。ポケモン関連の動画をオススメに表示するようになっていった。確か唐突に表示されたオススメから動画を開いたのがきっかけだと思う。
 当時私はトリプルバトルというルールの存在は知っていたが、それがもう廃止されていることくらいしか知らなかった。普段シングルバトルの動画を投稿していた人が、一度だけ投稿したトリプルバトルの動画を見たことがあるが、その一度だけだ。当然、詳しいルールも何も知らなかった。
 そんな状態でその動画を開いたのは理由があった。
 シングルバトルで「マジックルーム」を使っている動画を上げている人が居た。「マジックルーム」というのは5ターンの間互いのポケモンが持つどうぐが使えなくなるという効果の変化技で、使いどころの極めて難しい技だ。その技を使って見事に勝利を収めている様を見て、こんな使い方あるのかと驚いた記憶がある。
 そして、そんな「マジックルーム」を使う動画が、もう一つあった。
 それがこの動画だ。

https://www.youtube.com/watch?v=lFrkYQ0xBEY

「いたずらごころ」のニャオニクスで「マジックルーム」を起動し、「こだわりスカーフ」を持ったドーブルが「ふういん」を使用し相手の「いわなだれ」を無効化した上で、「へんしん」を使い相手のポケモン1体を無力化。
 流れも美しかったが、当時問題になっていたゆっくりの商標権と絡ませた発言も面白く、他の動画も見るようになった。
 この動画を投稿したパデック氏は動画で使用するポケモンの型やコンセプトを冒頭で匂わせてから本編に移ったり、それとは別でトリプルバトルの解説動画を投稿していたりと、トリプルバトルを知るにはうってつけの方だった。昔ニコニコ動画で見ていたゆっくり実況の気配を感じたのもあって、すっかりパデック氏の、そしてトリプルバトルの虜になった。
 そして色んな動画を見漁っている中で、この動画を見つけた。

https://www.youtube.com/watch?v=1vWNY1hzsa4

 6世代最強のメガシンカといえばとくせい「おやこあい」を持つメガガルーラ。全ての技に適用される訳ではないが、とくせいにより技の威力を実質1.5倍することの出来るメガガルーラはトリプルバトルでも猛威を振るっていたようで、「メガガルーラが一番弱いルールはトリプルバトルだが、トリプルバトルで一番使用率が高いメガシンカはメガガルーラ」という言葉があるくらい、範囲技も無いのに強かったらしい。当時のレート環境でも、「ガルスタン」というガルーラを採用したスタンダードパーティが、実のところ一番多かったと解説されている。レートバトルが終わり、フリーバトルのみになった後はどうか不明だが。
 そんなメガガルーラを使った普通のパーティを使っている最中、とある方と対戦する。それがこの動画の二戦目にあたる。
 最初この動画を見たときは、普通に強いパーティもあるんだなと失礼な感想を抱いただけで終わったのだが、何度も見ている内にこの対戦相手の方のチャンネルも気になり、そちらも見始めた。
 この対戦相手、ざわ氏は令和にトリプルバトルを流行らせたきっかけを作った人だと認識している。というのもこのトリプルバトル、2014年発売のORAS以降は廃止されているルールだ。プレイ人口は減りはしても増えはしないと考えるのが普通だろう。
 そこをざわ氏はトリプルバトルを始めたい人向けのwikiを作ったり、トリプルフリーに潜っている人が分かるbotを作ったり、「BV鑑賞会」と称してトリプルバトルのBV=バトルビデオを募り、発表の場を設けることで人口の増加を図ったりと、それはそれはトリプルバトル発展に尽力されている凄い方なのだ。トリプルバトルを限界集落に準えて「トリプル村」と呼び、そのトリプル村の村長という位置づけにされていた。
 ざわ氏のBV鑑賞会は配信で行われているのだが、ざわ氏自ら切り抜き動画を投稿していた。それも凄まじい数。私はざわ氏の動画も見るようになった。
 そこにはもはや芸術作品と呼べる程に素晴らしい動画がたくさんあった。
 たくさんある試合の中のお気に入りの試合のBVをざわ氏に送り、それを更にざわ氏が厳選して投稿しているのだからハイクオリティなのは当たり前と言えば当たり前なのだが、見れば見る程トリプルバトルが好きになる動画ばかりだった。当時全く興味が無かったくせに、今になってどうしてトリプルバトルを廃止してしまったのか問い詰めたくなるくらいには。
 この記事をお読みになっている方には是非全ての動画を見て欲しいのだが、大変だと思うので私のオススメを列挙させてもらうとしよう。恐らくとんでもない数になると思う。
 まずはパデック氏の動画から。

