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フリマアプリで相場半額のハイプレスニーカーを買ってみよう(トラフグ編)

スニーカー好きの方もそうでない方も、皆さんこんにちは。
今回はみんな大好き!ナイキエアジョーダンとトラヴィス・スコットのコラボモデルをフリマアプリで購入してみます!ただし相場半額のモノを。

憧れの高いスニーカーを少しでも安く手に入れたい…という気持ちは誰しもが持つものですが、値段は高い上に怪しくて中々手が出せない…そんな地雷かどうか微妙なラインに敢えて突っ込んでいく体当たり企画!ワクワクしますね。

メルカリで検索すると明らかに安い製品はさておき、ビミョーーーーーーなラインの出品物が散見されます。

TRAVIS SCOTT × Fragmentのコラボモデル、通称「トラフグ」のナイキ・エアジョーダン1ハイカットです。相場は最低でも40万円の伝説級スニーカーですが、こちらの価格はなんと22万円!高いことに変わりはないですが、それでも破格です。

相場の1/6なので分かってやってんだろうなって感じ

メルカリはこういった明らかに「値段で察しろよ」系の出品物が多い中(それでも大半のパチスニーカーが例え一流品であれ2万円弱で輸入できることを考えるとこれは非常にボッタクリです)、20万円を超えてくる出品物は中々ありません。となると、逆に本物に見えてくることもあります。いくらなんでも、せいぜい1万円の偽造品を一気に20万円で売りつける度胸がある人間はいないでしょう。中国人だってそんなことは行いません。人が偽物を売る際はだいたい値段を安くつけて「察してね♡」と空気を読ませます。

それに対し22万トラフグは「モノカブ」タグ付き!正規品である自信に満ち溢れています。

そしてなんと先程の22万トラフグ、クイック鑑定で正規品と出ているらしいです!多くの微妙なラインの出品物は鑑定証明に対して閉口する中こちらは自信に満ちあふれています。

モノカブはスニダンと合併して消滅した鑑定付きのスニーカー流通市場

改めて商品説明文を確認しましょう。購入先はモノカブ、フェイクバスターズのクイック鑑定済みである旨が記載されています。

インソール裏側。
靴底縫い目。

特筆すべき点はここ!インソール裏側と靴底縫い目が掲載されていますが、多くのパチモンを見てきた私、分かります。これは「本物のインソールと靴底」です。

ニコちゃんマークもしっかり笑顔

これらの写真はフェイクバスターズのクイック鑑定で使用した写真らしく、実際さきほどの写真を見てもこれらの写真を使用した鑑定で正規品と判定されています。

自信に満ち溢れた鑑定済み主張、正規品主張。相場の半額ではあるが中々高めの値段設定。自信満々の靴底縫い目写真、インソール裏側写真。これは本物でしょう!なんでか知らないけど安く売っててラッキー!

というわけで購入。なんかの際に作らされた限度額デカめのカードが役に立ちました。ちなみに、購入後の返金返品は何があってもNGと書かれていました。強めの主張です。

で届いたのがこれです。

非常に見覚えのある質感

アレ?

クリアケースがなんかくすんでいるというか、黄色っぽいというか、傷まみれです。正規品のケースはもっと透き通っており、厚さも丈夫です。というよりかは、手持ちのパチケース寄りです。そもそも箱自体もなんか黄色いです。お隣の共産国産を感じる。

開封してみましょう。クリアケースも個体差なのかもしれません。箱も黄ばんでるだけですよ。

きちんとモノカブの紙入り。

包装紙ですが…なんかこれも微妙ですね。

左が届いた品。右が手持ちの正規品トラフグロー。

包装紙を比較してもなんかやたらとしわくちゃです。まるでお隣の国から旅をしてきたみたいな。包装紙自体もなんか色がやたらと明るいです。

まあロットの違いですよきっと。ということで靴本体を引っ張り出してみます。

ちゃんとモノカブのタグは付いています。うーん…こんなものなのかなあ…なんか色が鮮やかすぎる気が…?

違和感がなにか皆様も考えてみよう

ソールを見ようとしたときになにか違和感が。

!!!


現物拡大図
掲載写真拡大図

白糸の縫い目の数違うじゃん!!!!!!

