あいまいな過去 14 引きこもりの日々を綴って

その空間は狭くて暑くて楽しかった

小型テレビと兄の顔

隣の部屋の親の声

もぐりこんだ布団の中で

僕たちはその世界をつくっていた


僕には一人、兄がいる。

兄は、共働きだった両親の代わりに僕の面倒をよく見てくれた。

前に僕は、勉強もせずにテレビや新聞なんかで学んできた
と書いたけど、兄からの影響もとても大きい。

趣味や、そこからの知識、身の周りにあるもの
僕に影響を与えてくれた兄はいつもそこに居てくれていた。
不登校になっても、ひきこもりになっても、僕がどうなろうと変わらず。
そうして兄がいてくれるから僕は僕でいられた。

それは、僕でいられてしまった、という事なのかもしれないのだけど

そんな兄に対しても僕は
本音を吐露する事も無く、相談らしい相談もせずに、出来ずにいた。

それは今もそうだ。

やはりというか何と言うか、今の関係性が壊れるのが怖いのだろう。

…気恥ずかしいのもあるけれど

それでも、兄がいる事で僕はとても助けられてきた。
そして、今もとても助かっている。


金魚のフンって言葉があるでしょ

あれはまさに僕の事で

どこへ行くにも付いて行きたかったし

付いて行こうとしていた

走ったり、うしろに乗ったり、となりに乗ったりして

兄はそこでも空間をつくってくれて

そうして僕は外の世界をつくってもいけたんだ

熊本市で、ひきこもり自助グループ「かこかり」の運営をしています。 居場所作り活動中。