第7回アンギュレーション

インストラクターにとって一番必要な技術は何かと問われれば、必要な時に必要な量の栄養素を与えることだと思います。そうしなければいくらトレーニングしても欲しい筋肉はついてこない。
教えたがりおじさんの問題点はそこにあって、あれって自分が好きな肉を食え食え言ってるだけなんですよね。

それを分かった上で僕がおじさんのように「ポジションだぞポジション、まずポジションから食うんだ」としつこく言うのはですね、これがどんな時にでも必要だからです。
ポジショニングについては過去のノートでたくさん書いているので、ご覧ください。

さて、タイトルの通り今回はアンギュレーションです。
別名リーンアウト。日本語だと外傾。
ヒールサイドターンを中心に考えていきましょう。
板を立てるために腰より下が雪面に近づくと、そのままでは腰の重みでパタンと倒れてしまったりおしりをついてしまうので、股関節を折り曲げて上半身をつま先側に近づけることでバランスをとる動きです。
文章だと分かりづかりですね、まあこの辺は調べてみてください、すぐ見つかります。

アンギュレーション。
このように、一般的には下半身の内傾に対しての上半身の外傾、として捉えられています。
ポジショニングの章でもたびたび書いていますが、これはバランスを取る動きです。
つまりおしり(重心)が板から外れた結果、バランスを崩して転びそうになる、それを補うために上半身をおしりの反対側に持っていきバランスを修正する、ということです。
ということは、この「カービングターンの教科書」的にはアンギュレーションは必要ないということです。
なぜって、バランスは崩れてないですから。常にリーンウィズ、オンザボード、な訳ですから。

とはいえ

とはいえ、です。いくら重心が板の上にあっても、カービングターンのために傾きを作っていく以上は重力方向に対しての重みが発生します。この重みは重心位置が高ければ高いほど、そのモーメントが大きくなり転びやすくなります(この部分は対して重要ではないので雰囲気が分かれば大丈夫)。
それに対処するためには、重心位置を低くするのが1つの方法です。
そして、もう1つ。ここでアンギュレーションの出番です。
しかし、ここで上半身でアンギュレーションをとるのではつまらない(というか理由があるんですが今回は割愛)。
さあどこでアンギュレーションとりますか?そう、

「足首」

です。いいですかここからですよ、付いてきてくださいね。

ヒールサイドターンをイメージしてください。
今までの滑りでアンギュレーションとして使っていた「上半身」をここでは「足のスネ」に置き換えて考えてください。そして「股関節」が「足首」に置き換わります。

意味、わかりますか?
僕のノートを書く上での信条は「わかりやすく」、とはいえ誰にでも分かるわけではなく読者が知らないであろうことを書く以上は「読者の理解力を信じる」ことです。みなさんの探究心を信用します。

さて、新たなアンギュレーションのイメージはできたでしょうか?
どんな場合でもそうですが、スノーボードは板を動かすスポーツですので、板から近い体の部位の方が遠い部位よりもより速くより効果的に作用します。
手より肩、胸より腰、ヒザより足、です。

今まで意識してこなかった「足首」。ここに仕事をさせてください。
今までの反応速度であれば転んでいたであろう局面で、より速く足首が反応してくれます、アンギュレーションをとって体を戻してくれます。

「足首」のアンギュレーションのコツとしてはブーツのタンをスネで潰すこと、そしてそのタンの圧をスネで感じ続けること、です。
おっと、この動きはポジショニングの章の重心を下げる動きでも出てきましたね。そうです、全ては繋がっています。
1つ1つのピースがふとした時にカチッとはまる、これも上達の楽しさの1つですね。

タンの圧を感じ続けてください。#晃平理論

これは他にもメリットがあります。例えば、面で板を踏めるようになります。今までいかにカカトのエッジだけでターンしていたかを痛感するでしょう。

兎にも角にも、タンの圧。これを覚えておいてください。

あなたが倒れそうになった時、「上半身」ではなく「足首」があなたを元の位置に連れ戻してくれます。
あなたの板が抜けそうになった時、その強固な足首が雪面を捕まえてくれます。

誇張ではなく、これは現実です。具体的にイメージしてください、足首がアンギュレーションしている姿を。

そして思い出してください、このノートが有料だったことを・・・!



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