…ということで掲載されていた写真と届いた現物が別個体であることが明らかになりました。汚いクリアケース+黄色い箱+変な包装紙+縫い目の数が違う、というこの世で最も簡単な計算を行うと導き出される答えは一つ。中華産パチです

届いた現物のインソール。

インソールを取り出してみました。縫い目の数なんて数えずに最初からこれを見てれば一発だったのですが、カスパチにありがちなフワッフワのやっすいインソールです。印刷も変で荒いです。

一応裏を見てみましょう。

現物裏。


掲載写真。

論外!接着剤の付き方はおろか、色からして別物です。

こんな感じ。見れば見るほど安パチです。

ダメ押しに鑑定サービスに提出してみましょう。使用したのはCheckGoodsです。

アプリから保存するとめっちゃガビガビになるのでスクショを撮ったほうが良い

やはり非正規品という判定が出ました。鑑定代は400円なのでそれだけでも損です。

結果:22万円の品物は偽造品だった。

今回の件はかなり悪質です。偽造品を偽造品として売っていた(少なくとも匂わせていた)、もしくは気づかずに正規品として売っていたのならまだしも「正規品の写真を掲載し、鑑定済みであることも主張していて実際に送付してきた製品は掲載写真とは異なる個体で偽造品」だったからです。
偽ブランド品を販売すると主に問われる罪として、「商標法違反(商標権の侵害)」と「詐欺罪」の2つが挙げられます。

商標法違反はその名の通り、他者の権利である商標を勝手に使って利益を得ていた際に問われる罪です。例を言うと、「勝手にトヨタマークを使った製品を作る&売ってはいけない」ということです。

商標法違反の刑罰は基本的に10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金刑またはその併科ですが、余程悪質な故意犯で無い限り罰金刑が多いようです。(それでも高額ですが)

対して詐欺罪は、今回の場合でいうと「購入者をだまし、錯誤に陥らせて無価値な物(購入者が想定していた価値のないもの)を買わせてお金を払わせている」ことにあたります。要は偽物を本物として騙して売ると詐欺罪にあたります。

詐欺罪の刑罰は重く、懲役刑です。罰金刑ではないので、有罪判決を受け執行猶予が得られなかった場合、その瞬間から懲役を受けることが確定します。

改めて整理すると今回の件は「鑑定済みであると主張してたけどそれと別個体の偽物を送付してきた」といったところで、詐欺罪+商標法違反のダブルコンボです。もし私が気づかずに製品を受け取ったあと、改めて偽造品であることに気付いて被害届を提出したときのことを考えれば、結構怖い行為だと感じるのですがどうなんでしょう。というか、相手はかなり故意的なのでぶっちゃけこの段階でも詐欺未遂罪は成立します

返品時に彼の住所氏名を抑えてあります。

気をつけなければならないところが相手の評価です。本人確認済みでないアカウントですがそれでも評価は200件を超えています。こういったある程度実績があるアカウントでもそれなりに偽物を出品している事例がよく見られるため、フリマアプリ上での評価はあまり当てにならないかもしれません。

別の事例もあります。こちらも同じくトラフグハイですが、出品者が異なります。こちらもフェイクバスターズでクイック鑑定済み、真正品を謳っていました。

全体的に字が細い。

こちらは日本国内正規品ということで黒タグを掲載していましたが、文字に若干違和感があり怪しいところです。

謎のスタンプ

箱タグも掲載されていましたが、謎の「T」というスタンプが押されています。こちらも偽物を売るにしても20万円という高額設定かつ正規品である旨を主張しているといった点で私が購入した個体と共通点がありますが…?

CheckGoodsの鑑定結果一覧を眺めていたところ、なんとこの個体は既に鑑定済みでした。おまけに商品説明と同じ写真が使用されています。結果は偽物です。

箱タグの「T」のスタンプまで同様です。
つまりこの出品者は、この靴が偽造品であることを認識しながら正規品として、それも20万円という高額な価格設定で出品していたということになります。

この20万パチトラフグは一旦売れていたのですが、購入者と揉めたのか値段を半額にして再出品されていました。

フリマアプリ上で販売されている相場より安めのスニーカーは、例え20万円であろうがパチモノであることが分かりました。恐ろしいのが、今回はたまたま私自身が何個もパチモノを、そして正規品も所有していたため違和感に気づくことが出来ました。しかし、多くの人は普通パチモノなんか所有していないでしょうし、クソ高い正規品も所有していないでしょう。相手に催促されるがまま受取連絡を行ってしまい、気づいた頃には後の祭り…メルカリ運営も受取連絡後は対処できないと突っぱねてきます。そうならないように、この記事をぜひお役立てください。

ちなみに、既に受取連絡を行ってしまった方に関しても一応対処法はあるようです。

スニダンの中古品鑑定に"4545チェリーダンク"を通したことで有名な「本日のくっく」さんが動画で述べています(15:35~辺り)が、メルカリ運営相手に警察の介入を匂わせることで運営の対処を引き出せるようです。この手法は偽物垂れ流し状態のヤフオクやPaypayフリマなどでも有効なようで、警察への相談や立件も視野に入れた行動を取ることを運営に報告すると補償などが行われた事例がインターネット上でも複数件報告されています。

特にPaypayフリマは相手が返品に自主的に応じない限り、発送後より14日経過したらどれだけお互いに齟齬が生じていようと販売者側に入金されてしまうトンデモ仕様なので、この手段は特に有効かもしれません。

淡い夢を見た…みなさんは素直に相場で買いましょう。

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