余儀なく引っ越し pt.3

2022年。

どうか今年も皆さんにとって健やかな一年になりますように。

何事もなかったように年を跨いでしまった引っ越しレポを続けます。

電気給湯器の故障から余儀なく引っ越しをすることになってしまったのだが、6年住み続けていた愛着のある部屋だったので、外的要因で短期間で新しい住処を探さなければいけないということがなかなかにストレスのある行為だった。

あいにく契約更新月が12月だったのが不幸中の幸いだったが、年末年始のことも考えて約1ヶ月あまりで引っ越しまで完了しなければならないなんて。

ただでさえ他人から決断を迫られるのが好きではない自分にとって、給湯器故障からの最初の1週間のことを忘れることはない。間違いなく2021年のワースト1の出来事である。

お湯は出ないが寒くなってきた今時期に水事も洗顔も風呂も済まさねばならなかったが、結果的にこれは良い出来事や気付きを含むものだった。

一つ目は、お湯の有り難みである。

当たり前のこと過ぎて笑われてしまうかもしれないけれど、今までお湯が使いたくても使えない生活をしたことがなかった自分にとっては色々と見つめ直すことが多かった。

蛇口を捻れば水が出ることはここ日本では当たり前のことのようだが、そんな暮らしを送ることが出来ない人はこの世界にも間違いなく存在しているというのは想像するに容易いだろう。

自然災害の被害を一度被れば、あらゆるライフラインが断たれてしまうのは、我々日本に住まうものにとって想像しやすいと思う。

にも関わらず、お湯が出ないくらいでストレスを抱えてしまう自分が少し恥ずかしく思えた。

もちろんなきゃない方がいいんだけども。

二つ目は、銭湯へ行くことで得ることが出来たいくつかの事柄がある。

大田区の銭湯には「黒湯」というブラックコーヒーのように黒く濁っていて、少しとろみのあるお湯を引いてるところが多い。

なぜ黒いかというと、「海洋性温泉」といって海底深くに沈んだ海藻や植物や火山灰が何億年かかけて分解され、それら植物物質に含まれたフミン酸という物質が黒色に着色されるらしい。

ゆえに謳い文句として「お肌にいい、保湿性に富んでいる」と掲げられている。

今思えばこの期間に乾燥に悩まされたことはなかった、気がする。

黒い水やお湯というものはどうも敬遠されがちだけど、黒湯に関しては是非おすすめしたい。

※余談だが、ここ数年自分の心を掴んで離さない格闘イベント"rizin"の武田選手vsベイノア選手のカード発表時、武田選手の口から出た「黒さは強さ」という名言が2021年の1.2位を争うパワーワードである。30分手前くらいから。年末のrizin33についてもいつか書いてみたい。

あとはサウナである。

元々サウナというものがとても苦手で、5分と持たず出てしまうことが多かったし、巷のサウナブームに対して少し懐疑的だったのだけど、大好きなアルコ&ピースのアルピーチャンネルで酒井さんが紹介していたこともあり、物は試しと思い、動画を頼りに試してみた。

「ととのう」ということが自分の体感したそれなのかはわからないけれども、サウナでたんまり汗を出してから、水風呂に浸かり、外気にさらされた時の脱力感。あれはクセになる。

引っ越しストレスが嘘のように吹き飛び、引っ越しに向けてのアクションにスルスルと移れたのはサウナのおかげかもしれない。

加えて、他人とのコミュニケーション。
これが一番大きな気付きをもたらした。

TwitterやInstagramから離れた自分にとって、他人の会話や感情に触れることが著しく減った自分にとって、銭湯やサウナでの他人同士の会話(本当は黙浴がルールになっているが、通っている先輩たちはおそらく社交の場としても楽しみにしているのだと思う)は気付きが多かった。

コロナ禍で廃業してしまった近所の商店の主人を心配する声、給付金の10万円をクーポンか現金で配るかでマゴマゴしている国に対して呆れる声、応援している野球チームの優勝に喜ぶ声、芸能人に張り付き取材をしたり、馬鹿げた質問を投げる物に対しての怒りの声、などなど、ここでは書けない声も聞いた。

その声に「こんな風に思ってる人もいるんだ」となんだか嬉しく思ったり、時に不安に思ったり、疑問を覚えたりもしたが、目の前に存在する人間から発される言葉ほどリアリティーが高いものはない。

もちろん裏腹な部分もあったりすると思うけれど、我々人間にとって大事なものは五感を使って体感すること。なくてはならないものだなと思った。

つづく

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