1.「エルテラドー」


https://youtu.be/hYtD72n2fqw?si=cqLOqnPNCKIq6jeN
 ギミックパーティと言えば成功率も勝率も低いものに感じるだろう。しかしトリプルバトルの元祖ギミックパと言えばこれ。その名も「エルテラ」だ。実際にレート戦があった時代にもかなり使われていたらしい。
「せいぎのこころ」もちのテラキオンにエルフーンが「ふくろだたき」を使用する。「ふくろだたき」は自分のパーティのポケモンの回数攻撃するわざで、トリプルバトルであれば6体選出なのでテラキオンに6回攻撃が入る。あくタイプの技を受けると攻撃力が一段階アップする「せいぎのこころ」に対し、あくタイプである「ふくろだたき」の攻撃が6回入れば……、お手軽に(?)攻撃力最大のテラキオンの完成である。
 テラキオンは範囲技かつ怯み効果も狙える「いわなだれ」を使えるので、相手を一掃することが可能だ。勿論並びはとても有名なので、どんな技でも使えるドーブルで妨害の妨害を企てることが多い。
 最初にエルテラの解説があったり、パデック氏によるアレンジされたエルテラの動画もあったりするので非常にオススメ。

2.ツボロコ


https://www.youtube.com/watch?v=ZTMNlPF4y8M
 いきなり変わったパーティを紹介して申し訳ない。しかし私は変わったパーティが好きだ。
 メグロコの最終進化系であるワルビアルは「いかりのつぼ」を生かした構築で使われることが多い。「いかりのつぼ」は急所を突かれるとこうげきが最大まで上昇するとくせいだ。シングルバトルでは使いどころが難しいとくせいだが、ダブルバトルやトリプルバトルであれば味方が急所を突くことで簡単に火力増強出来るので、こちらも比較的使われるギミックである。
 ……が、今回はそれとはまったく関係が無い。いや、火力は上昇させるのだが、方法が違うというべきか。あまり私が語るよりも動画を見て頂いた方がいいと思うのでそちらに任せる。

3.神の力で無敵になるダグトリオ


https://youtu.be/bZJSExpQ1BU?si=PELyLRWL54Z9GAW6
 タイトルもサムネも面白い。これを見て笑わない方は笑いの沸点の高さを少し私に分けて欲しい。
 同じ交代を封じるとくせいでも、「かげふみ」より下に見られがちな「ありじごく」を持ったダグトリオとそれをサポートする神ことアルセウス。世にも奇妙な組み合わせだが、この二匹の相性は……動画本編を確認していただきたい。
 余談だが、この構築の別の試合がざわ氏の切り抜きにも存在する。気になる方は調べてみて欲しい。

4.「だいばくはつ」


https://www.youtube.com/watch?v=LegBQEr672Y
 先程トリプルバトルでは範囲技が強いと述べた。では、最強の範囲技は何だろうか?
 そう、技の使用者がひんしになる上、味方を巻き込んでしまうが驚異の威力250を誇る攻撃技、「だいばくはつ」だ。
 決して冗談を言っている訳ではない。トリプルバトル、ことフリー対戦においては不思議なことに「だいばくはつ」の使用シーンが多い。これは「だいばくはつ」が強力な技であるという共通認識があるからではないだろうか。その方が面白いからとかそういうことではないだろう。多分。恐らく。きっと。
 こちらの動画は「だいばくはつ」欲張りセットとも言える動画で、異なるパターンの「だいばくはつ」構築を見ることが出来る。「だいばくはつ」が好きな方は是非見てみて欲しい。

