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5.練習せずにレッスンへ


高校生になって始めた
エレクトーンのレッスンは
大学に通うために 一時中断したが
就職して 実家に戻ったのを機に再開し
結婚しても 続けていた。

***

出産の前後は レッスンを休んだが
先に レッスンに復帰し
その後 仕事に復帰した。

だんなさんも協力的だし 実家も近かった。

でも 仕事を終えて家に着いてから
体感 秒単位で家事と育児をこなしていく。

洗濯機をまわし
子どもを寝かしつけながら 一緒に寝落ちする。
起きて干すには 強固な意思が必要だった。

レッスンの前日は 練習しようとしたが
深夜に1回弾くのが 限界だった。
それすらできないこともあった。


私は 常に眠かった。
いつでもどこでも 5秒で寝れた。

それでも
レッスンに行ったのは

もっと上手になりたいから
ではない。

どうしても弾きたい曲があるから
でもない。

私は 時間が欲しかったのだ。
誰のためでもない 自分のための時間が。


レッスンが始まると 正直に言う。
「練習せずに来ちゃった」
どうせ数分後には ばれるのだ。

先生が答える。
「いいよ。今からここで練習しよう」

当然 楽譜に合格の花マルは
なかなかつかない。

同じ曲を 何年も弾いた。

先生は
それについては 何も言わずに
つきあってくれた。

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