5.旅パ偽装


https://www.youtube.com/watch?v=IkVQVH6vAhE
 通常、ポケモン対戦で使用するポケモン達は、それ専用に育成をする。ポケモンには同じ種類のポケモンでも強さに差があるため、より強い個体を手に入れる必要がある。また、ポケモンを倒したりアイテムを使ったりすることで特定のステータスを強化することができる。故に皆必死で強い個体を選び抜き、特定のステータスが成長するよう育成させ、バランスのよい、あるいはギミックに特化した構築を組み、勝利を目指す。
 対して旅パとは、基本的には個体の強さは気にしないし、特定のポケモンのみを倒すことはしないで、ストーリー攻略のために使用するパーティだ。故に対戦用のパーティと比べると弱いし、仮に対戦を行うことになれば対戦用のパーティが圧勝することだろう。
 この「旅パ相手なら余裕で勝てる」と思わせ、油断させて勝利を得ようとするパーティを、俗に旅パ偽装という。この回は旅パに見せかけた強い構築を組み、相手を打ち負かすというコンセプトの回だ。
 尤も、動画でも触れられているが、2014年発売のゲームの旅パに偽装して一体だれが油断するのかと言われると……。
「偽装」の効力には疑問が残るが、このパーティの強さは本物である。旅パっぽくレベルがまちまちなことにも理由がある、計算された偽装パーティの活躍を、その目に焼き付けて欲しい。

6.トリプルバトル解説


https://www.youtube.com/watch?v=9-Xgn4F_3g4
 一番最初にオススメするべき動画だろというツッコミが聞こえてきそうだ。本当にそう思う。
 上記の動画を見て、トリプルバトルについて興味が湧いたら是非見て欲しい。大人気の対戦ルールについて、面白おかしく、より深く知ることが出来る。少し分量が多いがそれだけの価値はある。

 続いてざわ氏の「けだまメモch」の動画から。

1.VS神々


https://youtu.be/PtPcI2omSA0?si=VvbS7tS_T8PCtFfw
 私の一番好きな動画だ。
 トリプルフリーには様々なパーティがある。ギミック重視のパーティ、スタンダードなパーティ、ゲームやアニメに登場したキャラクターが使用するものと同じパーティ(通称なりきりパーティ)、各ポケモンの名前の一部を繋げて読むと一つの文章になるパーティ、そしてタイプやタイプ以外のなんらかの要素を統一した統一パーティだ。もしかしたら抜けがあるかもしれないが、大体このうちのどれかに当てはまるはずだ。
 このパーティは繰り返しの音の名前統一、「々」統一パーティだ。ドードーやタマタマといったお世辞にも強そうには見えないポケモンたちが対峙するのは、なんと伝説、幻、メガシンカ最強のメガガルーラといった恐ろしく強大なポケモンたち。
 果たして統一パーティの面々は神々に打ち勝つことが出来るのか?
 余談だが、BVを送る際にコメントをつけることが出来る。どの一言コメントも面白いのだが、この動画の一言コメントは一、二を争うくらいに素晴らしいと思っている。そしてこのパーティの構築記事もウィットに富んだおかしみ溢れる記事なので、是非読んでみて欲しい。

2.レート時代のガチバトル


https://www.youtube.com/watch?v=TpUnNAvVJBI
 貴重なレートバトルがあった時代のBV。こちらは最終順位一桁のお二方による対戦で、非常にハイレベルな戦いが繰り広げられる。詳しく無い方でもざわ氏の分かりやすい解説が入るので安心して欲しい。
 手前側(BVを投稿された方視点)は先程も例に挙げた「ほろびのうた」をメインに据えたパーティを使用し、相手方はメガシンカ後のとくせいに「スカイスキン」を持つボーマンダを採用したスタンダードパーティを使用している。
「ほろびのうた」はとくせい「かげふみ」のポケモンと組み合わせて使用されるのだが、肝心かなめの「かげふみ」が効かないポケモンがいる。それは同じく「かげふみ」のとくせいを持つポケモンと、ゴーストタイプを持つポケモンだ。そして対戦相手のパーティにははがね・ゴーストタイプのギルガルドという強敵が存在する。このギルガルドにどう対処するかがこの動画のポイントとなる。是非そこに注目してご覧いただきたい。

3.「ねこのて」ギミック


https://www.youtube.com/watch?v=t5wVy-dYdsw
 トリプルバトルには非常にギミック構築が多い。これは手数が多いのも勿論だが、数字の変動を伴わないフリーバトルで行われている対戦だからかもしれない。
 その究極系とも言える構築がこの「ねこのて」パーティの動画だ。
「ねこのて」という技を使うと、自分のパーティのポケモンが覚えている技をランダムで繰り出すことが出来る。ただし、「ねこのて」で出ない技も存在するので、「ねこのて」で出ない技と「ねこのて」で出したい強力な技のみで構築を組めば、「ねこのて」で出したい技を出すことが出来る。
 この「ねこのて」を使った凶悪なパーティ他にも存在するのだが、このパーティは一味違う。
「ねこのて」から繰り出される技が複数ある場合、平等に抽選されるのではなく、採用されている数が多い技の方が「ねこのて」から出てくる確率が上がる。その仕様を利用して、リスクを承知で「ねこのて」で出てくる技を複数採用し、対戦に勝とうとするパーティなのだ。
 勿論いくら確率に差があるとは言っても、毎回成功する訳ではない。故に確実に実戦向きではない。しかし実用性に乏しいからといって、探求する価値が無いという訳ではない。この動画はそんなことを教えてくれる、かもしれない。
 ちなみに続編として、火力を落としよりお手軽(?)に発動できるようになったバージョンもあるので掲載しておく。
https://www.youtube.com/watch?v=B2SgW6eXLH8

4.「トリックルーム」に「おいかぜ」?


https://youtu.be/k8MfimO379o?si=vZwjAqjIXfUTxGu3
 ポケモンバトルというのはすばやさが非常に重要だ。数値が1違うだけで、行動順が固定されてしまう。
 とすればはやければはやいほどいいのか? と言われると、そういう訳でもない。「トリックルーム」という技を使えば、5ターンという制限はあるが、行動順が逆転する。つまり、遅いポケモン程先に動けるようになるのだ。
 一方、「おいかぜ」という技は、純粋に味方のポケモンのすばやさを2倍にする。トリックルームより更に短い4ターンの間だけだが、非常に強力なすばやさ操作技だ。トリプルバトルでは他のルールに比べてこのすばやさ操作が重要になってくる。
 さて、冒頭の一言コメントで、「『トリックルーム』に『おいかぜ』をはれ」という発言が出てくる。通常であれば、「トリックルーム」状態ではすばやさが高ければ高いほど行動順が遅くなる。つまりすばやさを上げてしまう「おいかぜ」を使ったら、更に行動順が遅くなってしまうはずだ。
 では何故、「トリックルーム」に「おいかぜ」をはるのかと言えば……、それは是非、動画本編をご視聴いただきたい。

5.負けたら勝ちの特殊ルール


https://www.youtube.com/watch?v=vyGbDYttWTg
 公式大会でも仲間内大会でもよく行われるのが、特殊ルール下での大会だ。一定の種族値以下のポケモンだったり、レート戦でよく使われるポケモンの使用を禁止したり、特定のポケモンのみで戦うルールが多いが、ルール自体が特殊なこともある。
 それがこの動画の大会。ポケモンを先に倒したら勝ちではなく、先にポケモンが全滅した方が勝利となる。
 ポケモンには使うと自分が対戦不能になる技がいくつか存在するため、それらを使うと手っ取り早く「勝つ」ことができる。一言コメントによると「ねこのて」で「だいばくはつ」を繰り出す構築が一番強いらしく、その「だいばくはつ」を食い止めることが出来る「しめりけ」とくせいを持つポケモンが重宝されていたようだ。中でも、「いのちがけ」という、自分がひんしになる代わりに相手に自分のHPと同じダメージを与える技を、「いかりのこな」という、攻撃先を強制的に自分にする技で妨害出来るレベル1のパラスがトップメタとして君臨していたようだ。凄まじい世界。
 対戦相手のパーティにはそのレベル1パラスが存在しており、その「強敵」パラスをどのようにして攻略するかが見どころの動画となる。
 途中までルールを間違えているんじゃないかとも思うくらいの試合運びなのだが、それも全て作戦の内。どのようにして「勝つ」のか、刮目してご視聴頂きたい。

6.66


 ロクジュウロクではなくロクロク。つまり6体全員同じポケモン同士で戦う対戦形式を表す。
 それだけのシンプルなルールだというのに、何故かカオスな試合が多い。本当に何故だろう。戦うポケモン自体が面白いのか、それとも敵も味方も同じポケモンがずらっと並んでいるのが面白いのか。
「同じポケモンしか居ないんじゃ面白味がない」と思われるかもしれないがとんでもない。一撃で倒せるように火力を重視するか、倒されないように耐久を重視するか、同速勝負に勝てるようにすばやさを重視するか。人によって育成の仕方に差もあるし、どの技を採用するか、どうやって勝つのかという戦術にも各々違いが見て取れるのが興味深い。
 各項の最初に動画を貼っているのにここで貼っていない理由は、紹介したい66が多すぎるからである。
 暑苦しい絵面のバッフロン66だったり、66なのに非常にカラフルで多種多様な見た目のトリミアン66、トリプルバトルのアイドル的存在ガメノデス66_、強いのか弱いのかもうよく分からなくなってくるデリバード66など、本当にたくさんある。昨日満を持して(?)投稿されたナマケロ66なんて、見た目と裏腹な戦術の奥深さに笑いと涙が止まらなくなってしまった。
 全て見ろとは言わないが、どれか一つでもご覧頂いて、面白いと思って頂ければ幸いである。

 本当はお二方とも全ての動画に一つずつコメントをしながら紹介していきたいくらいに好きな動画だらけなのだが、既に勢いに任せて有り得ないくらいの分量になっているので泣く泣く割愛させていただく。是非お二方のチャンネルに飛んで、貴方の好きな動画を見つけて欲しい。

https://www.youtube.com/@padeck81




なぜ突然トリプルバトルの話をしたのか


 普段私のNoteではくだらない自分語りや本の話しかしていない。
 なのになぜ突然こんな記事を? と訝しむ方も居るだろう。
 それはつい昨日、3DSのオンラインサービスが終焉を迎えたからである。
 私はトリプルバトルに出会ってから、自分で対戦こそしていないが、様々な動画を鑑賞させてもらった。たくさんの笑いと感動と学びを動画から得た。元々奥深いと思っていたポケモンバトルの、より深淵的面白さを教えて貰えた。
 発売からかなりの年数が経っているから、いつかこの対戦も見られなくなるんだろうな、とは思っていた。実際その発表があってかなりの衝撃を受けたが、分かっていたことだと気持ちを無理やり切り替え、終焉を迎えるその日まで投稿される動画を楽しもうと決めた。
 それにオンラインサービスが終了しても、すぐさま動画が投稿されなくなる訳ではない。鑑賞会の配信はなくなるが、動画の作成と投稿をしてくれることは両者とも明言してくれている。
 それでも、何故だろう。
 寂しくて仕方ない。
 あまりの寂しさに、気付いたらパソコンを立ち上げ、この記事を書いていた。あまりにも膨大な量になった。ポケモンそのものを知っているけれどトリプルバトルは知らない人に向けてか、そもそもポケモンを良く知らない人に向けてか、それすらよく分からない乱雑な文章になってしまった。

 BV鑑賞会において、トリプル村という概念があると記述した。忘れられた土地にある限界集落のような村が滅ぶと言えば、何故かダムの底に沈んでいる絵面が浮かぶ。だからだろうか、オンラインサービスが終了することを「ダムの底に沈む」と表現していた。
 本当なら、村が「ダムの底に沈む」前にこういう紹介記事を書くのがセオリーだろう。終わる前に是非、みたいな切り口で。
 それは、この記事が紹介記事なんてなまやさしいものではないからだ。今までたくさんのエンターテイメントを見せてくれた、楽しませてきてくれたトリプルバトルと対戦を行ってきた方々に敬意を表して、愛を伝えたいがための、独りよがりのラブレター。それがこの記事だ。
 普段嫌いなものばかり語っている、ろくでもない人間の書くラブレターなどもらっても嬉しくは無いだろう。それでも書かずにはいられなかった。
 パデックさん、ざわさん、BV鑑賞会にてBVを送られていた方、BVを送ってはいないけれど対戦をされていた方、私のようにトリプルバトル動画の視聴を楽しんでいた方、この記事を読んで動画を見て頂いた方、そして、トリプルバトルという対戦形式そのもの。すべてに感謝を表したい。そしていつかまた、再会できるその時を信じて、筆を置くとしよう。


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